<Part2>「5歳児合宿」グループ活動のポイントやねらいとは?先生方に聞きました。

2015.08.04

1学期最大のイベント「5歳児合宿」。この合宿を通して、どんなポイントやねらいがあったのでしょうか。担任の大池絢子教諭と主任の飯塚奈央子教諭に話を聞きました。

園児たちで話し合い、自分たちで選ぶ力を育む取り組み

では今回の合宿について、担任の大池絢子教諭にグループ活動のポイントについて聞きました。
「夕食作りを通したグループ活動では、グループ分けにポイントを置いており、毎年クラスの雰囲気を考えて決めています。今年は、性格が似た者同士を集めました。いつもは積極的な園児にひっぱられている園児にも、話し合いに参加し、意見を出して欲しいのです。引っ込み思案な園児が集まれば、誰かが発言のきっかけを作らなければなりませんし、逆に積極的な園児が集まれば『私が…、僕が…』と主張していたら話はまとまりません。自分の意見をはっきりと言う、相手の意見をきちんと聞く、そしてみんなでどうすればよいか考えをまとめる。それにより、新しい友だちができたり、関係性の広がりも期待できます。それらを合宿の夕食作りから学んでほしいと考えました」。

1年の月日をかけて育んできた「グループ活動」。合宿後の成長に期待を寄せる

幼稚部主任の飯塚奈央子教諭に合宿のねらいについて話を聞きました。

玉川学園幼稚部の伝統ある「5歳児合宿」の今年のねらいはいくつかありますが、メインとなるのは3つ、「生活を自分たちで作る1日にしよう」「担任の教諭と、友だちとの距離を縮めよう」「信頼感を持ち、仲を深めよう」です。約1か月前から園児の家族も含めて準備を開始しました。

「生活を自分たちで作る1日にしよう」については衣食住をクローズアップし、家族がいない場所で自分たちの力で目的を叶えるにはどうするか、担任や友だちと連携して考え、実践することを目指しました。「衣」は着るものを自分で選び用意し、合宿中は自分で着替え整理整頓することです。
「食」は普段の生活では家族が用意してくれたものを食べていますが、合宿では自分たちで作るしかありません。担任が「白いご飯をモリモリ食べられるおかずを考えてください」と提案し、各グループで何を食べるか、その料理を作るにはどのような食材が必要で、どのような調理器具を使い、手順はどうするかなどについて考えをまとめることを目指しました。夕食を食べるための工程で、自分の思いを発し、友だちの思いを受け止め、自分が妥協するか、友だちに妥協してもらうか、いろいろなトラブルを乗り越えて一つのものにたどり着くことを学んでほしいのです。

「住」は入浴と睡眠に絞り、全員がスムーズに入浴できる所、安心して眠れる場所と寝具について考えました。園児らは自分の経験に基づいて話をするので、たとえば入浴は幼稚部にある小さなシャワー室を使おう、学園内の屋内プールの腰洗い槽をお風呂代わりに使おうという意見が出ましたが、幼稚部のシャワー室は全員が使うには時間がかかりすぎる、室内プールは担当部署から断られて、二つのアイデアの実現は不可能だと理解。ではどうするか、「家族に聞いてきてください」などと家庭でも合宿についてアイデアを出していただきました。そうすると「銭湯というものがある」となります。

すでに幼稚部から手配済みなのですが、園児たちが電話で直接交渉することを決め、電話係を選出し、電話の内容を全員が聞こえるようにスピーカーに設定し交渉を始めます。じつは電話の相手は小学部の教諭で事前に依頼し、園児に考えさせるためにすんなりとはいかないような質問を用意してもらいました。
「いつ来るのか」「洋服はちゃんと畳めるのか」「一人で体や髪を洗えるのか」「顔に水がかかっても大丈夫か」などと矢継ぎ早に問いかけます。電話係の園児はあたふたし、周囲の園児は耳をそばだてて、話がスムーズにいくように助け船を出す。「男の子は何人?、女の子は何人ですか」の質問に、周りからジェスチャーで伝えたり。園児は必死ですが、「分かりました、当日お待ちしています」と受けていただくのがわかると、「やったー!」と皆で大喜び。私たち保育者は、困難を乗り越えての達成感をねらっているのです。

寝具についても、全員での話し合いで自分が使っているものを園舎に持って来ることに決まります。大人なら端から無理だと決めますが、園児の自分で考え判断する力を期待します。担任が「一度試してみてください」と宿題を出しました。その日の夜、敷布団、掛け布団、枕を巻き寿司のように丸めて背負ってみるものの、バタンと倒れて不可能だと判断した園児もいました。翌日は、「やっぱり無理だね」と全員の意見が一致し、どうするかを考えます。家族から聞いたのでしょう、「お布団を借りられるらしい」というアイデアに全員が賛同し、銭湯と同様に電話で交渉しました。もちろん相手は小学部の別の教諭です。「冷たい布団がいいですか、それとも温かい布団ですか」などと質問も工夫してくれます。このように「衣食住」について、さまざまな困難に対して、仲間と知恵を寄せ合って乗り越え、やり遂げるためにさまざまな仕掛けを施します。それらが仲間や担任への信頼感を深め、新たな友だちを作ることにつながると考えています。

とくにグループ活動は、年長クラスの1年間の重要な学びです。話し合い、意見の受け入れ、譲歩などコミュニケーションを学ぶためのもので、年中クラスの6月頃から少しずつ進めてきました。最初は一つのテーブルで一緒にお弁当を食べる、グループの名前を決めるといったハードルの低いものから、少しずつハードルを上げていきます。最初の頃は楽しいだけの部分だったのが、友だちと意見が合わない、泣きたいけど泣いたら先に進まない、仲間と力を合わせ自分たちでやるしかない、そんな経験を積み重ねて、合宿へとつなげているのです。
色々な経験を経てようやく合宿を迎えますが、ここがゴールではなく、ひとつの通過点なのです。合宿が1学期最大のイベントですが、2学期に入ると10月の学園全体の体育祭、11月の幼稚部運動会、12月のクリスマス礼拝と1か月に一つは何かしらの行事があり、しかも年長クラスが責任をもって行動しなければならない行事ばかりです。たとえば、運動会では年長クラスには係の活動を任せます。準備係、体操係、選手宣誓係、アナウンス係など、教諭が行えばスムーズで早くできる部分を敢えて年長クラスに任せる。事前にグループで自分たちがすべきことをきちんと覚え、力を合わせて乗り切ります。

合宿を経た園児たちの表情から成長が感じられます。合宿の1か月前から園児もご家族もさまざまなプレッシャーがあり、楽しみな反面緊張の連続だったと思います。無事に夕食作りや銭湯体験、お友だちと一緒に寝ることができた経験は、子供の心に大きな余韻を残すことでしょう。有意義な夏休みを過ごし、元気に2学期を迎えてほしいと考えています。

※子供たちの活動の様子をご覧ください。
 5歳児合宿 ダイジェスト
 

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