2016年・夏 蚊に媒介される感染症

蚊を介する感染症(蚊媒介感染症)として、以前より熱帯地方のマラリアがよく知られてきました。デング熱は近年になり東南アジアで流行を繰り返し、一昨年は日本でも首都圏を中心に感染者が多く出たことは、記憶に新しいところです。
最近、中南米で流行しているジカ熱が、注意が必要な蚊媒介感染症としてあげられています。ジカ熱にかかった妊婦から小頭症の赤ちゃんが多く生まれ、お母さんの体のジカウイルスが胎児に感染したことが原因とみられているからです。このジカ熱について、WHOは今年「国際的に懸念される公衆の保険上の緊急事態」と宣言しています。
これらの感染症は、ウイルスなどの病原体を持った蚊に刺されることで感染・発症します。したがって予防法は、蚊の発生を抑えることと、個人が「蚊に刺されない対策」をとることです。個人の予防法としては、長袖・長ズボンの着用、虫除けスプレーや軟膏の使用など、基本的なことが重要となります。また、ジカ熱については、性行為により男性から女性パートナーへ感染した事例が報告されており、注意が必要です。

流行地域から帰国された方へ(厚生労働省ホームページより)

海外の流行地域において、蚊に刺されてから数日後に、軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛等の症状が見られた場合は、医療機関を受診してください。また、ジカ熱では感染してもほとんど症状がない場合があります。無症候感染者でも、帰国後に蚊に刺されることで蚊へウイルスが伝播され、感染を広げることになります。このため、流行地からの帰国後は症状の有無にかかわらず、虫よけ剤の使用など蚊に刺されないための対策を少なくとも2週間程度は注意を払って行うことが推奨されています。

温暖化が進み、人の行き来がグローバルな現代では、もともと一地域の風土病でも、常に世界的に流行してゆく危険が潜んでいます。今後は「蚊に刺されるのは夏の風物詩」と単純に思わずに、世界の情報をしっかり見てゆく必要がありそうです。