英語科教員養成フォーラムを開催しました

2014.06.30

国際社会の共通言語として、その運用能力が今まで以上に求められるようになった英語。小学校での英語教育も本格的に開始され、それに伴って中学校、高等学校で指導する英語の内容にも改良が加えられていくことになります。今まで以上に英語を指導する側の「質」が問われる時代になったともいえます。このような時代の変化に合わせ、玉川大学では文学部に英語教育学科を開設します(2015年4月開設)。そこで5月10日に、本学でこの英語教育学科設置を記念したフォーラムを開催しました。

「英語科教員養成フォーラム 〜求められる資質と能力〜」と題されたこのフォーラムでは、文部科学省教科調査官をはじめ有識者をお招きして、英語科教員養成のあり方を共有するとともに、新学科の取り組みを紹介しました。当日は、学内外の教育関係者や、教職を目指す大学・大学院生でほぼ満員に。そして小原芳明学長による開会挨拶で、このフォーラムがスタートしました。「これまでの日本の英語教育は、ある意味で大学入試に焦点を合わせてきました。けれどもこれからグローバルな人材を育成していくためには、今までとは異なる英語教育を行うことが重要になってきます」と、小原学長。細かな文法の間違いを精査するよりも、多少間違っていても海外の人たちと英語で討論できる能力が求められている。そんな時代にあって、新しい英語教育のあり方を考えてほしいと述べました。

そして小原学長の挨拶を受けて、フォーラムの第一部として直山木綿子氏が壇上で話し始めます。直山氏は京都市の中学校で英語を指導した後に、教員養成やカリキュラム開発などを手がけ、現在は文部科学省初等中等教育局 教育課程課・国際教育課教科調査官として、英語教育の改善と指導に当たられています。直山氏の講演では、主に文部科学省が今後の英語教育をどのような枠組みで考えているのかについて説明しました。既に小学校に導入されている英語教育。現状では高学年が教科ではなく活動として、週に1回程度の授業時間で英語に触れています。けれども文部科学省の英語教育改革実施計画によれば、今後はこうした取り組みを小学校の中学年から始め、高学年ではきちんとした授業として取り組んでいくことになっているのです。当然、小学校でのこうした取り組みは、中学校、高校にも影響を与えます。小学校で英語教育が本格的にスタートすれば、中学校や高校では自ずとより高いレベルの到達目標を設定することに。「現在の中学3年生の到達目標が英検3級レベルなのですが、実際に合格しているのは3割程度。もちろんそのレベルにあっても受験していない生徒もいるでしょうが、この状況でさらに上をめざすことになる」と語る直山氏。同様のことは高校にも言え、これからの中高の英語教員には、今まで以上に高いハードルが設定されます。

※「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」(平成25年12月13日 文部科学大臣発表)
詳しくは文部科学省ホームページをご覧ください。
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また、小学校の教員についてもさまざまな課題があります。直山氏によれば「中高の英語科教員は、英語を教えたいと思い、教員になっています。だからハードルが高くなったとしても許容範囲内であるはず。けれども英語は指導しない前提で小学校教員となった世代をどうすればいいのか。文部科学省としても小学校英語教育の推進リーダーを育てると同時に、養成研修などを行ってこうした問題に対応していきます」とのことでした。また、新学習指導要領の全面開始を2020年に設定しており、教科書の採択、検定、作成、新教材配布、新教材開発と逆算していくと、今年度には多くの研修や体制整備などが行われる必要があります。まさに待ったなしの状況といえる英語教育改革。最前線で日々奔走する直山氏の熱い言葉に触れて、来場者の心にも火がついたはずです。直山氏の講演が終了して質疑応答が終わった後も、多くの人が質問をしようと長い列を作っていました。

直山氏の講演の後は休憩を挟み、第二部では小中高で英語指導に関わる方々のショートレクチャーがありました。信州大学教授・小学校英語教育学会長野県理事の酒井英樹氏、国分寺市立第二中学校校長・東京都中学校英語教育研究会会長の重松靖氏、東京都立羽村高等学校校長・全国英語教育研究団体連合会副会長の磯部篤氏が、それぞれの立場で現場での出来事を話しつつ、英語科教員に求められる資質と能力について語ってくださいました。

そして第三部では、玉川大学の英語教育について、指導方法、留学、新学科開設といった側面から、玉川大学の担当教員による講演が行われました。まずは国際共通語としての英語(English as a Lingua Franca)の運用力を育成するという理念に基づき2014年4月に設置されたELFセンターの取り組みについて、センター長の小田眞幸教授が説明しました。学生のレベルに合った英語教育を提供し、英語を母語としない人にも伝わるような英語の修得を目的とした全学共通英語教育プログラムとして、2014年度に本格的なスタートを切ったELF。学生のモチベーションも高く、昨年は5割程度だったオフィスアワーの稼働率が、現在は常に1ヶ月待ちの状態だそうです。また留学プログラムについて松本博文准教授が、新たに開設する英語教育学科について日臺滋之教授が説明を行いました。

英語教育に関する充実したフォーラムの内容に、予定の4時間がすぐに経過しました。文学部の高橋貞雄教授による閉会の挨拶では、「今、英語教育を根本から変えていかなければ、真の英語運用能力は身につかない。英語教育に携わる人たちは、まさにこれからが正念場」というメッセージが。大きな変革の時を迎えている日本の英語教育にあって、玉川大学が一歩踏み出したことを明確に感じさせたフォーラムとなりました。

英語教育学科のホームページ