旧高等部第一校舎で甚大な地震災害を想定した震災合同訓練が行われました

2017.01.20

災害はいつ起きるかわかりません。その時、一人でも多くの命を守り、少しでも被害が広がらないようにするためには、日々の防災訓練は欠かせません。11月19日(土)、解体工事中の旧高等部第一校舎を舞台に東京消防庁町田消防署を中心とし、町田市、町田警察署、玉川学園など8団体による震災合同訓練が行われ、玉川学園警備隊、玉川大学学生防災ボランティア隊も参加しました。

解体中の建物を被災現場に利用し大規模な震災訓練

玉川学園警備隊をはじめとする総務部職員と
玉川大学学生防災ボランティア隊

今回の震災合同訓練は東京消防庁町田消防署を中心として、町田市、町田警察署、町田市消防団、東京消防庁災害時支援ボランティア、町田市建設業協会、災害救助犬神奈川、そして玉川学園の8団体合同によるものです。それぞれの組織の連携を図る実践的な訓練という目的から、解体工事中の建物を地震によって倒壊した建物に見立てて、がれきの中からの救助訓練や多くの組織が関わる現場での安全管理訓練が行われました。広大なキャンパスを有し、多くの生徒や学生が学んでいる玉川学園は「自分たちの安全は自分たちで守る」という信念のもとに玉川学園警備隊をはじめとする専門スタッフや東京消防庁災害時支援ボランティアに登録している玉川大学学生防災ボランティア隊が地域のボランティアとともに参加。消防、警察、ボランティアとの連携による訓練の中で、人命救助などの活動に取り組みました。

「多摩地区で震度7の地震発生」という想定で

9時30分。訓練開始を前に、現場には多くの参加者が集まっています。前日から建物の倒壊部分や倒壊した建物に埋まった乗用車などが用意され、甚大な災害にあった現場の様子を再現します。解体中の建物の中、そして乗用車やがれきの中には脱出不能となって救助を待つ人々に扮した消防隊員が救助を待っています。

テントの中で機材の説明を受ける
玉川大学学生防災ボランティア隊

地震発生現場にいち早く到着したポンプ車

今回の震災訓練は「多摩地区に震度6弱の地震が発生し、その後震度7の地震が連続して発生。町田は震度6を観測し、旧高等部の校舎の一部が倒壊して、建物、車両の中に複数の脱出不能者が存在。また、火災も発生」という想定で行われました。
東京消防庁災害時支援ボランティアのテントの中には玉川大学学生防災ボランティア隊のメンバーの姿も見えます。「こんなに大規模な倒壊訓練は初めてです」「大々的な訓練はいつもは平日に行われるので、初めての参加です」と緊張気味の学生たち。災害時支援ボランティアの隊長から、現場での役割分担や資材の使い方の説明を受けます。

10時、現場に緊急地震速報の音とともに「訓練、ただいま、町田市で大きな地震が発生しました。かなりの揺れです、建物が崩れています」という放送が現場に響き、合同訓練はスタートしました。
キャンパス内の被害状況を見回る玉川学園警備隊が旧高等部校舎の倒壊を発見し、119番に通報します。そのまま警備隊は救助者の捜索を試みます。
通報を受けた東京消防庁町田消防のポンプ車、指揮車、救急車が現場に到着。消防隊はすぐに指揮本部を設営。現場の統制をはかります。

実際さながらの緊迫感。刻々と変化する現場での救助体制

はしごを使って倒壊建物の3階に進入する消防隊
4階の通路に穴をあけて3階への進入を図るレスキュー隊

消防隊員が、旧高等部第一校舎右側崩落部分の建物2階に取り残された要救助者を助け出すために、三連梯子を使って3階に進入します。そこに警察の特別救助隊の人員輸送バスが到着し、救援に加わります。
救急隊は救護場所を設営。救助隊は歩行可能な救助者を安全な場所に誘導しながら、現場の情報収集を進めながら、傷病者の対応やトリアージ(患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定すること)を務めます。
そこへ突然、再び緊急地震速報の警報が。余震の発生です。救助隊は一時的に安全な場所に退避します。
余震が収まると、意識のない要救助者をロープに吊るした担架で救出します。
指揮官の号令とともに、分単位、秒単位に進む救助作業。地震発生からここまでわずか7〜8分ですが、その間にも現場の状況は刻々と変化していきます。
発生から10分過ぎ。指揮本部では第一回の現地調整会議が行われ、被害の大きさに町田市建設業協会の重機の出動を要請しました。
学生らの災害時支援ボランティアの12人は担架を崩壊した建物に搬送して、そこから介添え搬送、担架搬送、さらに人海戦術でがれきの撤去を行います。
それでも現場ではまだ要救助者が残っています。避難経路が遮断され、閉じ込められた3階の救助者を救出するため、レスキュー隊は4階から穴を開け3階への侵入を試みます。訓練会場には削岩機の音が響いていました。

