東京演劇大学連盟5大学による『シアタースポーツTM』が大盛況のうちに終了しました

2017.11.06

9月15日(金)~18日(月・祝)の4日間にわたり、東京芸術劇場シアターイーストにて上演された『シアタースポーツTM』。演劇実践系5大学混合の8チームが即興演劇で激突するエキサイティングなステージです。最終日の上位4チームによるファイナルラウンドをご紹介します。

「演大連」による第5回目の公演は、玉川大学主催の『シアタースポーツTM

2017年8月23日配信の「玉川の教育――教育活動レポート――」で、9月15日(金)~18日(月・祝)に東京芸術劇場シアターイーストで上演される『シアタースポーツTM』の稽古場の様子をお知らせしました。4日間5公演のチケットはほぼ完売となり、お客様の期待の高さが表れていました。 9月18日の最終公演は、2リーグ(ナグリーグ・バミリーグ)の8チームから勝ち上がった4チームによる決勝ラウンドです。その様子をご紹介する前に、『シアタースポーツTM』について振り返ります。

『シアタースポーツTM』とは、「即興演劇(Improvisation<インプロヴィゼーション、通称:インプロ>)の父」、キース・ジョンストン氏(Keith Johnvstone、1933-)によって創始された「演劇」と「スポーツ」が融合したエンターテインメントで、現在30か国以上で上演されています。3~5名のチームに分かれた出演者たちが、お客様からいただいた「お題」をもとに、さまざまなルールに従って「その場」でお芝居を創り、対戦するものです。上演された劇は、3人のジャッジが「スキル」「ストーリー」「エンターテインメント」を担当して採点。最終的に得点の高かったチームが優勝です。最後まで展開の分からない、お客様と共に創り上げる、客席一体型のエキサイティングなステージです。

今回は、演劇の実技教育を担う都内の5大学(玉川大学・多摩美術大学・桐朋学園芸術短期大学・日本大学・桜美林大学)が設立した「東京演劇大学連盟(通称:演大連)」による5回目の公演で、玉川大学主催です。演大連のオーディションで選出された36名のキャストと、舞台監督、美術、照明、音響など16名のスタッフが参加。キャストは2つのリーグ(ナグリーグ・バミリーグ)に4チームずつ、計8つのチームに分かれ、4日間5公演でグランドチャンピオンの座をねらいます。

Nag LEAGUE(ナグリーグ)

葉緑体ガールズ
加來梨夏子<桐2>、中村泉<桐2>、金田紗季<桐2>、青木みなみ<桐2>
イエローナイフ
富山華佳<桜4>、下川原裕香<多1>、河野こころ<桐2>、鈴木天優<玉2>
青魚
岩見聡文<玉4>、河野まとい<多4>、芳田遥<多2>、河内宏大<桐2>、神保玲奈<桐2>
ビッグバーン
薮田凜<多1>、畑中瀬音<多4>、大西薫<桜4>、長谷川亜弓<桐2>、丹野武蔵<多2>

Bamy LEAGUE(バミリーグ)

いちごみるくぅ♡
昌本尚輝<多2>、武市都生実<桐2>、阿部百衣子<多4>、上杉颯<桐専1>
クマノミ家族
山賀季輝<玉2>、福井詩織<玉3>、地福海也乃<多1>、林夏生<多2>
ポップンポイズン
金森朱音<桐2>、阿部樹里亜<桐2>、福岡悠莉<日3>、石田彩乃<桐2>、由井みなみ<桐2>
ウォーターガールズ
小林華子<桐2>、森本野々花<桐2>、小畑水芙<多1>、金子美紗<桐2>、城あすか<玉2>
  • (桜)桜美林大学 (玉)玉川大学 (多)多摩美術大学 (桐)桐朋学園芸術短期大学 (日)日本大学 専:専攻科
  • 数字は学年を示す

3日間にわたる熱戦の結果、下記の4チームが18日のファイナル・リーグへと進出しました。

FINAL LEAGUE(ファイナル・リーグ)

青魚 ビッグバーン いちごみるくぅ♡ ポップンポイズン

客席と一体化した真剣勝負の熱い即興劇対決!

