科学するTAMAGAWA 「大学教育棟 2014(教育学術情報図書館)」の現在の活用状況とこれから

2015.12.03

正門を入ってすぐ目に飛び込むロケーション、シンメトリーな7階建ての西洋建築にレンガづくりの外観など、玉川のシンボルとして存在感を示す「大学教育棟 2014」。
「1日8時間大学で過ごす。快適に学べる空間」※1として2015年4月より利用が開始された「新しい学修の場」の現在とこれからを、まずは、図書館機能から検証してみましょう。

  • 1大学設置基準では、授業と授業外学修を合わせて1単位45時間の学修時間を定めており、4年間で124単位取得するには、1日およそ8時間の学修が必要となる。本学では、授業と授業の間に空き時間をつくる時間割構成となっており、大学で1日8時間の学修ができる環境を整えている。

使い方に合わせたフロア構成と
使う人を最優先に考えた利便性

「新しい学修の場」である大学教育棟 2014は、大きく分けると4層のフロア構成となっています。1階から4階までは「教育学術情報図書館」で、そのうちの低層2フロアに知識の集積地として図書館機能を、3・4階に知識の交流スペースとしてラーニング・コモンズが置かれています。上層の5・6階は大小の講義室が置かれた知識の獲得と伝達のフロア、最上階の7階は研究室が配された、知識の発展と集積のためのフロア。これらを有機的に関連させることにより、新たな学修形態・学修成果を生み出す複合棟がコンセプトとなっています。

教育学術情報図書館副館長の丹治(たんじ)めぐみ教授は、この教育学術情報図書館を「学生のさまざまな学修をサポートするところ」と説明します。
「従来の玉川大学のキャンパスには、本館の他、学部ごとに分室が置かれ、図書館が分散していました。そのため、自分の学部から離れた場所にある分室に借りに行かなければならないということもありました。また、学術雑誌は利用に際し申し込みを必要としていたため、自由に閲覧することができないものもありました。教育学術情報図書館は、点在していた施設が1か所に集約され、リクエストした本は5〜10分で手にすることができ、学術雑誌も自由に閲覧することが可能になりました」。

ICタグ管理の自動書庫1階では学術雑誌や新聞縮刷版が自由に閲覧できる

使い勝手の向上に大きく貢献しているのが国内最大の規模を誇る自動書庫です(2015年11月現在)。約85万冊を超える蔵書をICタグで管理し、保管・収納から配架・貸出を行っています。さらに、ICタグ対応の自動貸出機を設置。学生証(ICキャンパスカード)を利用すれば、貸出カウンターを介さずに本を借りることができます。
「自動貸出機は4台を1・2・4階に設置しています。開館以来、貸し出しの約60%が自動貸出機を利用しています。また、ICタグ読み取り装置内蔵の返却棚も置き、利便性の向上を図っています。この返却棚は、開架書架から取り出して利用した図書を元の場所に戻す必要がなく、利用者はその分の時間を節約できます。私たちにとっても、どのような図書がどういった頻度で利用されているかといったデータの収集が可能になり、よりニーズに合った図書の提供につながります」という丹治教授。
機械化・自動化を進めるのは、単なる手間・労力の低減のためではありません。その根本にあるのは、学生を中心とした利用者の時間を節約し、本来の目的である学修のために時間を無駄なく使えるようにするという方針。この考え方は、8時30分から21時という開館時間にも表れているといいます。
「1限の始業前に立ち寄って、図書を返却することも、その日必要なものを借りることもできます。21時までとしたのは、学生の帰宅時間を考慮してのこと。中には通学に2時間以上を要する人もいますから、安全面を考えました」。