現場の様子をうかがいながら指示を待つボランティア隊
救助者役の消防隊員(中)を誘導する学生ボランティア
ボランティアの人々と一緒に担架を搬送する学生ボランティア

大型重機や救助犬を使った救助も訓練

パトカーに先導されて、現場に到着した建設業協会の重機

パトカーの先導で応援要請を受けた町田市建設業協会の重機が到着しました。パワーショベルでがれきを掘り起こし、崩壊した建物や押しつぶされた車の中から、閉じ込められた救助者を救出します。
それでもまだ、崩落した校舎の中には閉じ込められた人がいる様子。そこで災害救助犬での捜索が始まります。重機やハンマードリルなどの作業を停止するサイレントタイム(要救助者の発する声や物音を聞くために、重機などでの作業をとめ、静かな状態にすること)をはさんで、5頭が現場に放たれました。そして、がれきの中から2人の救助者を発見。その場で救出活動が始まり、救出に成功しました。
さらに余震によって、火災が発生した想定で、ポンプ車から一斉放水。この日に計画されたプログラムが終了しました。

重機でがれきを撤去して、倒壊建物の中から救出
余震で発生した火災を想定。消防隊が放水
訓練の最後に参加者が整列。消防署長の講評を聞く

現場に参加者全員が整列。最後に水野晋一町田消防署長の講評がありました。
「玉川学園旧高等部解体校舎を活用させていただき、実践的な訓練ができました。壊滅的な状況という想定で行いましたが、建物を使って、皆さんが実際に活動する手順、救助救出要領、安全管理要領が確認できたと思います。皆さんもご存知の通り、いつ大きな災害が起こるか分かりません。自分たちの経験知識として生かせるようにお願いします」

大規模な訓練の中でボランティア隊の学生が学んだこと

平成12年に学生の発案で生まれた学生の課外活動「玉川大学防災ボランティア隊」は「自分たちの学校は自分たちで守る」というモットーを掲げ、学内の防火・防災活動や近隣町内の防災訓練支援など啓発活動を行っており、東京消防庁災害時支援ボランティアに登録しています。今回の訓練でも有志5人が参加しました。

  • 「教員を志望しており、将来も子供たちの命を守らなければならない立場なので、非常に役に立つと思いました。倒壊現場の訓練は2回目です。他にも消防署が主催する訓練にも参加していますが、なかなか想定通りには動けません。また、現場はいろいろな情報が錯そうします。その中で、自分たちがどう迅速に的確に動けるかがポイントだと思いました」(戸部大歳さん、教育学部教育学科3年)
  • 「大学入学前から災害ボランティアには関心がありましたが、2年生になって隊に参加しました。今回の合同訓練では規模の大きさに驚きました。レスキュー隊や警察の行動を見て、技術の高さと訓練の豊富さに感心しました。今後も大学内だけでなく、地元の防災活動にも参加して知識を身につけていきたいです」(野口昂宏さん、工学部機械情報システム学科2年)
  • 「大学入学後、一人暮らしをして、自分の身は自分で守らねばならないと考え、防災に興味を持ち、2年生から隊に参加しています。いろいろ考えて動かなくてはと思っていても、一つのことに集中して、逆に周りが見えなくなります。他の訓練にも積極的に参加して、自分でできる防災の勉強をしていきたいです」(川口俊綺さん、文学部人間学科2年)
  • 「教師を目指していて、人と関わることに興味があったので、ボランティア隊に参加しました。講習会には積極的に参加していますが、ここまで大掛かりな訓練は初めてです。話を聞くだけでなく、実際の体験は大切だと思いました。困っている人にさりげなくフォローし、救助を円滑にできるようにしたいと思っています。これからもイベントに積極的に参加して、得た知識を家族や友人に伝えたいと思います」(石田創太郎さん、文学部人間学科2年)
  • 「東日本大震災が起きた時、私は中学校の中にいましたが、揺れで天井からものが落ちたりして、自分の体は自分で守らなければいけないと思うようになりました。高校には防災に関する活動はなかったので、大学に入学して包帯法や応急手当が学べると聞き、ボランティア隊に入りました。ボランティア隊としては、消火器やAEDの使い方、包帯法を子供たちに教えたり、町田市の自衛消防技術発表会で消火栓の消火訓練の競技会に出場するなど、積極的に参加して、いろいろな隊の方の活動を見て、自分に何ができるのかを学んでいます。今後は、避難所でのお年寄りや子供たちのケアなど、大学生でもできる活動も行いたいです」(原田みどりさん、農学部生命科学科2年)

通常の訓練活動ではできない経験を通して、隊員一人ひとりの防災意識や課題にも変化が見られます。そして、この経験は防災活動だけではなく、今後の学修や地域貢献や人々のコミュニケーションなど、学生一人ひとりのさまざまな取り組みに生かされることでしょう。

訓練の様子

玉川学園警備隊が現場確認
3階にいる要救助者を発見したため、119番通報
119番通報で消防隊が到着
消防隊が指揮本部を設置し、現場を統制
3階の要救助者をはしごで救出
その間に救急隊が到着し、救護所を設置し救出された傷病者を対応
警察署からも機動隊が出動し、救出作業にあたる
消防の特別救助隊により、3階の要救助者は救出された
消防団も現場にかけつけ、がれきの撤去、要救助者の救出を行った
重機も出動し、がれきの除去にあたる
災害救助犬による捜索活動。救助犬のためのサイレントタイムも設定
災害時支援ボランティアは傷病者の搬送や後方支援を行った