ファイナル・リーグ当日の会場は、六角形の舞台を取り囲むように観客席を配置。開幕前には、「お題」を書き込む用紙が配られ、スタッフが客席を回って回収しました。予測不能の舞台への興味や期待が客席に漂っていました。

山田宏平氏
絹川友梨氏

演劇人で俳優の山田宏平氏のMCで、いよいよ開幕です。4チームとレフェリー役で『シアタースポーツTM』の国内第一人者、絹川友梨氏(本学卒業生、非常勤講師、プロフェッショナル・インプロバイザー)が入場。2人の即興ミュージシャンが音楽を担当します。キーボード担当の磯村由紀子さんは作・編曲家、ピアニストで『シアタースポーツTM』は3回目というベテラン。一方パーカッション担当の柴崎仁志さんは本学芸術学部パフォーミング・アーツ学科在学中で、演劇や舞踊公演にも参加し音楽の枠を超えたパフォーマーを目指しています。照明や音響の各スタッフも、キャストや即興ミュージシャン同様に即興性が求められていて、エキサイティングな舞台をさらに盛り上げます。

磯村由紀子さん
柴崎仁志さん

「試合形式の即興劇」は、下記の4つのラウンドで行われ、2ラウンドから得点がもっとも低かった1チームが敗退していき、最終ラウンドで勝敗が決します。

Round1 1分間チャレンジ お客様からお題をいただき、1分間で短編のシーンを創作

Round2 フィジカルチャレンジ 体を駆使したゲーム

Round3 トランスインフォメーションチャレンジ 変化・変容をテーマにしたゲーム

Round4 ドラマチックチャレンジ 劇の深みをより重視したゲーム

Round2 フィジカルチャレンジ

各ラウンドでは、お客様のアンケート用紙に書かれた「お題」や、レフェリー役の絹川氏と客席の問答で出た単語を組み合わせてタイトルが決まります。Round1では1分間の「映画予告編」を創りましたが、「すっぱいマンゴーアイス」という謎のタイトルに決まったり、Round2では音楽も即興で演奏され、会話できる人形役と操る役で創作した即興劇などがチームに課せられました。Round3では「楽しい+怒り+お腹が空いた」の3つの感情でシーンを創る「感情リプレイ」といった形式や、Round4の「俺のマネすんな」といったどのような内容になるのか想像もつかないタイトルからミュージカル仕立ての展開に発展したり……。

観客も新しい形の舞台に、驚いたり笑ったり。奇想天外なタイトルに対して、観客になるほどと思わせるストーリー展開にするための、創造力や瞬発力が試されるだけに、キャストもミュージシャンも真剣です。発せられた言葉や動作を受け取り、次へつなげていく……。思いもよらない展開に対応するキャストやスタッフ。彼らの真剣勝負の熱量が、子供からお年寄りまで伝わり、身を乗り出して発するセリフや動きを逃すまいと舞台に集中している様子がわかります。時には息をのみ、感動的な展開には大きな拍手と歓声が湧き起こり、まさに客席が一体化した舞台が進行しました。

「受け入れてつなぐ」「転がる話から目を離さない」、これが即興劇

ジャッジは、エンターテインメント担当は俳優の西岡徳馬氏、ストーリーはキャスティングディレクター・演出家・映画監督の奈良橋陽子氏、スキルは劇作家・演出家・俳優の四大海氏という演劇界の錚々たる面々。採点はなかなか辛口で、各自5点の持ち点で1点が並ぶこともありました。その結果、Round2では「ビッグバーン」が敗退、Round3では「ポップンポイズン」が敗退していきました。厳しい闘いの中で得点を伸ばした「いちごみるくぅ♡」と「青魚」によってファイナルラウンドが行われました。

