読み聞かせから一歩踏み込んだ読書教育法。幼稚部教諭を対象としたアニマシオン講習会が開催されました。

2017.07.03

5月10日(水)、学園マルチメディアリソースセンター(MMRC)において、幼稚部教諭を対象とした読書へのアニマシオン講習会が行われました。
耳慣れない言葉ですが、「読書へのアニマシオン」(animacion)とは子供を対象とした体系的な読書教育法のこと。1980年代にスペインのモンセラット・サルト氏によって開発されました。皆で同じ本を読んで理解を深めていく、遊びを通じて読解力を高めていくことを目的としています。アニマドールと呼ばれる進行役が、子供と本の仲介役となってアニマシオンを行います。一般的な「読み聞かせ」との違いは、単に進行役が本を音読するのではなく、読書を通じたさまざまな「仕掛け」を取り入れることで、子供たちが前向きに、そして深く本を読むことを目標としている点。アニマシオンにおいてはこの仕掛けのことを「作戦」と呼んでいます。読み聞かせには幼児を対象にしたイメージがありますが、アニマシオンには幅広い作戦があり、中学生程度までを対象としたものもあります。幼稚部では数年前にもこのアニマシオン講習会を行いましたが、今年度新たに教諭が増えたこともあり、改めて講習会を行う運びとなりました。

指導を担当するのは、MMRCの伊藤史織司書教諭です。サルト氏は著書の中で75種類の作戦を紹介しています。「その中で、特に幼稚部生に効果的だなという作戦も徐々に見えてきました」と伊藤司書教諭。今回は、その中の幾つかの作戦を、幼稚部教諭が実際に体験しました。
伊藤司書教諭が最初に薦めたのが、「読み違えた読み聞かせ」という作戦です。これは5分程度で読み終わるような絵本を題材に、まずアニマドールが子供たちに読み聞かせます。その後、「もしかしたら間違えてしまうかも」などと前置きした上で、同じ絵本を読み聞かせるのですが、たとえばお話に出てくる「リンゴの木」という部分を敢えて「ミカンの木」と読みます。読み間違いに気付いた子供は、アニマドールに対して間違いを指摘します。こうした間違い探しの面白さから、物語を深く読み込むことを目的とした作戦です。
また「ここだよ」という作戦では、登場人物の多い絵本を選んで、まずは子供たちに読んでもらいます。読み終わったら本を回収し、一人ひとりに予め用意した登場人物の紙人形を配ります。そして改めてアニマドールが読み聞かせを行い、そこで自分の選んだ登場人物が出てきたら「ここだよ!」と言います。登場人物の違いに注目し、話を注意深く聞くことをねらいとした作戦です。
この日の講習会では、この他にも特徴的な作戦が紹介されました。どの作戦も読み聞かせから一歩踏み込んで、子供たちを読書に向かわせる工夫がされています。また、読書教育法といっても楽しみながら習得できる点もポイントです。

櫻井幼稚部長も「幼稚部でも普段から読み聞かせは行っており、そこにはきちんとした意図もあります。その意図をより明確にしたのが、このアニマシオンという考え方だと思います。子供たちは入園から卒園まで、約600日を幼稚部で過ごします。毎日1冊読み聞かせを行って、そこでアニマシオンの作戦を取り入れれば、さらに読書を楽しめるのではないでしょうか」と、アニマシオンの効果に期待を寄せます。MMRCでは、児童・生徒の主体的な学びを促進することはもちろんのこと、このように教員の指導法の研修、ツールの紹介なども行っています。
1時間ほどの講習会でしたが、幼稚部教諭にとって、明日からでも現場で生かせるヒントがあったのではないでしょうか。