内閣府国際平和協力本部事務局 宮島局長と小山国際平和協力研究員をお迎えし、『グローバルキャリア講座』を開催しました。

2016.08.18

玉川学園では、2014年に文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」を受け、「国際機関へキャリア選択できる全人的リーダーの育成」をSGH研究課題に掲げてさまざまなプログラムを展開しています。その一つが、2014年度からスタートさせた『グローバルキャリア講座(GLOBAL CARRER LECTURE)』。国際機関や国際NGOで活躍する方々をお招きして現場の声を聞き、今国際社会で起きている問題を考えていくとともに、SGHの個人研究テーマのきっかけや深化をはかるものです。

講演をご覧になる宮島事務局長

6月23日(木)にお招きしたのは、内閣府国際平和協力本部事務局(PKO事務局)国際平和協力研究員の小山淑子氏です。同局は、広報活動の一環として、学校等での講義を積極的に実施しています。この日は、同局長の宮島昭夫氏が来校され、小原芳明学園長との懇談後、高学年校舎アトリウムで行われた『国際機関のしごとのリアル』と題した講演に生徒が自発的且つ積極的に参加する様子を視察されました。会場には12年生が続々と集まり、小山氏の話に熱心に耳を傾けました。

小山氏は自身が従事した国際貢献の仕事について、「武器」「兵士」「自然災害」をキーワードに話しました。まず「武器」については、カンボジア、アルジェリア、マリの紛争地域では、危険な武器類の管理は行き届きません。小型武器だけでなく殺傷能力の高い有毒ガスが放置されるなど、非常に危険な状況で、戦闘中断への第一歩は小型武器の回収であるとして、地域の人々への地道な説得を働きかけました。

次に「兵士」については、武装勢力に対して本国への帰還と社会復帰支援を行いました。あるコンゴ民主共和国のゲリラ兵士は、幼い頃学校で勉強している時に武装勢力に誘拐され、以来そのまま青年兵士とならざるを得ませんでした。小山氏はずっと体を洗っていない彼らから放たれる悪臭に『体をきれいにすること=人間の尊厳』であるとして社会復帰への支援を行いました。
「自然災害」は、東日本大震災をはじめとする世界各地で発生した災害において、リアルな災害の現状を政策に反映させるため、現地での復興支援、現況報告のためのリポート執筆など、精力的な活動を行いました。
最後に小山氏は、「国際貢献は様々な背景の人びとと、同じ目標に向かって仕事をするもので、過酷な環境での活動ではありますが、とても充実した仕事です。日本にいるだけでは経験できないやりがいのある仕事への理解を深めてほしいと思います」と結びました。

講演後に生徒に感想を聞いてみると、「貧困や戦争がある国が存在していることは知っていたが、具体的に何をすればその人たちのために支援ができるのかをずっと考えていましたが、小山さんのように行動に移すことなんだと、気づきました。まだ漠然としていますが、国際貢献に関わる仕事に就きたいと考えているので、とても参考になりました」(12年生男子生徒)、「兵士はほとんどが男性ですが、小山さんは女性でありながら兵士の社会復帰に尽力しているのは凄いことだと思いました。躊躇することなく、思い立ったらすぐ行動する勇敢な方。女性でもこういう人が必要なんだと改めて考えました」(12年生女子生徒)と、小山氏のお話に驚きつつも、将来の道筋に国際貢献という一つの形があることを、改めて認識していました。

グローバルキャリア講座は高校生の世界とグローバルな社会の出来事を結びつける非常に重要な講座です。遠い存在に思っていた国際機関で働くという選択がぐっと身近になり、自分たちの将来の選択肢の一つとしてイメージできる絶好の機会です。
わずか30分ほどの講演会でしたが、生徒に多くのことを考えさせてくださった、意義深い時間でした。

■宮島昭夫氏略歴

昭和56年外務省入省
北米局北米第1課長、国際連合日本政府代表部公使、駐英特命全権公使、東京都庁外務長などを経て、
平成28年2月より内閣府国際平和協力本部事務局長。

■小山淑子氏略歴

筑波大学第三学群国際関係学類を卒業後、2001年に英ブラッドフォード大学大学院にて修士号を取得。修士課程在籍中の1999年に、「グルジアおよびタジクの紛争解決研究」で第1回秋野豊賞を受賞。国連軍縮研究所(UNIDIR)にてマリ、カンボジア、アルバニアでの小型武器回収の調査、コンゴ民主共和国のPKOでのDDR、SSRに従事した後、2007年より国際労働機関(ILO)ジュネーブ本部に勤務、DDRおよび紛争復興社会の民間セクター開発を担当。2011年よりILOアジア太平洋地域総局にて、自然災害対応・復興支援に従事。2016年4月より現職。