ファイナルのRound4は、敗退したチームのメンバーも即興劇に参加。彼らが発する言葉でシーンが急展開することもあり、どのようにして芝居を着地させるのか、観客もハラハラし通しです。そして、4ラウンド合計点数の発表です。即興劇ながら安定した話運びの「いちごみるくぅ♡」が4ラウンドで合計33.5点を得点し、「青魚」が31.5点とわずかにおよばず、グランドチャンピオンは、「いちごみるくぅ♡」に決定しました。

最後にジャッジの3氏から講評がありました。

西岡徳馬氏

どのチームも発想力が面白かった。「お題」によってラッキー、アンラッキーがあるが、チームとして何を伝えたいかが、勝敗を決する要因となった。ある舞台で楽屋で待機していたところ、大女優がセリフを忘れ頭が真っ白になった状態だったことを思い出した。即興劇とはラグビーの試合と同様で、どこに話のボールがあるか、誰もがきちんと見続けていなければならない。誰が拾って、パスを渡し、得点という終わり方を考えるかだ。即興劇はエキサイティングだが、心を一つにすることの大切さや、メソッドを身につけるための勉強になり、とてもよい教材だ。『シアタースポーツ』は、よい俳優になるための訓練になる。

奈良橋陽子氏

『シアタースポーツTM』は、日本では絹川友梨さんが「日本の文化には即興が必要」との信念で続けてこられ、盛んにしてきた経緯がある。日本の教育は、間違いはダメといった面があるが、即興劇のように筋書きがなく、展開の読めないお芝居で、本能や瞬発力をフルに活用して演技することは、とても力になる。人生においても、同様のことがいえる。今回の舞台は、相手の言ったことを受け入れ、想像力やクリエイティブな力を発揮され、みなさん堂々としていた。言葉や行動を発するのは勇気のいることだが、よい訓練の場であり、しかも一つのショーにもなる。今後もどんどん広げていってほしいと考えている。採点については厳しくしたが、本当はもっとたくさんあげたかったが、続けてほしいという私の願いを込めて、辛口にした。

四大海氏

初日から観ていたが、今日はファイナルラウンドだけに緊張しているのか、硬かった。でも、毎日とても楽しかった。これからも頑張ってほしい。

波瀾万丈の展開に、一瞬たりとも目を離せなかった『シアタースポーツTM』。観客にとっては、舞台の新しい楽しみ方になったことでしょう。一方、舞台芸術を学ぶ学生には、神経をすり減らしつつも、4日間で大きく成長しました。キャストやスタッフのほかにも、舞台を支える美術・衣裳デザイン・ヘアメイクらの裏方のスタッフにとっても、実りの多い有意義な公演でした。
『シアタースポーツTM』の次の機会を、楽しみにしていただきたいと思います。

【スタッフ】
美術・衣裳デザイン:須澤里佳子/美術・衣裳・ヘアメイク:後藤りん 前田和香 大地美沙
照明デザイン:田坂美優/照明:浅岡知世 有山明日香 掛水香帆 斎川琴音 渡辺実穂
音響:中村 舞 武 愛莉/舞台監督:米村美那/舞台監督助手:瀧沢駿介/制作:綾部果穂

進行・演出:太宰久夫
即興演劇指導・シアタースポーツ™監修:絹川友梨
ムーブメント:木佐貫邦子/web制作:竹内 聖/宣伝美術:吉田健嗣

【アドヴァイザー】
美術:二村周作 山田洸士/衣裳:加納豊美 石橋 舞/メイク:篠田 薫/照明:菊地芳子 高橋英哉
音響:二見英幸/記録映像:吉住知洋/舞台監督:大河原 敦/制作:多和田真太良
協力:東京芸術劇場技術スタッフ

【演劇系大学共同制作vol.5製作委員会】
製作委員長(総括):菊地芳子(玉川大学)
製作委員:中村一規(桜美林大学)武田 篤(多摩美術大学)高橋宏幸(桐朋学園芸術短期大学)中野成樹・大門恭兵(日本大学)

【製作事務局】
事務局長:多和田真太良/事務局:畦地香苗

【主催・制作】
玉川大学

【共催】
東京芸術劇場(公益団体法人東京都歴史文化財団)

【後援】
東京演劇大学連盟