科学するTAMAGAWA 進級時は自己を見直す絶好の機会

2014.03.25

キャンパスに本格的な春が訪れるころ、
玉川学園の生徒たちも学年というステップをそれぞれが1段ずつ上がります。
そのような進級時だからこそできるのが自己点検。
「学習面、生活態度、友人との交流など、
新たに始まる1年を有意義に過ごすための振り返り」について、
K-12生活委員会の委員長を務める
藤樫大二郎(ふじかしだいじろう)教育部長(9-12担当)*に話を伺いました。

  • 中学3年生~高校3年を担当

家庭でできるのは生活習慣の見直し

「進級時に『自分の目標を上方修正するように点検をしよう!』ということと、『人間関係の幅の広がりを求めていこう!』を生徒たちには伝えています。そのためにはこの1年を振り返る必要がありますし、そのなかでうまくいったこともあれば失敗してしまったこともあるはずです。その失敗もリセットできるのが進級のタイミングなのです。しかし、リセットは水に流すことではありません。失敗の原因を考え、次の課題に活かして初めてリセットされるものです」。

進級に先立ってある父母会で藤樫部長は、次のようにお話ししました。
「大切なのはしっかりとした生活習慣。とくに寝食のリズムが大切です。単純なことのように思うかもしれませんが、生活を見直してみるとリズムを守ることは容易なことではありません。私が担当しているのは9-12年生ですが、同世代の高校生たちは、スマートフォンや携帯電話、ポータブルゲーム機などに触れる時間が、1日のうち110分あると言われています。24時間のうちの2時間近くも電子機器を操作しているのです。それらのことに時間を使いすぎていると言っても過言ではありません。その時間分だけ削られてしまうのが睡眠時間だとすると、心身の発育に良い影響があるわけはありませんし、寝覚めが悪ければ朝食も進まず、栄養バランスも悪化してしまいます。家庭でできる“見直し”は生活習慣なのです。生活習慣のリズムが守られている家庭の多くは、親子の信頼関係が成立しているご家庭が多いようです」。

他人の目も意識向上につながる

もうひとつ、上級学年になるほど見直しが必要なのが服装です。
「学年が上がるほど、“自己流の着こなし”が増えていきます。男子生徒についてはスーツとネクタイを基本に、女子生徒については学園推奨スカートの着用を奨励していますが、それらの服装は社会生活の多くの場面で通用するものであり、同時に人格が表れるものでもあります。着こなすことは大切ですが、着崩すものではありません。一般的に、服装の乱れが少ないところは、学校のガバナンスがしっかりしていると評価されていますし、クラブ活動や学校全体の活性化のバロメーターにもなるでしょう。またクラブ活動が盛んな学校では、一人ひとりがルールを守る自覚ができていることもその一因かもしれません。玉川学園においては、服装や言葉遣いなど、TPOに合わせて使い分けられる生徒が多いように感じます。上級学年になるほど自分がどう見られているかの自覚ができています」。

人からどう見られるか、ということはキャンパス内でだけ意識すれば済むものではありません。
「玉川学園の生徒のほとんどが通学に電車を利用しています。駅や車内での態度、会話の内容、利用マナーなど多くの社会の目が向けられていることへの自覚も必要でしょう。上級生が下級生をチェックすることで、その向上が図れる部分もあるように思いますが、上級生は下級生の良き手本にならなければなりません。『食べ歩き』や『ながらスマホ』など、自身の行動も意識しないといけませんね」。
児童・生徒・学生の安全を守るために、玉川学園では小学生を対象に、家庭と学校が児童の登下校状況や小田急線の乗降車状況を確認できる『玉川学園あんしんグーパス連携システム』を2009年より導入しています。また、建造物の安全や大規模災害への備蓄、24時間・365日体制で昼夜警備の実施、登下校を守る警備職員の配置など、キャンパスセキュリティセンターを中心に児童・生徒・学生の安全を守るための取り組みを行っています。