           ICタグ対応の自動貸出機と返却棚

広々としたスペースだからこそ実現した
個人学修にもグループワークにも対応する使い勝手の良さ

満席となる1・2階の学修個室

機械化・自動化により書庫機能を集約できたことで、生み出されたものがあります。それが、広大なスペースです。開架書架や閲覧スペースなどに加え、個人の学修に適した座席を大幅に増やすことができたと丹治教授はいいます。
「これまでは大テーブルに6席用意されていても、使用しているのは3、4席という状況もあり、利用効率の改善が課題でした。そこで、図書館フロアには個室タイプやテーブルに間仕切りを入れた個人学修席を増やし、3・4階はグループワークなどに適したレイアウトフリーのテーブルとイスを配しました。このことにより、館内の座席が効率的に使われるようになりました。とくに個室の学修席は利用率が高く、日中は96席がほぼ満席となっています。そのため、試験期間中となる1月と7月に限り、1回2時間の予約制としています」。

前年度の入館者数との比較では約2.2倍、貸出冊数も50%近く伸びています。11月7日・8日に開催されたコスモス祭(大学祭)では、わずか2時間で500人の見学者があったそうです。 

では、実際に教育学術情報図書館を利用している学生はどう感じているのでしょうか。

松本さん(左)、宮内さん(右)

教育学部教育学科3年の松本悠さんは「1人で有意義に過ごせる環境ができたと感じています。遠方から通学しているので、乗り換えなどで時間をロスすることがないよう、個室での学修を予習・復習などに充て、時間を調整するという使い方が多いです」といいます。
また、農学部生物資源学科3年の宮内美香さんは「ミーティングで毎週のように利用していますが、個人利用では帰りに立ち寄ることが多いです。課題や実験結果の検証などで図鑑を閲覧する機会が多いのですが、いくつもの図書を広げ、閲覧して返して、また別の資料を閲覧して、ということもあるので、返却棚ができて使い勝手が良くなりました」と語ってくれました。

1階 大きな図鑑なども広げられる
個人閲覧席
通路側が人気の2階個人閲覧席
2階で空席状況を確認できる

ユーザビリティを備えた施設で展開される新しい学びの形

たくさんの人が足を運び、さまざまな使い方をしている教育学術情報図書館。館内を見回してみると、意外なほど利用方法などを説明するサインの掲示が少ないことに気づきます。これは、設計からのコンセプトだと丹治教授はいいます。

2階 ライブラリー・サービス・カウンター

「細かな説明がなくても使えるように、という点もこだわった部分です。実際、学生たちはパソコンなどさまざまな機器を説明なしで使いこなしています。注意書きが少ないのも、同じことがいえるでしょう。“ここではこれをしてはいけない”とか“こうした使い方はOK”とか、その場所や状況に応じて、目的を理解して使用しているように感じます。この大学教育棟 2014には、さまざまな機関の方が見学・視察に訪れています。設備や機器類などだけでなく、注意書きがなくてもきれいに使われていることにも注目いただくことがあります。確かにそれも玉川大学らしい一面かもしれません」。

アカデミック・スクエア

教育学術情報図書館では、ハード面だけでなく、この場所を使った新たな教育にも積極的に取り組んでいます。各学部にそれぞれ担当のスタッフを置き、資料や図書の検索などをサポートしていますし、配架・集荷も含め5〜6名のスタッフが常駐しています。さらに、教学部教育学修支援課と協力し、各種のセミナーやガイダンスを実施したり、レポートの書き方などの講座も開いています。さらに、図書館を探索し、情報を探す、見つけ出すといった授業の場として活用している教員もいます。
「ここは、“こんな本が読みたい”とか“必要な情報の探し方を教えてほしい”といったお願いが気軽にできる場所です。今はインターネットで手軽に情報が入手できる時代ですが、カウンターで話をしながら情報を探すことも大切なアクションです。各学部担当スタッフは学年の進行に合わせて、ゼミや研究室ごとのニーズに応えるガイダンスも引き受けています。まだ利用していない人や頻度の少ない人は、まずは足を踏み入れて、いろいろなものに触れることから始めてみてはどうでしょうか」という丹治教授。お気に入りの場所が見つかれば、きっと学ぶ楽しさも増えるはずです。