世界遺産 平泉・中尊寺本堂などで7-12年生ハンドベル・クワイアが公演

2012.08.14

7-12年生24名で編成されるハンドベル・クワイアが、8月9日(木)から14日(火)の6日間にわたり、東北地方の各所において全17回からなる公演プログラムを無事終えることができました。

なかでも意義深い公演は、12日(日)11時から行われた世界遺産・平泉にある中尊寺の本堂での演奏でした。曇り空の下、次第に参拝客が本堂に集まり始め、夏休みということもあり、子供から大人まで約250人がハンドベルの音色に耳を傾けました。

ハンドベル・クワイアは、平成22年に東北公演を行った際、命を尊び、先祖らの精霊に感謝し供養する大施餓鬼会(だいせがきえ)においてハンドベル演奏を奉納したことがあります。その際は法要行事のため堂内が人で埋め尽くされており、本堂前にて演奏を行いましたが、今回は以前の演奏が好評だったため、中尊寺側の特別なご配慮により本堂での演奏が実現しました。

一般的に、ハンドベルというと西洋の宗教が連想されます。なぜ、ハンドベル・クワイアが本堂で演奏することを許されたのでしょうか。中尊寺事務局の菅原光聴氏は、音楽により神聖な雰囲気を重んじ、心を落ち着かせるのであれば、中尊寺は特に場所や楽器に深くこだわらないと語ってくださいました。

聴衆は、先ほどまである生徒が鳴らしていたベルを何秒か後には隣の生徒が鳴らす、その素早く鮮やかなベルさばきにも感心の声を上げていました。顧問の高橋美千子教諭から曲と曲の合間にベルの大きさによって聞こえる音の高さや鳴らし方に違いがあることの説明を受けると、それ以降の曲からは新たな視点を持ちつつ鑑賞しているようでした。聴衆からは、「何よりも印象的だったのは笑顔で、皆楽しんで演奏していることがよく伝わってきた」「大きなベルを演奏している生徒が全身を使って奏でていることを知り、驚いた」「今までにあまりハンドベルの演奏を聞いたことがなかったが、音量が大きく感じられ、迫力があることに驚いた」などの感想が寄せられました。

執事長の菅野澄順氏より、ハンドベル・クワイアの生徒に「暑い中、素晴らしい演奏をありがとう。東北の被災者のことを想って奏でてくれた涼しい音色をご本尊様も喜んでいることでしょうし、被災者にも気持ちが届くはずです。」との感想をいただきました。

演奏を終えた部長の12年瀧川真由さんは、「世界遺産で演奏できたことには感謝の気持ちでいっぱいです。執事長の方の言葉を聞いた時には、東北に想いを寄せて演奏した皆が同じ気持ちで一つになれた実感がこみ上げてきました。」と話してくれました。

後半の公演のハイライトが中尊寺での演奏だとすれば、前半では、それは10日(金)の花巻・矢沢保育園での演奏でしょう。この回は演奏をする側と聴く側の双方にとっても、とりわけ印象に残るものとなりました。同園はこの地域の中でも歴史のある保育園の一つです。園長の照井ゆかり先生には、「本当に素晴らしい演奏で感激しました。園児たちも初めて見るハンドベルとお姉さんたちの様子をじっと見ながら、聴き入っていたようです。親しみやすい曲ばかりで園児・職員ともに楽しく聴きました。また、生徒さんたちの演奏が始まるまでの整然とした準備や行動に、職員一同感心しています。」とおっしゃっていただきました。

また、司会を務めた副部長の12年北川桃子さんは、「まず、子供たちがお行儀よく正座をして聴いてくれることにびっくりしました。この曲を知っているおともだちは?と問いかけると、すぐに大きな声で『はーい!』とこたえてくれたりして、みんなの反応が素直でうれしかったです。私は主に保育園やデイ・ケアセンターでの司会を担当したため、ハンドベルの音をはじめて聴くみなさんにも、その魅力がわかってもらえるように話し方を工夫してきました。将来は、玉川大学の教育学部乳幼児発達学科に進学してから、認定こども園の先生になりたいと思っているので、このような経験ができてとても勉強になりました。」とコメントしてくれています。

演奏終了後は、園児一人ひとりからメンバーたちに、お礼の品としてベルのかたちをした“手作りのメダル”が手渡されました。心のこもったプレゼントを受け取りながら、生徒たちは子供たちとふれあいの時間を楽しく過ごしました。

今回の公演を終えた高橋教諭は、「公演旅行は6年前に初めて実施しました。それまでは、演奏形態を横断したコンクールに選抜メンバーで参加していました。そして、K-12一貫教育の体制になり、中学生だけでなく高校生も活動ができるようなり部員数も増えました。そこで、当時の生徒たちと相談し、限られた人数でのコンクール参加より、全員で活動できる公演旅行のかたちで本番の機会を持つ方が、教育的に効果があるのではないかと思ったのです。」と公演を始めた頃を振り返りました。そして、こう続けます。「今回の公演の目的は、『コンサート・ホールではなく、普段は演奏する機会が少ない場所に出向き、訪問先のお客様一人ひとりの心に残るサウンドを奏でるということ』と、『生徒たちが東北に想いを寄せながら、震災後の現実を五感で感じてもらうこと』です。いずれについても、生徒たちなりに何かしらの気づきがあったと思います。」と語ってくれました。