2月7日、「第2回SGH玉川学園模擬国連会議」が開催されました。

2016.03.09

昨年に引き続き開催された「第2回SGH玉川学園模擬国連会議(Tamagawa Model United Nations:TMUN)」には、全国各地のSGH(文部科学省が推進するスーパー・グローバル・ハイスクール)指定校をはじめとする15校約140名の生徒が参加しました。各校が世界の国々を代表する大使として討議に参加し、前回にも増して白熱した会議となりました。

今、国際社会が抱えている「難民」問題について、若者らしいユニークな発想で解決策を探る

「模擬国連会議」とは、国連等で行われる国際会議をシミュレートする会議のことを指し、1920年代にアメリカのハーバード大学で始まりました。国際政治の仕組みへの理解、国際問題の解決策を考える過程の体験によるリサーチ、ディベート、ネゴシエーション、スピーチ、草案作成などさまざまな能力の向上を狙った高度な教育プログラムで、現在、世界中の大学、高校の授業や課外活動として行われています。玉川学園では、国際バカロレア(IB)クラスの有志による「模擬国連会議」の実施を皮切りに、平成25年度から一般クラスでも選択授業として採用されており、現在は活発なプログラムとして多くの生徒が参加しています。

このような土壌のある玉川学園では、平成26年度から始まった文部科学省の「スーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)」に指定されたことを受け、全国各地のSGH指定校などに呼びかけて開催したのが、昨年の「第1回SGH玉川学園模擬国連会議(TMUN)」でした。昨年に続き、本学がホスト校となって開催した今回の「第2回SGH TMUN」には、中国・四国地方や関西地方を含め、中学・高等学校の15校約140名の生徒が玉川の丘に集まりました。今回の議題は、「紛争下における難民・国内避難民の問題」。世界中で頻発する民族紛争等による難民は増加の一途をたどっており、まさにタイムリーかつ、世界が抱える難問の一つです。

15校約140名が2つの会場に分かれて、おおいに盛り上がった「模擬国連会議」

会議を企画・運営するために、昨年5月に運営委員会が発足し、議題の選定・議題解説書の執筆、事前練習会や勉強会の開催などを経て、ようやく会議本番を迎えました。

会議は、参加人数が約140名と大勢のため会場を二つに分けて(A会場、B会場)開催し、両会場とも同じ議題(紛争下における難民・国内避難民の問題)」で行います。会議の進行は、ホスト校である玉川学園の運営委員会が、議長・会議監督・書記などのフロントを務め、さらに玉川大学や他大学の学生がボランティアとして補佐しました。参加校と担当国は以下の通りです(50音順)。

  • 愛媛県立松山東高等学校 B:東ティモール
  • 開成中学校 A:アメリカ、B:Aと同じ
  • 神奈川県立横浜国際高等学校 A:コンゴ民主共和国、B:イギリスを加えAと同じ
  • 公文国際学園高等部 A:カナダ、B:パキスタン
  • ぐんま国際アカデミー高等部 A:ブラジル・スーダン、B:Aと同じ
  • 渋谷教育学園渋谷中学校・高等学校 A:ミャンマー・パキスタン・エチオピア・イラン・ポーランド・ハンガリー・ソマリア、B:Aと同じ(パキスタンを除く)
  • 渋谷教育学園幕張高等学校 A:オーストラリア・中国、B:Aと同じ
  • 頌栄女子学院高等学校 A:ウクライナ・トルコ・ルワンダ・アフガニスタン・シリア・ロシア・インド、B:日本を加えAと同じ
  • 昭和女子大付属昭和中学校・高等学校 A:タンザニア・南アフリカ・フランス、B:Aと同じ
  • 広島女学院高等学校 A:デンマーク・サウジアラビア、B:イラクを加えAと同じ
  • 山手学院高等学校 B:カナダ
  • 横浜女学院高等学校 A:東ティモール
  • 立教女学院高等学校 A:クウェート・中央アフリカ・イギリス、B:Aと同じ(イギリスを除く)
  • 立命館高等学校 A:コロンビア・日本、B:Aと同じ(日本を除く)
  • リンデンホールスクール中高学部 A:イラク
  • 玉川学園 A:ケニア・ドイツ、B:Aと同じ

会議は午前9時に開会式で始まり、途中昼食をはさみ、午後3時の決議案提出、同3時半の投票開始まで各国代表が議論を進めました。会議の様子については、玉川学園のSGHの活動を紹介するサイト内で、白熱した会議の様子について多数の画像とともにレポートを掲載しています。

