アジアの同世代と共に、ノーベル物理学を受賞した益川敏英先生を囲んでのイベントが催されました。

2016.05.10

4月12日(火)、素晴らしいお客さまが玉川学園を訪れました。物理学者で2008年にノーベル物理学賞を受賞された益川敏英先生と、アジアの高校生のみなさんです。
このイベントは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が推進している「さくらサイエンスハイスクールプログラム」の一環として行われました。「さくらサイエンススクールプログラム」は、未来を担うアジア地域と日本の青少年が科学技術の分野で交流を深めることをめざしており、アジアの優秀な高校生を招へいし、日本の大学や研究機関、科学技術に関する企業などを訪問したり、優秀な科学者からの講義や日本の同世代との交流などを行っています。今回もインド、ベトナム、カンボジア、ラオスから約125名の高校生が来日。その日程の中でスーパーサイエンスハイスクールである玉川学園で生徒との交流会や益川先生との対話が行われることになりました。


当日は午前中にアジアの高校生たちが到着。益川先生との対話の前に、同世代である玉川学園のIBクラスの生徒との交流会が催されました。会場となった大体育館では、日本の文化を知ってもらえるよう、玉川の生徒たちが習字体験や折紙体験など、さまざまなブースを準備していました。

大体育館へとやって来たアジアの高校生たち。各国の代表があいさつを行ったあと、用意されたブースでさまざまな日本文化に触れました。IBの生徒の手引きで筆を使って自分の名前を漢字で書いたり、けん玉や竹とんぼといった日本の玩具を笑顔で体験しました。また世界中で人気の日本のマンガには、競技かるたや落語など日本文化を題材にしたものを揃えるといった工夫がしてありました。

どのブースでもアジアの高校生と玉川の生徒が一緒になって遊びに取り組みました。はじめは少しぎこちなかったコミュニケーションもあっという間に打ち解けて、終盤にはあちこちで記念写真を撮る姿が見られました。

そして午後には益川敏英先生との対話が催されました。益川先生は素粒子理論を専門とする物理学者で、2008年にはノーベル物理学賞を受賞。現在は名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長を務められています。このプログラムにはアジアの高校生やIBの生徒の他に12年生も参加し、会場となった8号館の450教室は満席となりました。

いよいよ益川先生が登場されると出席者全員が起立し、大きな拍手で出迎えました。先生のご紹介が終わると、アジアの高校生や玉川の生徒からの代表質問に、益川先生が答えてくださるというスタイルで対話が行われました。

「科学技術の発展は、同時に環境へ影響を与えてしまうこともあります、それをどう解決していきますか」という問いには、 「公害を減らすための方策も、我々科学者が取り組むべき課題だと思っています。環境に影響を与えずに科学を発展させることは難しいかもしれませんが、そうした方法で対応したいと思っています」と益川先生。
また「周囲に不可能と思われていても自分は可能だと思っていることを、貫くためにはどうすればいいでしょうか」という問いには、「私の場合は比較的自由にやらせてもらっていますが、それが比較的上手くいっている理由なのではないかと思います」と答えてくださいました。

さまざまな問いに、ていねいに答えてくださった益川先生。最後に集まった若い世代に対して次のようなメッセージを送ってくださいました。
「若者が成長する原動力は、憧れとロマンです。目的を持って出掛ければ、きっと何かを見つけることができるはずです。だからこそ憧れを見つけ、旅に出てほしいと思っています」
こうして、益川先生との対話は終了しました。

この日の対話で質問を担当した12年生からは、「ノーベル賞も受賞された方で緊張しましたが、想像以上に気さくで、とても親近感が湧きました(男子生徒)」、「お話の中の『中立的な立場でいることが、最終的には大きな発見につながる』という言葉がとても印象的でした(女子生徒)」といった感想が聞かれました。

アジアの同世代との交流、そして物理化学の最先端で活躍する研究者との対話。玉川の生徒にとっても、非常に有意義な一日となりました。