5年生から大学までの水泳部員が一堂に会しての合同練習会を開催。パラリンピックのメダリスト、木村敬一選手も参加しました。

2017.01.11

12月3日(土)、玉川学園水泳部の合同練習会が開催されました。5-8年生、9-12年生、そして大学とそれぞれに水泳部があり、いままでお互いの交流は多くはありませんでした。全体の泳力向上を図り、縦の繋がりを強固にして「チーム玉川」として水泳部を盛り上げていくために、今回合同練習会が企画されました。また今回は特別に、2016年パラリンピック・リオデジャネイロ大会に出場した競泳の木村敬一選手をお招きし、模範泳法や水泳に取り組む姿勢などを指導していただくことになりました。

大グラウンド裏手にある屋内プールに、続々と生徒たちが集まってきます。そして合同練習を行う前に、木村敬一選手からのお話がありました。
1990年に滋賀県で誕生した木村敬一選手。生まれて間もなく全盲となりましたが、小学校から始めた水泳で頭角を現し、世界ユース選手権などで活躍。パラリンピックには高校3年生だった2008年の北京大会から出場し、2012年のロンドン大会では100メートル平泳ぎで銀メダル、100メートルバタフライで銅メダルを獲得。2016年のリオデジャネイロ大会では50メートル自由形と100メートルバタフライで銀メダル、100メートル平泳ぎと100メートル自由形で銅メダルと、日本人選手では最も多い4つのメダルを獲得しました。また2016年に制定された第一回日本パラスポーツ賞では大賞も受賞するなど、競泳の枠に留まらず、日本の障がい者スポーツを牽引する存在でもあります。

パラリンピックのリオデジャネイロ大会では、金メダル候補と言われながらなかなかコンディションが上がらなかったという木村選手。競泳は午前中に予選があり夜に決勝を行うそうですが、三種目を終えて銀、銅、銀と、金メダルには手が届きません。そして四日目に100メートル自由形の予選を7位で終えた時、コーチから「午後の決勝はどうする?」と言われたそうです。「この『どうする?』は、棄権するかどうかという意味だったと思うのですが、自分の中に棄権という選択肢はありませんでした」と木村選手。しっかりと休息と栄養を摂って、決勝に臨み銅メダルという結果を残すことができました。「目標は金メダルでしたから、悔しい気持ちはありました。けれども、逆境で成果を出せたことは誇りに思っていますし、パラリンピックという世界最高の舞台でそれを成し遂げたことで、たくさんの発見もありました。こうした発見は、何もスポーツに限ったことではなく、勉強や芸術などさまざまな分野でもできることだと思います。どんなことでも限界まで取り組んでみると、新しい世界が見えてくるのではないでしょうか」。
お話を伺った後には、「4年ごとというパラリンピックに向けて、どのようにモチベーションを維持しているのですか?」といった競泳に関する質問から、「普段、料理はされるのですか?」といった身近な質問まで、さまざまな質問に答えてくださった木村選手。「木村選手にとって水泳とは?」という質問には、「一言で言えばアイデンティティです。水泳を通して多くの経験ができたし、多くの人にも出会うことができました」と答えてくださいました。

そして、いよいよ合同練習です。プールの各レーンに4、5名の学年の異なる水泳部員が入り、練習が始まりました。まずは何回か泳いだり、ビート板を使って泳いでみます。練習の途中では、上級生が下の学年の部員に指導を行うなどの交流がプールのあちこちで見られました。その後、ブラインドゴーグルを装着して泳いでみます。ブラインドゴーグルとは、パラリンピックなどで視覚障がい者が競泳を行う際に、条件を統一するため装着するもの。黒い素材で作られており、装着するとまったく周囲が見えなくなります。進行方向が分からないため、部員同士で声をかけ合いながら泳いでみる部員たち。目が見えないにも関わらず100メートル、200メートルを泳ぎ切る、木村選手の凄さを実感します。学年の異なる部員との交流、そして木村選手の泳ぎを目の当たりにするというまたとない機会。部員たちは今回の合同練習を通して、多くの経験を得ることができました。


練習後には、部員たちにパラリンピックで手にしたメダルを見せてくれた木村選手。今回の合同練習に関しては「皆が気を配ってくれると同時に、抵抗なく接してくれたので今日はとても泳ぎやすかったですね。僕の泳ぎを見て水泳にはこういう世界もあるんだと知ってもらいたいですし、ぜひパラリンピックの試合会場にも足を運んでもらいたいと思います」と語ってくださいました。 また今回の合同練習に参加した各年次の水泳部員からは「木村選手と同じレーンで泳ぎましたが、水泳以外の話をして和ませてくれたことが印象的でした(6年生・宮川さん)」、「ブラインドゴーグルで泳いでみましたが、これまでにない経験で怖かったです。その一方で違う年代の部員と泳ぐのは、とても楽しかったですね(10年生・大滝さん)」、「木村選手に泳ぐ際の感覚について聞いてみたら、スピードについては目が見えない分、肌で感じることが多いという話に驚かされました(農学部生物資源学科1年・西野さん)」、「木村選手は練習でもフォームを自分で確認することはできないので、鍛える筋肉の部位や体幹などを考えて練習しているという話が印象的でした(農学部生物環境システム学科1年・原さん)」、「6年生であまり自信が無さそうに泳ぐ部員がいたので、積極的に声をかけてみました。K-12の生徒たちがどのような練習をしているのかよく分からなかったのですが、そうしたことを知るいい機会になったと思います(教育学部教育学科1年・山下さん)」。
さまざまな年代が一堂に会して同じことに取り組めるのも、総合学園である玉川ならではといえます。合同練習の最後、「来年も一緒に練習しましょう」というコーチの呼びかけに、全員が大きな声で「はい!」と答えていたのが印象的でした。