個の確立は世界に目を向ける第一歩

一方、学校教育のソフト面、すなわち教育内容ではどのような取り組みがされているのでしょうか。
「9-12年(中学3年-高校3年)は、大学進学を目前にした段階です。それぞれの進路や目標を絞り込んだ学習がメインとなっていきます。1-8年生(小学1年生-中学2年生)には『夢を持つこと』を勧めていますが、9-12年生には『目標』として、より具体的、現実的にやるべきことに目を向けるように指導しています。特に11・12年生(高校2・3年生)は手取り足取り教える年代ではないと判断し、自己の責任のもとで時間割の一部を選択できるようになっています。これは、玉川学園の教育理念である12の教育信条※1にある個性尊重の実践でもあるのです。自己選択に伴う自己責任は自立性の涵養につながります。例えば、情報を収集しなかったことが不利益につながったとしたら、それも自分の責任です。逆に、いつまでも過保護にあれもこれもと与えすぎていては、人としての強さ、たくましさは育っていきません。今は、同年代の人たちと一緒に楽しく過ごすことも大切ですが、やがてはそれぞれの目標に向かって一個人として行動するときが来るのですから」。

一個人としての行動は自己の確立につながっていきます。自己を確立するために必要なことは何か、という問いに、藤樫部長は「自分の考えを持つこととそれを表現する技術」と答えます。
「その2つはグローバル化社会で求められる気質と言い換えることができるでしょう。言葉が上手に操れるだけではダメです。何を表現したいのかをはっきり述べられる意見を持っていなければなりません。プレゼンテーションは、国語だけでなくいろいろな教科で連携して、早期からその能力を高める工夫がなされています。単に大学受験のことを考えたら回り道なのかもしれませんが、その後に世界で大きく羽ばたいていくには、この時期にしっかりと積み重ねておくことが重要です。先日、『表現の時間』で10年生(高校1年生)たちが企画したのは、“普段表に出ない個性や特技を発表する”というものでした。取り組んでいる研究をプレゼンテーションした生徒、オーケストラの一員として演奏している楽器をソロで演奏した生徒など、それぞれがお互いの存在を認めていく、自分とは異なるものを尊重する貴重な体験の場になったと思います。この企画が生徒たちから声が挙がったことは本当に喜ばしいことです」。

玉川にある世界を感じる機会

玉川学園は世界に対しての門戸も大きく広げています。7か国14校と提携し、年間約300人を海外に派遣し、約200人の留学生を受け入れることを目標としています。さらに、日本で唯一のラウンドスクエア※2の認定校でもあります。

ラウンドスクエアでは、毎年国際会議が開催され、海外の学校から多くの生徒が集まります。玉川学園からは6人を派遣し、さまざまなテーマの議論に参加しています。参加した生徒はそこでの経験が成長へとつながりますが、それだけでなく、帰国後玉川の生徒全員でその経験を共有することまでが派遣だと考えています。それができてこその国際交流です」

国際交流には現地を体験する以外にもう一つ手段があります。それはホストファミリーになっていただくことです。200人の留学生を受け入れる際に、その期間中、その留学生と生活を共にすることも、実は重要な国際交流の機会なのです。期間は、2日、1週間、1か月とまちまちですが、生徒自身にとって、とても身近な、それでいて海外へ目を向ける大きなきっかけになることでしょう。困っている人に手を貸すという行動は、『人生の 最も 苦しい いやな 辛い 損な 場面を 真っ先きに 微笑を以って担当せよ』という、創立者小原國芳が述べた玉川モットーに通ずるものではないでしょうか」。

  • 112の教育信条=「全人教育」「個性尊重」「自学自律」「能率高き教育」「学的根拠に立てる教育」「自然の尊重」「師弟間の温情」「労作教育」「反対の合一」「第二里行者と人生の開拓者」「24時間の教育」「国際教育」のこと。人間形成に必要な真・善・美・聖・健・富の6つの価値の調和的な創造を実現するための教育活動。
  • 2ラウンドスクエア=28か国96校が参加する国際的な学校協会で、各校から300人の高校生が一堂に会する国際会議が毎年開催されます。