それぞれ想いを胸に 芸術学部アメリカ公演

2011.04.25

慣れないアメリカの地で、
大勢の観衆を前に舞台に上がる学生たち。
そのパフォーマンスにかける想いは、
人間をひとまわり大きく成長させます。

それぞれの想いをぶつける13公演

玉川大学芸術学部では、2003年から「アメリカ桜祭り公演」を行っています。今年の公演先はニューヨーク・フィラデルフィア・ワシントンの3都市。今年は3月28日から4月14日まで、全13回にわたる和太鼓と創作民俗舞踊のステージを披露してきました。

参加したのは、演者・スタッフ合わせて、芸術学部の学生40名。その中でも12名の4年生は、昨年に続いて2回目のアメリカ公演です。「昨年できなかったことを果たすために」「公演の意義を後輩へ伝えるために」「自分の力を試すために」「表現することを精一杯楽しむために」。それぞれの想いを胸に、いま自分たちにできることを、全力で表現してきました。

玉川の伝統を次代に伝える

今回、リーダーとして参加した藏薗渓太さんは、アメリカ公演をこう振り返ります。「昨年の公演は、先輩にリードしてもらった部分が多くありました。だから、今年はその経験を後輩に伝えなければいけないという想いで望みました。アメリカで毎年お客さんに喜んでもらえる舞台を創るのは、本当に大変なこと。2003年からずっと成功を収めているこのアメリカ公演の伝統を絶やさないために、自分の経験を次の世代に伝えることが非常に大事なんです」。

しかし、3月11日。稽古も佳境に入る時期に起きた大地震。その影響で思うように準備が進まないこともあったといいます。「特に、後輩へ現地での行動を教えるのはとても時間がかかります。その時間が思うように取れなかったことが大きかったですね」と語るのは亀ヶ谷真美さん。昨年の経験を元にできる限りのことを後輩に伝えました。

たくさんのお客さまから温かい言葉が

そして、アメリカの地で迎えた本番。大勢のお客さんが、公演を見に訪れました。ニューヨークではチケットのキャンセル待ちがでるほど。会場一杯のお客さんからスタンディングオベーションを受けました。「結果として、良いステージが披露できたと思います。たくさんのお客さまが集まってくれたし、喜んでいただけたはずです」と話すのはリーダーの藏薗さん。

さらに、お客さまから温かい言葉をもらったと話すのは亀ヶ谷さん。「たくさんの方が楽しかったと言ってくれました。また、日本の震災のことは当然アメリカの方も知っていて、中には『ご家族は大丈夫?』と声をかけてくれた方も。アメリカの方がこんなにも日本のことを考えていてくれることにとても感動しました」。

ここでかなえる夢、ここから育つ夢

別の想いで参加した学生もいます。幼稚園からずっと玉川学園で学んできた弥山宗作さんは、和太鼓にかける強い想いをこう語ります。「和太鼓の演奏は玉川の伝統。小学校のころからやっていたし、アメリカ公演のことも知っていました。いつか自分もその舞台に立ちたい。その夢をかなえるために、参加しました」。

また、石塚貴恵さんは今回初めて裏方スタッフとして参加。将来の夢をかなえるための貴重な経験ができたといいます。「舞台の演出助手になるのが私の夢。卒業後は、演劇が盛んなアメリカでより深く舞台の勉強をしたいと思っています。学生のうちにアメリカの舞台が経験できたのは、非常に大きかったですね」。

ここでかなえる夢もあれば、ここから育まれる夢もある。アメリカ公演は、それぞれの学生の夢とつながっているのです。

継続が人間としての成長につながる

2003年から連続してアメリカ公演を行ってきたことには、大きな意味があると語るのは、担当教員である小山正教授。「一度だけなら誰だってできるのです。継続していくにはお客さんに喜ばれ、受け入れられなくてはいけない。当然、お客さんは玉川大学のことを知らないアメリカ人が大半。そこで継続して公演ができるということは、玉川大学芸術学部の公演が認められている証拠です。これは、パフォーマンスを志す学生にとって大きな自信につながります」。

そして、アメリカ公演に参加した学生のうち、実に95%の人が2回目の公演にも参加するとも。「一度アメリカ公演に参加した学生には、翌年も続けて参加するよう呼びかけています。1年目は『驚き』や『発見』を経験するのが目的。2年目はその経験を元に、事態を想定してより良い舞台、より円滑な進行ができるように考えるようになる。それを後輩に教える責任もある。それが学生の大きな成長につながるのです」。

2年連続で参加した学生は、太鼓の音も格段に成長すると小山教授は話します。「演奏や演技だけではありません。時間を守るようになる、先を読んで行動できるようになる、自分の意思で動けるようになる。そうした人間的な成長をもたらしてくれるのが、このアメリカ公演の意義なのです」。