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科学するTAMAGAWA "どう学ぶか"を実践しながら身につける「学びの技」

2011.10.25

科学技術の進展によって情報がより身近なものとなった現代。
そうした高度情報化社会を生きるうえで必要とされるスキル
─科学的な視点・思考を備えた知識の学び方(ラーニング・スキル)─
を身につける玉川学園のユニークなプログラムがあります。

メディアをツールとしたラーニング・スキルの習得をめざす

情報化社会が高度に進展する現代、進展するスピードも目を見張るものがあります。かつて「IT(Information Technology)」と言われていた情報技術は、今や「ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)」へ変わりました。玉川学園9年生の授業では、毎週2時間の『学びの技』を設定し、ICTを活用した教育に力を注いでいます。


「2006年度にMMRC(マルチメディアリソースセンター)が完成し、図書館機能とICT環境など、さまざまなメディアが集約した学習空間へと生まれ変わったのです。このMMRCを使ってラーニング・スキルの習得をめざすのが『学びの技』です。ここでは、疑問を持ち、調べ、共有し、知識として蓄積するといった学びのサイクルを生み出すことができます。」と、語る伊藤 史織(いとう しおり)司書教諭。

『学びの技』の生みの親ともいえるのが、国語科の後藤 芳文(ごとう よしふみ)教諭。「当初は、これほどのハードを有しながら、MMRCの利点を、授業に十分に生かせているとはいえませんでした。『学びの技』の発足時から、PCを操作するためのスキル習得ではなく、メディアを使いこなすメディア・リテラシーの習得が目的でした。情報が氾濫している今の時代で、技術進展のスピードも速い。得た知識が、10年後、20年後通用するかはわかりません。これからは、生涯にわたって学習していく必要があるのです。私たちが教えようとしているのは、その学習方法、知識を得ていく『方法』なのです。

疑問を結論へ導くプロセスから論文作成に必要な科学的な思考を養成

「『学びの技』では、最後に論文を作成しています。生徒一人ひとりが関心や疑問に沿ってテーマを決定し、情報を収集して論文にまとめ上げます。『参考文献リスト&エビデンスブック』を基に、論文作成の一連の流れを経験しながら、どんな情報が信じられるものなのか、信憑性を裏付けるためには何が必要なのか、論文にふさわしい情報をどう選ぶか、などの力を養います」と語るのは登本 洋子(のぼりもと ようこ)教諭。

「PCでの検索も、学習の過程で必要になります。検索ボタンをクリックすれば何かしらの情報は出てくる時代です。でも、生徒たちは五十音順に並んでいる索引に慣れていません。各種メディアの仕組みを理解することが、効果的に情報を入手し、読み取ることにもつながるのではないでしょうか」

「問い(論題)から結論に至るまでのプロセスで、結論の支えとなる根拠を2つ示すことも求めています。情報を調べワークシートにまとめることを通して論文の構成を作り上げます。それがなければ論文作成には至りません」と語る伊藤司書教諭に、さらに後藤教諭が続けます。「初めはワークシートがなく大失敗。生徒は見つけ出した情報をあれもこれもと全て使いたがる傾向がありました。論文は結論を頂点とした1つのピラミッドであって、それを支えるのが根拠であり、その根拠を裏付けるのが客観的なデータなのです。結論を立証していくプロセスは、まさに科学の過程そのもの。論文作成に求められるのは、そうした科学的思考力なのです」。

学習の基盤になる能力の養成に学内外からの高い評価

『学びの技』の授業では、前述の『参考文献リスト&エビデンスブック』と『探究学習のステップ』をテキストとして使用しています。そこにあるのは、短い期間で目標を設定し、達成することによって、論文作成の基礎力とメディア・リテラシーが身につくよう工夫されたプログラム。

「工夫を重ねた探究学習のステップについては、生徒からも好評です。また、学校図書館関係のシンポジウムで『学びの技』の実践発表をしたところ、他校の先生方から『先進的なので参考にしたい』との声もいただきました。課題設定、情報収集、情報の取捨選択、論理的なまとめ、発表、評価といった6つのステップを作り、それぞれの段階で振り返る作業を行っています。ここで大きく役立つのが探究マップとマインドマップ(議題を中心に様々な方向へ枝を広げ、キーワードやイメージをつなげていくことで発想を延ばしていく図解表現)です。探究マップは論証のためのワークシートで、研究の骨子となり、何度も振り返り、修正を加えます。マインドマップは、集めた情報などを、自分の考えやキーワードをグルーピングしながらひと目でわかる形に表現することで、整理された情報へと変えていくのです。このマインドマップは企業でも使われており、社会に出てからも使えるスキルとなると思います」と語る伊藤司書教諭。

論旨を明確にし、完成度を高めるポスターセッションを開催

11月12日(土)には、高学年校舎1階のアトリウムにて中間発表会としてポスターセッションが開催されます。生徒一人ひとりが自ら決めたテーマに沿って骨子を論理的にまとめ、文字や図式を使ってパネル展示を行うというものです。同級生はもとより、保護者の方々や先輩たちに展示しながら説明していきます。
「人に伝えることで情報が整理されていきますし、伝えるために表現をどう工夫するかのトレーニングにもなります。見てくださった方から意見やアドバイスをもらうことで、自分の考え・意見を客観視する振り返りにもなり、さらに情報を追加し完成度の高いものへと変えていくこともできるのです」と、伊藤司書教諭がその目的と効果を明かしてくれました。

『学びの技』では、玉川大学リベラルアーツ学部の学生がアシスタントとして授業をフォローしています。彼らにとっては、生徒たちが何に悩み、つまずくかを知り、それを解決に導くためにどう教えるかの実践的なトレーニングになるといいます。 最後に、「生徒たちは国語や数学などの教科を切り離されたものとして学んでいきますが、社会に出て求められるのはそれらの総合的な知識と活用能力です。」と話す登本教諭に続けて、伊藤司書教諭が「この『学びの技』を、玉川での学び方のベースになる授業にしたいと考えています。そのためにMMRCというメディアを提供する『場』を活用して、総合的な知識とその活用能力やラーニング・スキルを身につけることができればと思います」と答えてくださいました。

  • 「マインドマップ」は、英国の教育者トニー・ブザンが開発した思考技術で、英国Buzan Organisation Ltd.の登録商標です。

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