2月5日、全国から19校、138名の生徒が参加した「第3回SGH玉川学園模擬国連会議」が開催されました。

2017.03.01

玉川学園の生徒が企画・運営する「SGH玉川学園模擬国連会議(Tamagawa Model United Nations:TMUN)は、今年で3回目となります。全国のSGH(文部科学省が推進するスーパー・グローバル・ハイスクール)指定校をはじめとする19校138名の生徒が参加し、各国大使として本物さながらの討論で盛り上がりました。

本会議前日の専門家による研修会で学び、翌日の会議に活かす

「第3回SGH玉川学園模擬国連会議」は、玉川学園(9-12年)、玉川学園SGHプロジェクト、慶應義塾大学模擬国連日吉研究所の後援のもと、玉川模擬国連運営委員会の生徒が主体となって運営しています。今回の議題は「児童労働の根絶」。世界中で幼い子供たちが過酷な労働条件で働かされている現状に対して、長期的かつ持続的なアプローチによる児童労働の根絶を目指しています。児童労働が蔓延する根底には複雑な問題があると考えられることから「教育」「法」「経済」の3点を論点に設定し、午前に3つの委員会に分かれて討議し、午後に全員参加による総会で決議案(DR)を提出して総括するといった、これまでとは異なる会議形式を採用しました。

また2月5日の会議に先立ち、前日に「児童労働問題研修会」として国際労働機関(ILO)駐日事務所駐日代表の田口晶子氏、デロイトトーマツコンサルティング執行役員・世界戦略室ディレクターの田瀬和夫氏をお招きして、「世界の児童労働問題の概要と国際機関の取り組み」についての講演と質疑応答を行いました。会議に向けて児童労働について学習、調査をしてきただけに本学をはじめ、他校の多くの生徒による積極的な質疑応答が重ねられ、翌日の会議に活かそうとする意気込みが感じられました。

2月5日の本会議は、午前9時の開会式で幕を開けました。参加校は以下の通りです。

浅野中学校、愛媛県立松山東高等学校、かえつ有明中・高等学校、神奈川県立横浜国際高等学校、公文国際学園中等部・高等部、ぐんま国際アカデミー中等部・高等部、晃華学園高等学校、聖心女子学院高等科、清泉女学院中学校、頌栄女子学院中学校・高等学校、昭和女子大付属昭和高等学校、渋谷教育学園渋谷中学高等学校、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校、広島女学院高等学校、山手学院高等学校、横浜女学院高等学校、立教女学院高等学校、立命館高等学校、玉川学園(9-12年)

参加校を46の国に振り分け、午前の部に「教育」「法」「経済」の3つの委員会が行われました。先進国と発展途上国でそれぞれ意見が分かれ、まとめ上げることができるのか、不安を抱えながらの会議となりました。昼食をはさみ、午後からは参加者全員が本会場に集まる会議がスタート。各委員会での意見を包含した決議案(DR)の作成に向けて最終調整を目指しましたが、初めての会議形式のために会議運営がスムーズでなかったり、ネットワーク上のトラブルや情報伝達上のミスがあったりして、一時は混乱に陥りました。しかし、スタッフが粘り強く会議運営に臨み、参加者の協力のもとで、不完全ながらも「法」の委員会から決議案が提出され、各国から賛同を得て、決議として採択されることとなり、会議を閉幕することができました。

トラブルを乗り越えて、新しい会議形式で議論を深める

今回の「第3回SGH玉川学園模擬国連会議」は、玉川学園の12名の運営委員が議長・会場監督・書記等のフロントを務めました。委員長兼会議監督の酒井佐武利さん(11年生)は会議を振り返り、次のように話しています。

「昨年は運営委員会でセクレタリーとして参加し、今年は重要な役割を務めることになり緊張しながら会議に臨みました。前例のない会議形式を採用し、運営委員会一同、長い時間をかけて試行錯誤してきましたが、結果的には進行にてこずった会議となってしまったのが残念です。『児童労働の根絶』という重い議題に対して、3つの委員会で討議するのはよかったのですが、DRにまとめるには午後の総会の時間的な余裕がなく難しかったと痛感しています。またDRについても、不備な点があり運営委員会が望む形でなかったことも残念です。運営委員会では、お昼や放課後に集まって入念に準備をしてきたつもりですが、練習不足の影響は大きいと思います。しかし、前日に行った専門家による研修会では、積極的に質問する生徒が多く、議論を深める知識を得ることができ、翌日の本会議に活かされたと思っています。今回の議題は3つの委員会を開催する会議形式で行いましたが、来年以降は議題により異なる形式になるかと思います。今年の経験を活かし運営を改善して、よりスムーズに楽しい会議にしたいと思います。来年もたくさんの参加をお待ちしています」

また、午後の総会で共有ネットワーク環境のトラブルに見舞われ難航する会議で、運営委員会をサポートする手腕を発揮した運営委員会OGの佐藤悠稀乃さん(12年生)は次のように話しています。

「ネット上のトラブルについては、準備段階から書類などのやりとりで問題なく使用していましたから、いざ本番でトラブルとなったことは想定外でした。また、今回の3つの委員会制採用については、昨年の第2回開催時から実践したいと運営委員会内で提案がありましたが、DR提出までの時間的な問題などが課題となり、断念した経緯があります。したがって、今回この会議形式にチャレンジしてよかったと思います。今後は、基礎的な部分をしっかり学び練習を重ねるためにも、会議運営で臨機応変に対応できるようOGとしてサポートしていきたいと考えています」

玉川学園(9-12年)で「模擬国連」の指導を担当する後藤芳文教諭は、今回の会議について次のように評価しています。

「3つの委員会制を採用しましたが、重い議題なので各委員会でも統合するのは難しく、しかも午後のわずかな時間でDRを出すのは大変厳しいだろうと想定していました。また運営面では、運営委員会メンバーは総勢12名で3つの委員会を運営しつつ、総会も仕切ることにも苦労していましたが、OGが助け舟を出してくれて何とか閉会まで運べたのは、生徒間に強いつながりがあったからこそと思っています。この会議を振り返り反省をするうえで、まずはこの会議形式が今回の議題に合ったものだったかを検証します。会議形式は議題の内容に応じて変化し、新たな形式が今後の課題すべてに当てはまるものではありません。ただし、3つの委員会に分けることで、一つ一つにしっかりと取り組むことができたのは、今後に活きる収穫だと思っています。『SGH玉川学園模擬国連会議』は、生徒主導の活動で教員はあくまでもサポートの立場にあります。生徒は教員を引っ張っていくほどのすばらしい力を持っています。またこの活動は普段の教科学習、彼ら自身の勉強の上に成り立ち、さまざまな力を統合して運営している会議です。活動を企画・運営するマネジメント能力はかなりついてきており、今後もっと広く大きな活躍につながると考えています。『SGH玉川学園模擬国連会議』への認知度が高まり、今回19校が参加してくださいました。模擬国連会議初心者でも会議で存分に活躍できるよう、事前練習会を10月と12月に開催しましたが、これも運営委員会の発案で、とても役立ったのではないかと思います。昨年からは事前研修会で専門家の講演を実施していますが、前日の学習が会議の議場で反映できたと思います」

来年も多くの学校に参加をよびかけ、「SGH玉川学園模擬国連会議」を盛り上げていきたいと考えています。