皆で労作に取り組むことで得られる達成感。6年生から11年生の生徒が新保健センター健康院の漆喰塗りに取り組みました。

2018.06.29

玉川学園には、創立時から教育の大きな柱として「労作」を取り入れてきた歴史があります。当初は児童や生徒、学生、教職員が共に汗を流し、学園内の開墾や校舎の建設など行ってきました。現代の玉川っ子も、K-12から大学まで、すべてのカリキュラムの中に、今でも「労作」の時間が設けられ、美化労作として清掃活動や畑労作に勤しんでいます。
こうした中、現在建設中の新保健センター健康院で6年生~11年生の生徒たちが労作を行うことになりました。担当するのは院内の壁面に漆喰を塗る作業です。

漆喰塗りは、6月8日(金)、9日(土)の2日間にわたって行われました。新保健センター健康院は「玉川学園の健康をプロデュース」をコンセプトに設計されていることもあり、建物内部にも自然素材を多く取り入れる予定です。漆喰は水酸化カルシウム(消石灰)を主成分としており、日本や西洋で古くから建築物の壁面などに使用されてきた自然素材。現代の建築工法においては扱いにくい建材に含まれますが、調湿機能に優れ、シックハウス症候群の原因物質と言われるホルムアルデヒドを吸着分解する性質を持つことなどから、再び注目が集まっています。

玉川学園では2012年に礼拝堂の改修工事を行った際に、内部壁面に漆喰を採用しており、今回の新保健センター健康院にも取り入れようということになりました。そこで、総務部管財課と礼拝堂の漆喰塗りを手掛け、今回も建物内のデザインを担当する梅園真咲さん(高等部91年卒・旧姓藤村)の間で「漆喰塗りをぜひ生徒の労作に」という提案が持ち上がったのです。漆喰塗りは労作というだけでなく、建築や美術にも関連する分野。生徒一人ひとりの取り組み方によって、さまざまな学びがあります。

生徒達に説明する梅園さん

労作に取り組む6年生から11年生までの13名の有志生徒たちは、集合すると作業が急ピッチで進んでいる建設現場に入るため、安全に配慮してヘルメットを被り、先生からの注意を皆でしっかりと聞きました。その後、梅園さんと左官職人の植田俊彦さんから、漆喰の特徴についてのレクチャーを受け、いよいよ漆喰塗りに挑戦します。この労作は1日目に壁の石膏ボードに下地を塗り、翌日にその上に漆喰を塗っていきますが、基本の塗り方は下地も漆喰も同じ。鏝(こて)を手に、もう一方の手に漆喰を乗せた鏝板を持ち、壁に塗ってきます。ポイントは薄く、均一に塗っていくことなのですが、初挑戦の生徒たちは四苦八苦。特に壁の端部分をきれいに塗るのは至難の業です。壁のスペースがそれほど広くなく、一度に壁塗りができる人数も限られるため、他の生徒は小さな石膏ボードで練習に取り組みます。そして最初は苦労していた生徒たちも、植田さんからアドバイスを受けると、徐々にきれいに塗れるように。「普通は初日から壁を塗らせてなんてもらえないんだよ」と笑う植田さんの言葉から、職人の厳しさを学ぶ生徒たち。建築自体に興味を持つ生徒は、この労作を統括した学園総務部管財課の職員から電話帳ほどの厚さがある設計図を見せてもらい、建築という仕事の大変さも感じたようでした。

6/9には礼拝堂の漆喰塗りを見学した

参加した生徒たちからは、さまざまな感想を聞くことができました。
「もともと美術に興味があり、労作の副委員長も務めているので興味が沸いて参加しました。下地が想像していたよりも柔らかく、塗る際は常に厚さに気を配りました。そうした気付きも多く、この経験を大切にしたいと思いました(8年・瀬戸菜々子さん)」。
「美術部に所属しており、瀬底先生から誘われて参加しました。漆喰に触れたのは初めてですが、美術部で扱っている石膏に似ている部分もあり、そこで身につけた技術を応用して今日は取り組んでみました(10年・鈴木将之さん)」。

「公共建築物に興味があり、学校外のワークショップにも参加しています。今回の労作では職人の方からいろいろなお話を伺う機会もあり、調湿などの機能をもつ漆喰は、湿度の高い日本の国土に最適な建築材料なんだなと実感しました(11年・大谷理歩さん)」
「11年生なので進路について考えることが多く、芸術に興味があったので参加しました。現在の住宅では壁紙を貼ることが多いけれど、漆喰の壁には職人の方の思いがこもっていると感じました。何より壁全体を皆で仕上げた達成感が心に残っています(11年・佐藤千夏さん)」

今回、久しぶりに学内施設の建設に関わることになった生徒たち。この経験は思い出になるだけでなく、一人ひとりの学びや気付きにつながったことでしょう。新保健センター健康院は9月に竣功し、本格稼働する予定です。そして今回生徒たちが労作として取り組んだ漆喰の壁は、新保健センター健康院のカウンセリングルームの一部として使用される予定で、その完成がますます楽しみになりました。

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