科学するTAMAGAWA 多様な海外留学・研修プログラムで玉川大学のグローバル化を推し進める「国際教育センター」

2013.06.25

大学のグローバル化が国をあげて推進されているいま、
玉川大学でも、様々な方向からグローバル化に取り組んでいます。
その中心として機能している「国際教育センター」では、
多彩な海外留学・研修プログラムを設け、
多くの学生に国際的な経験の機会を提供しています。

強く求められる大学のグローバル化

海外留学や留学生の受け入れをしやすいよう学期制度の見直しに東京大学などが動き出したことは、記憶に新しい出来事だと思います。さらに最近では教育再生実行会議でも、日本人留学生の倍増やそのための奨学金制度の拡充に関する提言が打ち出されるなど、現在、大学のグローバル化は国を挙げての課題となっています。

玉川大学もまた、教育理念である「12の教育信条」のひとつに「国際教育」を掲げ、グローバル化を推進しています。その中心を担っているのが「国際教育センター」。留学プログラムの企画・運営や、TOEFL・IELTS・TOEICなどの語学試験情報の提供などに取り組んでいます。

中でも多彩な海外留学・研修プログラムは玉川大学ならではの特徴です。その具体的な内容について、国際教育センター副センター長で、文学部比較文化学科の松本博文 准教授にお話を聞きました。

玉川大学の海外留学・研修プログラム

SAE海外留学研修ガイド

国際教育センターでは、大別して「SAE(Study Abroad Experience)海外留学プログラム」と、「SAE海外研修プログラム」の2種類のプログラムを用意しています。それぞれの概要について、松本准教授は次のように説明します。「留学プログラムは約4ヶ月~1年の長期で、英語圏(イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア)またはフランスへ留学するものです。一方、研修プログラムは約3~5週間の短期で語学・文化を中心に学ぶもので、英語圏とフランス、ドイツ、香港を訪れるプログラムを用意しています」。

すべてのプログラムは全学部全学科の学生が対象。昨年は合計約100名の学生が、海外留学・研修に参加しました。「特に短期の研修プログラムに関しては、『これから外国語や異文化を学び始めよう』という学生に適しています。特徴は、現地の教育機関での語学研修に加えて、文化的な体験学習の機会を充実させたプログラムも用意していることです。例えば、アメリカのダコタ州立大学での研修では、『大草原の小さな家』のモデルとなった家や、西部開拓時代の名残を見学するフィールドトリップを行い、その土地の文化や歴史についても学びます。より深い学びや感動を得られるよう、研修に行く前には研修先に応じた事前指導も行っています」。

スタッフと相談する様子

また場所によっては、研修プログラムと留学プログラムで同じ大学を訪れることも可能、と松本准教授。「ですから、まずは短期の研修プログラムで現地の様子を理解したり語学力を高めたりしたあとで、長期の留学プログラムでもう一度同じ大学へ行って、より深い学びに取り組むということもできるわけです」。

語学+αの異文化体験を

では、長期の留学プログラムにはどのような特徴があるのでしょうか。「留学プログラムには3つのタイプがあります。①語学を中心に学ぶもの、②語学+現地でのインターンシップを経験するもの、③語学+留学先大学の正規課程授業を受講するものです」。

「②のインターンシップを組み込んだプログラムでは、英文履歴書の書き方や英語での面接指導から行います。経験できる仕事も多彩で、例えばこれまでには介護施設のスタッフ、レストランでの接客、バレエ団でのマーケティングでインターンシップを経験した学生がいました。また、教育インターンシップの可能なプログラムもあり、実際に現地の学校で授業支援を行った学生もいます」。

「③の正規課程授業を受講できるプログラムでは、学生の専攻に合わせて、例えば言語学であれば言語学といった専門分野の授業を受けることができます。最近は理系の学生の希望者も出てきていて、一昨年は農学部の学生がイギリスのエセックス大学に留学し、授業で様々な実験にも携わりました。実験ではグループワークが非常に重要視されるため大変だったものの、日本での実験のやり方と比較するなど得がたい経験をすることができたとのことです。こうした経験は、異文化コミュニケーション能力を磨く上でも、とても有意義だと思います」。

多様な経験が異文化リテラシーを磨く

研修プログラム・留学プログラムともに、宿泊は寮かホームステイになります。参加する学生には、そこでの人間関係を大切にして、能動的に行動するように指導していると松本准教授は話します。「例えば、留学中の学生から、寮の隣部屋の学生が夜中遅くまでネットを通して話をしているのでうるさくて困っているという相談がありました。まったく違う文化的背景の人が集まるわけですから、そういうことは往々にしてあるのです」。

その後直接話もしてみたものの、状況はなかなか改善されなかったそうです。そこで部屋を変えるという方法もあったのですが、その学生は自分で工夫して隣部屋の学生に手紙を書き、最終的には関係を改善することができたといいます。「小さなことかもしれませんが、そのように自分なりのやり方で、異文化の相手との間の問題解決を図る経験は、日本では得難い視点や感覚や能力、いわば、“異文化リテラシー”とでも呼ぶべきものを培ってくれます。それは語学力のように数値化できるものではありませんが、グローバル社会で生きる人間にとって非常に重要な力となるはずです」。

もちろん、語学力の向上にも効果があると松本准教授。「留学・研修先でコミュニケーションをとる場合、否応なく英語や現地の言葉を使わなくてはなりません。その経験が机上の学びでは伸ばしにくい部分、『道具として外国語を使う力』を伸ばしてくれます。例えば、海外インターンシップを経験した学生の多くは、身振り手振りがない電話対応が辛かったといいます。しかし、仕事である以上、やらないわけにはいきません。すると次第に電話でのやり取りもできるようになり、対応も苦にならなくなってきます。個人差はありますが、留学後にTOEICのスコアが300~400点も劇的に伸びる学生もいます。留学を通して得られる実践的な学びというのは、そのくらいの力を秘めたものなのです」。

キャンパスの国際化をさらに推進

(左)国際教育センターのスタッフ
(右)もう一人の副センター長 ジョナサン・F・リー准教授

玉川大学では、こうした海外留学・研修プログラムのさらなる推進をめざしています。「長期の留学には、6年前から給付型の『SAE海外留学奨学金制度』を設けており、留学希望の学生を力強く後押ししています。留学から帰ってきた奨学生には報告会に参加してもらい、教職員や学生とその成果を共有する場も設けています。短期の研修にも、昨年度よりスチューデントサポート基金を活用しながら、参加費の支援を行っています。また、留学から戻った学生、これから行く学生、留学に興味がある学生が集まり情報交換をする『留学生交流会』も毎年開催しています」。

さらに、留学生の受け入れも今後は増やしていきたいといいます。「そのためには英語で行う専門科目をいまよりももっと増やすなどして、玉川大学全体がさらにグローバル化の方向に向かわなければならないと考えています。そしてできれば、ただ受け入れるだけではなく、国際寮を設けて、玉川大学のキャンパスそのものが国際的な学びの舞台になるようにできればと思います。それにより、学生が日本にいながらも、身近に国際的な経験を積むことのできる大学にしていきたいです」。

学部でも、近年留学をカリキュラムに組み込んだり、独自の短期受け入れプログラムを実施したりと、それぞれの特色を活かしながら国際化に取り組んでいます。「そうした各学部での取り組みと、SAE海外留学・研修などの全学的な取り組みを大きな両輪としながら、玉川大学全体の国際化をさらに進めてくことが重要と考えています。」