第6回探究型学習研究会「K-12一貫教育におけるラーニングスキル育成の体系化」でK-12の生徒たちがポスターセッションを行いました。

2017.11.15

9年生の授業から始まったK-12一貫教育の「学びの技」


10月28日(土)、玉川学園で第6回探究型学習研究会が開催されました。今年のテーマは「K-12一貫教育におけるラーニングスキル育成の体系化」です。
玉川学園ではK-12一貫教育体制の中で、児童・生徒たちが単なる学問知識の習得にとどまらない、自学自律的な学びの力を身につけていくために、「学びの技」をカリキュラムに取り入れています。さまざまな思考の方法やわからないことを調べる方法、また自分の考えを人にわかりやすく伝える方法といったスキルを、幼稚部から12年生まで学年に応じた形で身につけてもらうためです。

今回の探究型学習研究会は、午前の部として高学年校舎アトリウムを会場に生徒たちによるポスターセッションを開催し、午後の部では大学8号館に場所を移して、基調講演の後、K-12の教員たちが学齢に応じた実践報告を行いました。
K-12一貫教育における「学びの技」は、2008年度に実施した9年生対象の「学びの技」という授業が始まりです。午前の部のポスターセッションでは、その9年生の全生徒がそれぞれ関心がある研究テーマで参加。そのほか国際バカロレア(IB)クラス10年生「パーソナルプロジェクト」、10~12年「SGH・SSH課題研究」、12年「理系現代文」また、4年生2名と鎌倉に社会科見学に行った6年生6名による発表も行われました。

「学びの技」を駆使して自分が関心のあるテーマを追求する

会場にはK-12の生徒のほか、他校の教員も多く訪れ、生徒たちの発表に耳を傾け、内容やどのように研究に取り組んだのかを質問していました。ここでは全員参加した9年生の発表とコメントをいくつか紹介しましょう。

9年生の発表はユニークな研究テーマも多く、たとえば「『寝る子は育つ』は本当か?」。「身長が伸び悩んだ時期に、よく寝たら本当に背が伸びるのかな?」という疑問を持った経験が研究のきっかけとなったそうです。「私自身は早寝早起きで十分な睡眠時間を取るように心がけていますが、寝ることが成長に関連するという科学的根拠が知りたかった」と感想を聞かせてくれました。

また「リビングは自室に比べて勉強しやすいのか」という研究もありました。「多くの文献をあたって、関連する資料を“エビデンスブック”という冊子にまとめ、そこから発表内容を凝縮していきました。パワーポイントの発表で気をつけたのは、わかりやすさです。文字を最小限に抑えて図やグラフを活用しました」とのこと。

そしてニュース報道をヒントにした研究「日本の子供の貧困問題を減らすことは可能か」。難しい問題ですが、国や有志からの支援や施策、キャリア教育などによって「減らすことは可能」と結論づけながらも「現時点ではまだまだ対策が足りない」と解説しました。「子供の貧困は、自分に身近な問題として捉えています。将来は学校の先生になりたいのですが、その立場から子供の貧困問題に役立てないかと考えています」と将来について話してくれました。

父親が米国人という生徒の研究テーマは「乳児期に二つの言語を覚えていくことは可能か」。小さい頃から父親が英語で話しかけてくれたのに、英語を話せるようにならなかった自らの体験をもとに、特に「母語の国語力がないと第二言語が育たない」という点に着目しました。「父のおかげでヒアリング能力はある程度備わり、勉強すれば覚えられる文法は大丈夫なのですが、そのほかの点で未だに英語に苦手意識を持っています。この研究でこれからの英語学習のヒントがつかめたような気がします」と自身の経験を語ってくれました。

9年生の研究発表で重視されたのは、結論に至る根拠をしっかりと提示することと、自分の意見と「異なる立場」を十分検討することです。生徒たちは自分が関心を持ったテーマを広く調べ、論理的に考え、自分の思考をまとめて、相手に伝わりやすく発表することにより、授業で習っている「学びの技」をトータルに実践しました。この実践は、これからの学びや社会生活に活用できるラーニングスキルの基礎トレーニングとなったはずです。