夏の特別講座「サマースクール」開催 自ら選んで体験する充実の3日間
7月22日(水)から24日(金)までの3日間、幼稚部・低学年(小学1〜4年生)を対象とした「サマースクール」が開催されました。
サマースクールには3日間で90を超える講座が用意されており、幼稚部の園児たちが参加できるのは28講座。子供たちは好きなものを選んで受講できます。今回は、幼稚部の園児たちが参加できる講座にスポットをあて、その一部を紹介します。
多岐にわたる講座内容と専門家による指導
サマースクールで開講される講座の内容は、「サッカー」や「デンマーク体操」といった身体を動かすものから、「髪飾り作り」「エコバッグ作り」などの創作、「MMRC(マルチメディアリソースセンター)探検」といったものまで多岐にわたり、親子で参加できる企画も数多く用意されています。
その中から、子供たちは自分の好きな講座を選んで参加します。毎回異なる講座を受講しても良いし、同じ講座に続けて参加してもかまいません。すべては子供たちの自主性に委ねられており、異なる学年の子供たちが一つの講座に参加するため、普段はあまり見られない異年齢間の交流も生まれます。
また、それぞれの講座はその道の専門家が講師を務めます。たとえば「MMRC探検」の講師はMMRC所属のスタッフですし、「サッカー教室」は、玉川学園がスポンサー契約を結んでいるFC町田ゼルビアの選手やコーチなどが講師を務めます。“本物に触れる”ことを大切にする玉川学園ならではの取り組みといえるでしょう。
子供たちの興味に応える講座の数々
では、幼稚部園児が参加できる講座をいくつか紹介します。
【サッカー教室】
前述の通り、サッカー教室の講師はFC町田ゼルビアの選手やコーチなどが務めます。この日は元選手の2人と、スタッフ1人が来てくれました。参加した子供は十数名。低学年と合同の教室です。中には3日間連続で参加している子もいます。やはり男の子が多いですが、最近の女子サッカー人気の影響か、女の子も1人参加していました。
講座内容はボールに慣れることから始まり、ドリブル練習なども行い、最後はミニゲームを実施します。この日は30度を超える真夏日でしたので、適宜休憩をはさみ、水分補給もこまめに行います。子供たちは「あつい!」と言いながらも、皆楽しそうに走り回っていました。
【デンマーク体操教室】
デンマーク体操は、デンマークの体操指導者ニルス・ブック氏により考案されたもので、玉川学園では古くから教育の場に取り入れてきました。現在、オレロップ国民高等体操学校(現・オレロップ体操アカデミー)の東洋分校でもあります。
この講座では、高等部のデンマーク体操部に所属する生徒の指導のもと、マット、トランポリンなどを使った運動を行いました。コーディネートしている幼稚部の教諭、低学年の教諭もデンマーク体操経験者。低学年の教諭も幼稚部の園児を指導したりとディビジョンを越えたつながりを感じさせる一コマもありました。
【親子でチャレンジ(TAPロープスコース)】
TAP(玉川アドベンチャープログラム)は、アドベンチャー教育の手法を使って相互尊重やチャレンジ精神などを養うもの。この日は低学年校舎近くに設置されているロープスコースに親子でチャレンジしました。
ロープスコースは、地上8mにある丸太の上を横断するなど、大人でも恐くて断念するほどのものなのですが、参加した年中・年長の子供たちは、そんなコースに果敢に挑みます。中には恐くて泣き出してしまう子もいましたが、最後までしっかりがんばり抜く子供たちの姿も見られました。
一緒にチャレンジした保護者の方も「がんばって!」「次は左足!」と懸命にアドバイス。親子のきずながいっそう深まる経験になったはずです。
【バルーンアート】
バルーンアートは、風船を使って犬や剣などさまざまな形を作るもの。この講座では保護者の方が講師を務めています。長い風船から犬の姿ができあがると「わぁすごい」と子供たちは大はしゃぎ。風船を割れないように上手に持って親子で相談しながら作っていた姿はとても微笑ましい光景でした。
このようにサマースクールでは、保護者の方や卒業生の保護者の方が講師を務める講座がいくつかあります。教員や外部スタッフだけでなく、保護者の方が持つ才能を活かし、親子で教育の場に参加してほしいという玉川学園の想いが表れています。
【チアダンス】
チアダンスは女の子に大人気の講座です。3日間振付を練習し、最後に保護者の前でダンスの発表を行います。指導をするのはチアリーディング協会に所属するプロの講師。しかも玉川学園の卒業生で普段は玉川大学のダンスドリルチームの指導者です。また、高学年チアダンス部「GLITZ(グリッツ)」のメンバーも指導に参加します。
この講座はここ数年継続して開講しているもので、中には幼稚部の頃から何年も連続で参加している低学年の児童もいます。子供たちの興味が着実に育っていることを感じさせてくれました。
玉川学園のスケールメリットを活用
サマースクールをこれほどの規模で展開できるのは、玉川学園全体の教育資源を活用しているからです。高学年の部活動のメンバーや各センターの専門スタッフが講師を務めていますし、学園全体の施設も活用しています。
また、有志の高学年生もサポートスタッフとして各講座の運営を支えています。今回、バルーンアートのサポートスタッフとして参加した11年生の2名は「保育の仕事に興味があるので、将来の進路を決めるきっかけになればと思って参加しました」「普段小さい子と関わる機会がないのでいい経験になりました」と話していました。また、玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科への進学を希望している12年生は「園児の積極的な態度や、作品ができたときの笑顔を見られることがとても嬉しかったです」「先生の園児に対する表情や接し方を見て、とても勉強になりました」と話してくれました。
櫻井利昭幼稚部長は、サマースクールの狙いを次のように話します。
「普段のクラスや学年単位の枠組みを外し、好きなことに取り組むことで子供たちの興味のきっかけを育みたいというのが大きな目的です。いろいろな学年の子供に接することで世界が広がると思いますし、親子で参加することで共通の話題作りにもなります。また、数多く用意された講座の中から自分の意思で取り組むことを選ぶ経験は、子供の主体性を育むことにもつながっています。
一方、サポートスタッフとして参加する高学年生にとっても、教育の現場を目の当たりにする貴重な機会になっています。この経験を自由研究のテーマとしてレポートにまとめる生徒もいて、将来の進路を考える上での良い判断材料になっているようです。
こうした取り組みができるのは、学園内の各機関が『子供たちのために何かできないか』と、協力を申し出てくれるから充実した講座構成ができるのです。まさに玉川学園というスケールメリットを最大限に活かした取り組みが、このサマースクールなのです」。