前回の反省点を踏まえて新企画・新ルールを採用した会議の成果と来年への意気込み

2回目を迎えた「SGH TMUN」では、新たな試みを採用しています。これについて、後藤芳文教諭は次のように話しています。
「今回初めて開催したのが、事前勉強会です。前日の2月6日、『難民問題』をテーマにした勉強会の講師に、UNIDO(国連工業開発機構)ウイーン本部財務部長やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日代表を歴任した東洋英和女学院大学大学院教授の滝澤三郎氏、UNHCR駐日事務所副代表の小尾尚子氏、法務省入国管理局審判課長の君塚宏氏の専門家3氏をお招きし、6校約50名の生徒が参加しました。模擬国連で扱う議題は重く難しいものですが、担当国の大使として他国と議論をし、意見をまとめ上げていくにはリサーチなど周到な準備が必要です。時間をかけて十分にリサーチして自分たちの考えが深まったところで、専門家による分かりやすい解説を聞いて気づいたこともあるでしょうし、また質疑応答で自分たちの政策を専門家に相談することで、ブラッシュアップできたことでしょう。難民問題への理解を深めることができた、大変に有意義な勉強会でした。

また、参加校に対して、事前に担当国としての「ワーキングペーパー」の提出をお願いし、さらに参加校に事前配布をしました。担当国の大使が何を考えているかが事前に分かり、お互いに作戦を立てやすくなると同時に、会議で何が主な論点になるか、会議の中身と流れを想定できます。これにより、2回目となる今回は、論点が絞られ深い議論ができた会議になったとみています。

新企画ではありませんが、参加校に対して『バックグラウンドガイド(議題解説書)』を事前にお送りしています。これは議題に関わる論点についての説明と、討議の際に必要な最低限の知識をまとめたものです。参加校はこれを読み込みんでさらにリサーチし、担当国大使としての政策立案に活用してもらうものです。作成には、運営委員会が携わりますが、まとめ上げるには執筆を担当する委員が深く理解していることが必要で時間と労力がかかります。この壁を乗り越えることで、各委員が問題への理解を深め、会議の運営をスムーズにする原動力になりました」
このような事前準備を実践したことにより、「第2回SGH TMUN」は前回よりも進化した内容となり、参加校の生徒や顧問の先生方からも好評をいただきました。

「2回目の参加になりますが、前回の時よりも改善され、事前準備の課題が充実していたので、本番ではかなり議論ができたと思います。2回目にしてこのような会議の内容、進行ともにすばらしいと思います」(参加校生徒)
「英語力、情報収集力が問われる会議ですが、非常にレベルの高い内容だったと思います。TMUNはお互いに刺激し合える場であり、他校との交流の場でもある。さまざまなチャンスを成長につなげてほしいと考えています」(参加校顧問教諭)

来年の「第3回SGH TMUN」開催に向け、後藤教諭は次のように話しています。
「また参加したいという声をたくさんいただいており、とても感謝しています。高度な運営力と重い議題を解決するために創造力・批判的思考力・交渉力などを育成できる高い教育効果を持っている教育プログラムなので、来年もぜひとも開催したいと考えています」

来年はさらに上級レベルの会議を目指します!

今回のレポートで観覧したB会場の議長である佐藤悠稀乃さん(11年生)と、B会場の会議監督でもあり、運営委員会委員長も務めた岡田紗弥さん(11年生)の感想を紹介します。

●B会場議長・佐藤悠稀乃さん
「準備期間が長かったのですが、苦労した甲斐のあるとても充実した会議だったと思います。初参加の学校もあり、模擬国連の初心者がやや多かったのですが、会議が始まると初心者とは分からない盛り上がりのある会議内容になったのが、議長としてとてもうれしかったですね。今後も毎年恒例の行事になってほしいですし、『TMUN』が玉川学園の代名詞の一つになってほしいと思っています」

●B会場会議監督/運営委員会委員長・岡田紗弥さん
「運営委員として2年目ですが、今年は委員が結束して準備に取り組めたことがよかったと思っています。委員長としては、会議開催までの1年間の見通しをしっかりたて、各委員の負担が重くならないようにできたことがよかったのではないかと思います。たくさんの人に支えられ、無事閉幕できて感謝しています。今回は2回目ということで新ルールを採用したり、ステップアップしてきました。来年はさらに上級レベルの会議にしてほしいです」

来年も生徒一人ひとりの頑張りに期待し、さらにスケールアップした「SGH TMUN」を見せてくれることを願っています。