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科学するTAMAGAWA 学内で異文化交流――リベラルアーツ学部の国際交流プログラム

2015.08.21

リベラルアーツ学部では毎年6月から7月にかけて、海外の大学の「短期日本語研修生」を受け入れています。学部生にとっては、学内にいながら「異文化」と触れあえる貴重な体験です。長年続く同学部の国際交流は、グローバル人材の育成に大きな影響を与えてきました。

「玉川らしさ」をポイントに置いた研修とは、身につけた日本語を極限までアウトプットさせること

リベラルアーツ学部(以下、LA学部)では、海外の大学で日本語を学ぶ学生を「短期日本語研修生」として受け入れる『国際交流プログラム』を、毎年行っています。今年は6月から7月にかけて、シンガポール国立大学、台湾・淡江大学、アメリカ・西フロリダ大学の研修生をそれぞれ3週間ずつ迎えました。
研修は、教員による「日本語授業」、LA学部の「授業聴講」、LA学部学生とディスカッションやリサーチを行う「プロジェクトワーク」の三つを基本に、茶道や書道、近隣小学校訪問、ホームステイなどを行う「日本文化体験」や、地元町田や鎌倉を巡るツアーなど盛りだくさんな内容となっています。
10年近く続く取り組みについて、国際交流を担当する永井悦子教授に話を聞きました。

「研修で玉川に来る学生は、そもそも立派な施設と優れた教員のいる自分の大学で十分すぎるくらい学んでいます。しかも、日本語修得への意欲は非常に高く、学びの姿勢は真剣そのものです。あえて玉川大学への留学を選んだからには、自国の大学では学べない内容、玉川だからできる研修を提供しなければ、彼らの満足にはつながりません」 そこで永井教授をはじめとする国際交流を担当する教員は、さまざまに工夫を凝らした授業や実践を用意しました。そのポイントの一つが、「彼らが学んできた日本語を極限までアウトプットさせること」だと永井教授は強調します。
「自分から日本語を駆使して日本を知ろうとする気持ち、日本語の力をさらに向上させようとする気持ちを揺さぶるようなポイントを重視しています。それが『プロジェクトワーク』。日本の文化に関するテーマを元に、LA学部学生とリサーチやディスカッションを重ね、最後の授業の『日本語発表会』で大勢のLA学部生や教員の前で発表します。来日してからテーマを決めますが、発表の質を高めるには徹底的なリサーチと分析が必要。滞日期間約3週間という短い時間内で日本人と話し合い、意見を聞き、資料を読み込まなければなりません。日本語を駆使して課題にチャレンジし、多くの人の前でアピールすることが、玉川大学で研修を行う最大の成果につながると考えています」
シンガポール国立大学の「日本語発表会」については先にお知らせしたとおり、新設の大学教育棟2014の「アカデミックスクエア」で実施。研修生とLA学部生の活発な意見交換でおおいに盛り上がりました。

「百聞は一見にしかず」――身近な国際交流で異文化に触れ、考えること

「国際交流プログラム」には、もう一つの目的があります。
「LA学部の教育の狙いの一つにあるのが、講義など座学で学んだことを、実践や体験を通して身につけることです。近年、グローバル人材の育成が急務とされていますが、LA学部では英語を使いこなせればよいというだけでなく、異文化に直接触れる体験が語学学習や国際理解の学びを膨らませ、深めるものになると考えています。そこで、LA学部生の有志による『国際交流サポートチーム』を発足させ、『短期日本語研修生』の授業以外のプログラムの企画や運営を任せています。日常生活のサポートや日本語学習のお手伝いなど、異なる文化をもつ同世代の学生との交流は、世界を身近に感じるきっかけになるでしょう。情報化社会でITやインターネットが発達していても、やはり百聞は一見にしかず。リアルな体験、生の声に勝るものはありません。『短期日本語研修生』の受け入れは、LA学部生にとってもメリットなのです」

「国際交流サポートチーム」は、LA学部の1年から4年生までのさまざまな学年の、さまざまなゼミに所属する学生が例年60~80人登録。滞日中の授業以外のプログラムを中心に7~8つのセクションに分かれ、各学生が空き時間を利用して、希望するセクションで活動します。セクションは年により異なりますが、「学内を案内するツアー」「町田や鎌倉などの学外ツアー」「日本食体験」「歓送迎会」「記録(写真・動画)」「研修生が活用するパンフレット制作」「アルバムなど記念品制作」「登録学生のシフトづくり」「会計」など。
「教員から仕事を与えるのではなく、学生が自ら考えて企画できるようにしています。LA学部が目指す、企画力、実践力を身につけてもらうためには、非常に効果的なプログラムだと考えています。また、サポートチームが円滑に機能的に活動するためには、セクションごとにリーダーをおき、さらにセクションをマネジメントする統括リーダーが選出されるのです」
たとえば鎌倉ツアーを実施するには、行程や費用、訪問先のデータ、同行するサポートチームメンバーの動きなどをまとめた企画書を永井教授に提出。「最初の企画書は穴だらけ。友人同士のお楽しみの小旅行ではありませんから、10数人の研修生を安全にアテンドするには綿密な計画が必要です。教員が『こうしなさい』と手だしするのは簡単ですが、それではLA学部生の成長にはつながりません。学生が自ら気づくように根気強く向き合うに尽きます」と永井教授。


