食物からコレステロールを抽出する。大学レベルの実験に9-12年生がサイエンスサマーキャンプで挑戦

2018.11.18

今年も夏休み期間を利用して、7月25日(水)と26日(木)の2日間、「2018 サイエンスサマーキャンプ」が開催されました。これは9-12年生を対象として玉川大学農学部の講師陣が行う、毎年恒例の高大連携実験講座授業です。本年度は1日目が「食品からコレステロールを抽出してみよう」と題して、細胞膜の重要な成分であり、よく耳にするコレステロールを、食品から分離することに挑戦。そして2日目が「ミツバチの社会行動の観察」で、ミツバチの栄養交換行動に注目し、その行動や行動に役立つ体の構造についての観察を行うという内容になっています。どちらも朝から夕方まで、じっくりと時間を使って実験を行っていく、夏休みだからこそ取り組めるプログラムで、1日目は12名、2日目は9名の生徒が参加しました。そこで2回に分けてその内容について紹介します。

1日目は、私たちの身近にある食品からコレステロールを取り出すことに挑戦。指導を担当するのは、農学部生産農学科の堀浩教授です。今回はまず、ゆで卵の黄身やスルメイカから有機溶媒であるジエチルエーテルを用いて脂質を抽出しました。この脂質の中にコレステロールが含まれていますがこの段階ではほかの脂質成分も多種類、多量に含まれています。ジエチルエーテルをロータリーエバポレーターという装置で除いた後、薄層クロマトグラフィーでコレステロールのみをほかの脂質成分から単離しました。単離した物質が本当にコレステロールであるかは大学4年生の先輩の協力のもと、赤外線吸収スペクトルと核磁気共鳴スペクトルを測定し確認しました。微量成分を分析する精密分析機器を用いた大学レベルの実験を体験できるのもこのプログラムの魅力の一つといえます。

今回のコレステロールを抽出する実験は、中学生・高校生にとってはやや難易度の高いものです。けれども、取り出したい成分の性質や化学構造式から抽出方法を選択することで実験の計画が立てられます。このような実験の流れを体験することで、大学の学習は現在学んでいる知識の延長上にあることがわかるのです。また、この日は、ほぼ一日がかりで一つの実験に取り組みましたが、これも大学での研究の一端にふれる貴重な体験です。時間をかけて行う実験に初めて参加した生徒たちにとっては大変な部分もありましたが、実験の結果が出るまでの間、大学生から大学での勉強の話やアルバイトの話など、大学生活についての話を聞くこともできました。

今回のプログラムに参加した生徒に話を聞いてみました。

「玉川大学農学部への進学を希望しているので、大学での学びについて知りたくて、今回参加しました。使用している実験機器がかなり専門的なことに驚かされました。一日中同じ実験に取り組むということも高校ではないので大変でしたが、大学では興味・関心のあることを深く掘り下げられます。好きなことなら時間がかかっても苦にはならないだろうと感じました(12年生・知地祥吾さん)」。

「9年生の頃からSSHを履修していたのですが、12年生になると自由選択がなくなってしまいます。そのタイミングでこのプログラムのことを知ったので、参加してみようと思いました。今回の実験では少し空気が入っただけで数値に大きな変化が出てきたりして、正確さが非常に重要だと感じました。将来は薬学系に進みたいと思っていますが、今日参加したことで大学での実験にも不安なく取り組めそうです(12年生・成本梨衣さん)」。

実験を終えた後に分析も行い、最後に堀先生から修了証をもらった生徒たち。この日、大学での学びに触れた9-12年生たちは、学びの関連性を強く実感することができました。こうした高大連携授業で一歩先を行く学びを体験できるのも、ワンキャンパスである玉川学園ならではといえます。

次回は、2日目に行った「ミツバチの社会行動の観察」について報告します。