大学での研究の一端に触れる一日。9-12年生が高大連携によるサイエンスサマーキャンプ「ミツバチの社会行動の観察」に参加。

2018.11.19

7月25日(水)と26日(木)の2日間、今年も夏休み期間を利用して、「2018 サイエンスサマーキャンプ」が開催されました。これは9-12年生を対象として玉川大学大学院農学研究科・玉川大学農学部の講師陣が行う、毎年恒例の高大連携実験講座授業です。本年度は1日目が「食品からコレステロールを抽出してみよう」と題して、スルメや卵黄から、細胞膜の重要な成分で健康科学の分野でよく耳にするコレステロールを分離する実験に挑戦。2日目が「ミツバチの社会行動の観察」で、ミツバチの栄養交換行動に注目し、その行動や体の構造についての観察を行うという内容になっています。どちらも丸1日、じっくりと時間を使って実験を行っていく、夏休みだからこそ取り組めるプログラムで、1日目は12名、2日目は9名の生徒が参加しました。今回は、2日目の「ミツバチの社会行動の観察」の様子をお伝えします。

理科系の授業が行われるサイテックセンターではなく、大学(大学7号館)に集合した9-12年の生徒たち。指導を担当するのは動物行動学が専門の大学院農学研究科 佐々木謙教授です。この日のプログラムは、講義からスタートしました。「ミツバチは、私たちの生活に深く関わる、社会性昆虫です」と佐々木先生。その生産物はハチミツだけでなく、ローヤルゼリーやプロポリス、花粉、蜜ろうと多岐にわたります。また植物の受粉にも重要な役割を果たしていることで知られていますが「イチゴの栽培でも、人が受粉を行ったものとミツバチが行ったものでは、果実の出来に大きな差が出ます。人の手によるものだといびつな形に成長しますが、ミツバチによる受粉はまんべんなく行われ、美しい形状の果実が育ちます」というエピソードに、生徒たちも真剣に耳を傾けています。
講義で基本的なレクチャーを受けた後は、実際に校内に三ヶ所ある養蜂場の一つ、北斗館下にある蜂場を訪れました。面布と呼ばれる顔の部分を覆うネットのついた帽子を被って、準備は万端です。燻煙器を使ってミツバチをおとなしくさせ、佐々木先生が巣箱から巣板を取り出すと、生徒たちも少し緊張した様子に。女王蜂の生態など、先ほどの講義の内容を実際に目にしたことで、学びの理解度も深めることができました。

そして午後は養蜂場で採取したミツバチを使って実験と観察を行っていきます。今回の実験の目的の一つが栄養交換行動の観察です。これは巣の外で栄養を蓄えてきた働きバチが、巣の中にいるハチに栄養のある物質を受け渡すという、社会性昆虫であるミツバチならではの行動です。生徒たちには、しょ糖水を与えられたハチと与えられていないハチが一匹ずつ渡され、どのような栄養交換行動をとるのかを顕微鏡で観察します。大学の研究にも使用される最新型の顕微鏡で、ミツバチの行動をじっくり調べていきます。

また、口吻や触角、後ろ足など、ミツバチの生態を知る上で重要な体の構造についても顕微鏡を使って観察します。ミツバチは丸めた花粉を後ろ足に付けて巣箱へと戻りますが、花粉をかき集めるための「レーキ」と呼ばれる毛があります。こうした体の部位について顕微鏡で確認した後、ミツバチの脳を観察することに。細かい作業にも慣れた生徒たちは頭部をピンセットで開き、はじめて目にする脳とその構造を興味深く観察していました。

こうして、この日のサイエンスサマーキャンプは終了し、一人ひとりに佐々木先生から修了証が手渡されました。

参加した生徒にも話を聞いてみました。

  • 「まだ大学で何を専攻しようかが明確ではないので、子どもの頃に好きだった虫について調べてみようと思い、今回初めて参加しました。今日の授業はなかなかできない実験を体験したり考える部分が多く、そこが興味深かったです。実際の構造を目にすることで、理解度も高まったと思います(11年生・岡部元哉さん)」。

  • 「サイエンスサマーキャンプには、9年生のときから毎年参加しています。玉川大学はミツバチの研究で有名で、農学に興味がある私にとっては学びたい内容でした。今日の講座は分かりやすく、よく理解できました(12年生・伊坪羽花さん)」。

  • 「医学に興味がある私は、人間の体の構造は昆虫のそれよりも優れていると思い込んでいました。けれどもミツバチの脳の構造などについて教わってみると、環境適応能力は人間よりも優れているのではないかと感じ、昆虫に対する興味もわいてきました(12年生・小俣有莉咲さん)」。

ミツバチは私たちにとって身近な存在ですが、その生態や体の構造についてあまり知られていません。今回のサイエンスサマーキャンプで生徒たちは、社会性昆虫であるミツバチの行動やそのための体の構造についての理解を深めることができました。この日の実験や観察の中でのさまざまな疑問が、大学での学びや研究への動機につながります。高大連携で行う授業だからこそ得られた貴重な体験を、今後の学習に活かしていってほしいと思います。