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科学するTAMAGAWA 先進・先端のものづくりを学ぶ エンジニアリングデザイン学科

2014.05.23

技術革新とそれによって生み出される新しいモノ、システム、テクノロジー……
21世紀型のものづくりが進展する社会に呼応するように、
玉川大学工学部に2015年4月に開設されるエンジニアリングデザイン学科※1
モットーとしているのは「見える工学・触れる工学」。
そこには、どのような理念や教育の目的、人材育成の目標などがあるのでしょうか。

  • 12015年4月設置届出中

新しい技術・ノウハウを社会に活かす学び

デジタル化の波は私たちの身の回りのモノはもとより、モノを生み出す“ものづくり”の現場にまで広くおよんでいます。テレビのニュースやCMなどで注目を集めている3Dプリンター(樹脂を積層して立体の造形物を作成する「印刷機」)はその最たる例かもしれません。そうした状況のなか、2015年4月に、玉川大学に新しい学科が誕生します。その「エンジニアリングデザイン学科(2015年4月設置届出中)」は、どのような学科なのか、また、どんなことを学び、将来どんな分野を目指せるのか、などを工学部の春日幸生(かすがゆきお)教授に聞きました。

「エンジニアリングもデザインも聞いたことがある言葉だとは思います。エンジニアリングデザインは、直訳すれば“工学設計”ですが、今ひとつつかみにくいかもしれません。エンジニアリングデザインの基礎となっているのは、機械工学で材料力学や機械力学、設計製図、機械設計などをベースとしています。このエンジニアリングデザインという考え方は従来からあったもので、端的に言うならば『社会に必要なモノやサービス、仕組み、機械などを、科学を駆使してデザインする』ことです」。
大規模な自然災害への対策やロボットなどによる救護活動、燃料電池などの環境対策技術というように、社会現象とも密接に関わり、技術が生活の中でどう展開されているかも考慮することが重要となります。そのためには、従来の機械工学の知識だけでなく、他分野の知識もあわせて修得していく必要があるのです。そうしたこれからの社会に役立つ人材を育てることが新学科の使命といえるでしょう。

ものづくりの概念を変える21世紀の技術革新

エンジニアリングデザイン学科では、学修のキーワードとして、ファブラボ、機械設計、デジタルファブリケーション、品質管理、メカロボット、3D造形、ユニバーサルデザインの7つを挙げています。さらに、共通のプラットフォームの上に専門領域として、ファブラボ、商品開発・デザイン、バイオミメティクス・メカロボット、の3領域を置いています。
「学びの中核となるのが“デジタルファブリケーション(デジタルによるものづくり)”でしょう。大学生活を例にとってみると、かつて卒業論文はトレーシングペーパーに手書きをしていました。それが1980年代になるとワードプロセッサー(ワープロ)が登場し、様相が一変しました。さらに21世紀にはパソコンで作成するようになっています。身の回りのものに目を転じても、カーナビ・カーオーディオの一体ユニット、スマートフォン、電子書籍などデジタル機器にあふれ、その製造現場も手描きで図面を作成していましたものが、二次元CADひいては三次元CADを使うようになるなど製造プロセスにデジタル化の波がおよんでいます。アイデアをパソコン上で設計して、データとして保管し、それを基に必要な量を必要に応じて作れる時代……それを可能にしているのが、3Dプリンターをはじめとしたデジタルファブリケーションなのです。2012年に発刊されたクリス・アンダーソンの著作『MAKERS−21世紀の産業革命が始まる』でもそれに触れられています」。

ものづくり、とくに工業製品においては、製品を作る前段階として試作という工程があります。これまでは試作のたびに金型を起こして少量を作り、それを検証するという作業を行っていました。
「デジタルファブリケーションの発展によって、まず、その工程が劇的に変化します。デジタルデータ化された設計図をもとに、必要な数の試作品が作れるのです。さらに、アイデアを短時間のうちに形にすることも可能ですし、趣味の領域での活用もできるでしょう。また、長年使っていて壊れてしまったモノの一部分を補修するための部品を作るなんてことにも役立ちそうです。いずれも少量あればいいという用途に対応するわけですから、従来の大量生産方式とも共存していくでしょう。これらの技術は、後継者不足に悩む中小の工場が有する技術の伝承にも応用できるはずです。これまでは経験によるノウハウの積み重ねに頼っていましたが、数値化、文章化、画像化できれば、だれにでも同じモノが作れるのです。ただし、現時点では“職人の感覚”の領域にどれだけ近づけるか未知数ではありますが」。

様々な分野で応用が期待できるデジタルファブリケーション技術

3Dプリンターを活用し製品を製造

可変ディスクの有効性を調査

馬の動きからヒントを得た四足ロボット

精細な部品やモノをこれまでよりも手軽に作れるようになるということは、安易なコピーによる著作権の侵害や違法なモノの製造など技術を悪用するケースも少なからずあります。そこで求められるのが“技術者倫理”と春日教授はいいます。 「守るべき倫理や規範も授業を通じて教授する必要があると感じています。3Dプリンターで銃火器を作られては困るわけです。デジタルファブリケーション技術を駆使する次世代の工学人材の育成を目指すのが学科の理念です。商品の企画やデザインから経営までの多様な立場で、国内外で活躍できる工学人材、人の思いを形にできるクリエイターを育てたいと思います。経済産業省の『ものづくり白書』でも、今後のものづくりの潮流として、製造プロセスのデジタル化や現地拠点を活用したグローバルソリューション(世界的事業)展開、ロボットによる製造工程の自動化・効率化を挙げ、それらを実現する先端技術として3Dプリンターや3Dスキャナー(レーザー光などを使って人体や製品などの物体を立体的に計測し3次元データへ変換する装置)、次世代ロボティクスが企業ニーズとして関心が高いと述べています。本学科では、これらの分野で活躍できる人材養成のためのカリキュラムを編成しています。幸い、本学科には機械工学を専門とする教員からマネジメントサイエンスの研究者までがそろっています。それらの叡智を集結した学びの環境で4年間を過ごすことで、商品企画から設計・デザイン、製造、販売、さらには工業デザインにまで将来の途が広がっています。知識をもって人を説得できる技術専門職者や経営にも参画できる技術者をめざすことはもちろんのこと、図面が読める経営者・起業人を目指すことも可能です」。

学部生として4年間過ごすのであれば、3領域の1つを軸にそれと関連する分野を学び、間口の広さと奥行きのある専門性をバランス良く身につけるのが良く、大学院進学を考えている人は4年間の学習をベースに1つの分野を追究していくのが良いでしょう、と春日教授はいいます。
「大学受験はとくにそうですが、高校までは“模範解答のある学び”です。しかし、大学は模範解答を見つける学びへと変わります。その中で大切なのは、幅広く学んだことを組み合わせて考えることやアイデアを出したり解答を見つけ出すトライをすることです。トライした結果は、成功ばかりではないかもしれません。でも、失敗体験もその先へ進むために必要なステップなのです。ましてや、デジタルファブリケーションの分野は、昨日学んだことが今日には更新されていくような“新しいものがどんどんと出てくる世界”で、インターネットでもまだ公開されていないことが次々に生まれてくる分野です。好奇心旺盛な人に向いているのではないでしょうか」。

 

3Dプロッター

玉川大学では、体験授業フェアで3Dプリンターや3Dプロッター(プラスチックや金属などの材料を切削して立体の造形物を作成する印刷機)、レーザーカッターなどを目の当たりにできる機会を設けています。工業製品はもとより、医療関連にもその応用が期待されるデジタルファブリケーション技術に触れられるチャンスです。

工学部 エンジニアリングデザイン学科

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