「第60回日本学生科学賞」東京都大会で、中学生の部と高校生の部で玉川学園が優秀賞、努力賞を受賞しました。

2016.11.04

未来の優秀な科学者育成のため、1957年(昭和32年)に読売新聞社主催によって創設された日本学生科学賞。理科教育に基づく中・高校生の公募コンクールでは国内で最も伝統と権威あるものです。

今回、東京都大会の高校生の部で自由研究「SSHリサーチ科学」ミツバチ班の12年生のグループ(川口幸太郎さん、遠矢莉子さん、小吉なな加さん)が優秀賞を、中学生の部で、サイエンスクラブ9年生の花村佳緒さんが優秀賞、同じくサイエンスクラブ9年生の藤田琳太郎さんが努力賞をそれぞれ受賞しました。10月29日(土)、日本プレスセンターホールで表彰式が行われました。花村さんは昨年の奨励賞に続いて2度目、藤田さんは初めての入賞で、サイエンスクラブとしては7年連続で中学生の部で優秀賞を受賞しました。
彼らの研究成果について簡単にご紹介します。

高校生の部

優秀賞 「ミツバチが越冬するには」~食糧確保のための工夫~

SSHリサーチ科学ミツバチ班(12年 川口幸太郎さん、遠矢莉子さん、小吉なな加さん)

3人は、花の少ない、寒い冬にどのようにしてミツバチがハチミツを確保・保存しているのかについて観察、実験をしました。実際にセイヨウミツバチ2群を飼育し、糖度の異なるスクロース溶液(砂糖水)を与えハチミツの糖組成を調べた実験の結果、ミツバチが分泌する2つの酵素「αグルコシターゼ」と「グルコースオキシターゼ」がハチミツの糖度に応じて働き、寒い冬でも結晶化しにくく抗菌効果の高いハチミツを作っていることがわかりました。
また、花粉ダンゴは蜜を吸っているあいだに付着した花粉が飛行中に後ろ足に丸められ、ダンゴのようになったもので、巣に蓄えられ保存食となりますが、その観察によって、花の少ない冬場には、数種類の花から花粉を集めていることがわかったそうです。そして、主となる花粉以外の花粉の含有率を「浮気率」と命名しました。この「浮気率」を調べれば周辺の植物の状況を知ることができ、ミツバチへ給餌するタイミング等を知る手がかりになるのではと考えています。
この研究は、玉川大学の農学部、学術研究所のミツバチ科学研究センターの先生方にもご指導をいただきました。ミツバチ科学研究センターでは、実際に巣箱のミツバチを使った養蜂の手法を教えてもらったり、大学生や大学院生にプレゼンテーション技術や研究のノウハウをいただき、意見交換を通して研究内容だけでなく、研究に対する姿勢についても学ぶことができたそうです。

中学生の部

優秀賞 「食品を利用したエコな太陽電池」~色素増感太陽電池の発電効率を上げるには?~

9年 花村佳緒さん

昨年、お茶の変色について研究した花村さんはその知識を生かして、身近な食品を使って色素増感太陽電池の研究を始めました。
酸化チタンペーストの厚さを変えて導電性ガラスに焼き付ける方法や色素液の濃度や浸ける時間が発電量に影響するのかを確かめてから色素検討を行い、より正確な結果が得られるようにさまざまな考察を取り入れ、実験を行いました。そして色素増感太陽電池の色素としてはカテキンやテアフラビンが含まれる緑茶や紅茶よりアントシアニンが含まれるハイビスカスティーがよく発電することがわかりました。今後は、アントシアニンについて研究を深め、より環境にやさしい色素増感太陽電池を開発していきたいと意欲を語ってくれました。花村さんは昨年の奨励賞に続き2年連続の受賞です。

  • 色素増感太陽電池とは
    酸化チタンを光電極として用いる太陽電池。酸化チタンに色素を吸着させることで、吸収できる光が増え、より発電するようになる。

努力賞 「金属の錆を簡単に落とすには」

9年 藤田琳太郎さん

藤田さんは、お財布に入っていた変色した10円玉をきっかけに金属に興味を持ち、銅を使用して、錆びる仕組みと錆を安全に落とすということについて研究をしました。錆の原因を食塩濃度、気温、気体の種類を変えて実験し、表面で酸化が起きていること、食塩が錆びの進行を促進していることがわかりました。また、錆を落とす方法を身近な調味料を用いて比較すると、酸性の調味料で落ちやすく、酸に塩化物イオンを含む物質を添加することで、錆が溶け、きれいになることを突き止めました。今後は、電池の仕組みを勉強し、身近な現象からエネルギーを取り出す研究に取り組みたいそうです。

玉川学園は、2期連続して文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、成果をさまざまな研究会で発表しています。また、ワンキャンパスの総合学園である玉川学園だからこそできる大学の農学部や工学部、そして学術研究所、脳科学研究所、量子情報科学研究所との高大連携が、生徒たちのこうした研究をさらに推進しています。
彼らの今後の活躍にご期待ください。