ワンキャンパス、SSHといった玉川学園のメリットを生かし、高大連携によるサイエンスサマーキャンプが行われました。

2017.09.07

夏休み期間を利用して、9-12年生では玉川大学農学部との連携実験講座「サイエンスサマーキャンプ」を毎年実施しています。このプログラムは私たちの身近なところにあるサイエンスの“なぜ”を題材に、大学レベルの研究活動によって紐解いていくというもの。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、なおかつ大学も同じキャンパス内に設置されているという、玉川学園のメリットを生かしたプログラムで、毎年科学に興味のある9~12年生が参加しています。

今年度は7月26日(水)と27日(木)に開催され、のべ32名が参加しました。1日目は「食品添加物の分析」と題して、コーラからカフェインを抽出して昇華法で結晶化した後、薄層クロマトグラフィを用いて分析するという化学系の授業を行いました。そして2日目は「果実の品質調査」と題して、学内で栽培している果実の基本的な品質調査と糖組成の分析に挑戦するという農学系の授業を行いました。ここでは2日目に行われた果実の品質調査の様子をご紹介します。

この日の指導を担当するのは、農学部生産農学科植物科学領域において、園芸植物や作物の栽培技術、品種改良、遺伝子解析などの研究に取り組む水野宗衛教授。専門は果樹園芸学です。この日の授業では午前中にまず教室で果実に関する概要を説明した後、屋外の農場を見て回りました。玉川学園内にある農場は、キャンパスの中でも最も奥まった場所にあるため、初めて訪れるという生徒もいます。生徒たちは果樹についての解説を聞きながら、農場を進んでいきます。中には日本で栽培初期に植えられたといわれているキウイの果樹などもあり、生徒の関心を集めていました。また都内でありながら近隣にはタヌキやハクビシンなどの野生動物が生息し、育てた果実を食べられてしまうことや、農家がミカン1キロを何円で出荷するのかなど、果樹園芸に関するさまざまな話を聞きました。また農場内のビニールハウスを農学部の学生達と作成したといった話も、生徒たちを驚かせていました。そしてパッションフルーツ、アボカド、マンゴーなどの圃場を見学した後、ブルーベリーを採取しました。実際に採取し食べてみることで、食べ頃の大きさや実の色を体験的に理解できたようです。

午後は大学6号館に戻り、4名程度のグループに分かれて実験を行います。用意されたレモンやリンゴ、そして午前中に採取したブルーベリーを使って、果実に含まれる酸と糖について調べます。
実験は、水野先生が手順を説明し、大学での実験と同様に使用する器具を用意するところから始まります。果汁中の有機酸の測定には中和滴定を行います。搾汁した果汁を計りとり、フェノールフタレインを加え、水酸化ナトリウムで滴定して果汁の酸度を測定します。当初は慣れない実験器具に四苦八苦していた生徒たちですが、水野先生やサポート役の大学生の指導もあり、後半では自分たちでアイデアを出し合いながら実験を進められるように。また、同級生同士ではなく、年次の異なる生徒のグループ構成になっていることで新たな交流が生まれ、上級生が下級生に指導するといった場面が見られました。

このサイエンスサマーキャンプは9-12年の先生と大学の教授が意見を出し合いながらプログラムを作成しています。9-12年で物理を指導している矢崎貴紀先生は「普段の授業では、教科書に沿って基本の実験を行うことが中心となります。大学ではそれに加えてより実践的に、自分なりの考えに基づいて実験計画を立てるといったことが求められます。今回の参加者の中には、来年度から農学部で学ぶ予定の生徒もいますから、大学や社会で求められる実験に対する姿勢を、このキャンプで学んでもらいたいですね」と語ってくれました。
すべての実験を終え、実験器具を片付けた後、生徒全員に水野先生から修了証が手渡されました。

2日間のプログラムの両方に参加した生徒に、話を聞いてみました。
「中学年の頃にレタスをLEDで栽培しているのを見て以来、先端食農学科への進学を希望しています。今回農場を見学したり、9-12年生とは違って学科ごとに設備の異なる実験室を見たことで、農学全体に興味が沸きました。また普段の授業では化学に苦手意識をもっていたのですが、今回の実験が楽しかったので、秋からは前向きに取り組めそうです(11年女子)」。
「先端食農学科への進学を予定していて、将来は食品メーカーで製品開発や食品管理などを行いたいと思っているので、今回のプログラムに参加しました。同級生ではなく下級生と組んで実験を行った経験は、大学や社会に出たときに役に立つと思います。また普段の授業では生物と化学は別の科目として学んでいますが、農学や食品の分野ではそれらが密接にリンクしているのだと、今回の実験を通して感じました(12年男子)」。
「私はSGHの授業も履修しているので、日頃から地球規模の食糧問題などを考える機会があります。将来はそうした問題を解決できるような仕事に就きたいと思って、食について知るためにこのプログラムに参加しました。今回は実験の準備からすべてを自分たちで行い、チーム間の連携や自主的な行動が重要だと感じました。卒業まであと半年ですが、チームでの実験に必要な伝達方法などを身につけていきたいと思っています(12年生男子)」。
どの生徒からも「楽しかった、面白かった」だけにとどまらない感想と今後の課題を聞くことができました。これも日頃から目的意識をもって学んでいるからかもしれません。
サイエンスサマーキャンプは高校での授業とは異なり、終日にわたって一つのテーマに取り組む、大学での学びを先取りできる貴重な機会です。こうしたプログラムが実現できるのも、幼稚部から大学までが一つのキャンパス内にあり、教員同士も緊密な連携をとれるからです。たった2日間のプログラムですが、参加した生徒にとってはこれからの学びに大きな影響を与える、貴重な体験となったのではないでしょうか。