10年近く続く「国際交流サポートチーム」の活動は、代々の学生に引き継がれ、「今では、ほぼ申し分なくサポートしてくれている」と永井教授は評価しています。「LA学部は科学から言語・文学までさまざまな分野に興味のある学生が集まっていますし、教員を目指す学生も多いため、何事にも積極的で労を惜しみません。研修生が『LA学部生は授業も宿題もバイトもあるのに、こんなに自分たちのために時間を使ってくれる』と驚くほど、サポート生が親身にサポートしています。サポート生のおかげで『国際交流プログラム』はうまく回っていることを実感しています」
サポート生が1年生の頃は「異文化に触れて楽しい」と考える程度だったのが、学年を追うごとに自分は今何をすべきか、何ができるかを考える力が自然と身につき、永井教授も感心するほど「逞しく、立派になる」そうです。
サポートチームの活動の内容や今年度の国際交流活動について、秋のコスモス祭で発表する予定とのこと。発表が今から楽しみです。

自分の将来に結び付けて考える、国際交流プログラム

これからも続く「国際交流プログラム」の今後の展望について、永井教授は次のように話しています
「研修は、現在のところ来日期間を中心に内容が組まれていますが、今年9月からリベラルアーツ学部で遠隔授業のシステムの運用を開始する予定です。これを活用することによって、来日期間以外でもシンガポールや台湾の大学とつながることができます。たとえば『プロジェクトワーク』のテーマを来日前に決めて、遠隔授業でLA学部生にリサーチやディスカッションしたり、帰国後も継続して調査するなど、通年の国際交流が可能になります。現在、シンガポールや台湾の大学教員と内容や方法を検討しています。また、『国際交流サポートチーム』の学生には、現在も頑張ってくれていますが、さらに自分で考える力をつけ、国際交流の体験を自分の将来にどう結び付けるかを考えてほしい。なかには、研修生の学びの姿に刺激を受けて海外留学をめざす学生もいます。世界に触れる一つのきっかけが、将来を生きる力になると期待しています」
LA学部のキャッチフレーズは、「世界がわかる、自分がかわる」。大学の中で実体験できる「国際交流プログラム」を通して、可能性を世界に広げてくれることでしょう。

鈴木里実(すずき さとみ)さん(4年生)

研修生のサポート活動を通して、異文化への理解が深まりました

高校時代から国際交流の活動を行っていたので、大学入学後に「国際交流サポートチーム」の説明会を聞いて、すぐに参加を決めました。1年次はセクションに所属せず、自分の出来る範囲で歓送迎会のサポートなどの活動をしていましたが、次第にもっと関わりたくなり、2年次でセクションのリーダーが集まる執行部で会計を担当し、3年次にはサポートチームのリーダーを務めました。研修生との交流をきっかけに日本のことをより知ろうという気持ちが芽生えたり、日本との文化の違いを改めて考えたり、多くの学びがありました。3週間という研修期間は短いものの、最後の送別会はサポートチーム生も研修生も号泣で別れを惜しみます。それだけ深く交流できたことで、大学時代の貴重な経験になりました。将来は教育現場で活躍することを目指しており、異文化理解は現場で必須のことですから「国際交流サポートチーム」での経験を活用していきたいと考えています。

佐藤陽周(さとう ひのまる)さん(3年生)

リアルな異文化交流の体験が、海外で学びたい気持ちを後押ししてくれました

高校時代は野球一筋でしたが、大学ではそれに代わるものを見つけようと、いろいろとチャレンジし、1年次の秋に出会ったのが「国際交流サポートチーム」でした。2年次から積極的に活動に参加し、今年はサポートチームのリーダーを鈴木里実さんから引き継ぎました。研修生が滞日期間中、安全で楽しく過ごせるようにサポートするのですが、サポート生を束ねることも大きな仕事の一つです。今年のセクションのリーダーは2年生が多く、後輩とのコミュニケーションを密にとり、サポートチームの活動が円滑に動くように苦心しました。海外の大学から来日する研修生に対しても、異文化、異言語の人との関わりなので、LA学部の後輩に対することと同様に、コミュニケーションで足りない分を補うための努力が必要だと学びました。後に続くサポート生には、異文化との交流の楽しさ、面白さを味わってほしいと願っています。英語教師を目指していますが、研修生との関わりをきっかけに2年次にはカナダへ短期留学を決行。今は長期留学を目指して費用を貯めているところです。「国際交流サポートチーム」の活動を通したリアルな異文化体験が、今しか経験できないこと=長期留学を目指す原動力になっています。

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