【動画付き】10/14・17・18 リベラルアーツ学部オペラ『Lucio Silla(ルーチョ・シッラ)』を開催:キャスト、演出、舞台装置、衣装などすべてを学生自らが担当する「オペラプロジェクト」

2015.09.30

学生がゼロから手作りするオペラ

豊かな教養と幅広く深い専門知識を身につけた“全人的人間力を備えた人材”の育成をめざすリベラルアーツ学部では、前身の学科創設以来、続けられている取り組みがあります。その一つが、総合芸術であるオペラを実体験して学ぶ「オペラプロジェクト」です。
オペラとは、作品全体が歌唱を中心とした音楽によって表現される舞台芸術。歌詞がそのまま台詞(せりふ)となってストーリーが展開されます。音楽的な要素はもちろん、演出や演技などの演劇的要素と舞踊的要素、衣裳や装置などの美術的要素、歌詞やストーリー展開などの文学的要素も含まれるため、総合芸術とも言われています。ゼミ活動の一環として、すべての役割を学生たちが担当し、公演を行っているのが藤澤ゼミ。2006年からスタートした「オペラプロジェクト」は2015年に10回目の公演を迎えます。

舞台の指揮をとるのは、ゼミの指導教員であり、バリトン歌手としてイタリアオペラや日本語のオペラを中心に活躍している藤澤眞理(ふじさわまこと)教授。リベラルアーツという枠の中で芸術を実体験しながら学ぶ意義や、学生が作るオペラの見どころはどんなところにあるのでしょうか。
「リベラルアーツの学びの中で、音楽は柱の一つになり得るもので、オペラは歌・音楽を中心とした総合芸術です。そのオペラを理解するためには、学際的な知識が求められます。芸術系の学部・学科ではなくリベラルアーツでオペラを上演するのは、そうした理由もあるのです。ただし、ゼミという規模の人数の限られた中でキャスト、演出、脚本、衣裳、装置などをやっていくので、一人で二役、三役をこなさなければなりません。

また、演技や舞台づくりをこれまで経験していない人もいますし、音楽や演技の志向・スキルも異なります。そうした状況でオペラを演じる、舞台を作り上げるのは大変なことです。しかし、その苦労の経験は、挫折しないたくましさにつながりますし、真のチームワークを知る機会にもなります。公演後の達成感もあるでしょう。さらに、ゼミ生の他に楽器を担当してくれる有志の学生たちなど、多くの人に支えられて成り立っていることも理解できます」。
それぞれが役割を全うしながら大きな目標に向かって頑張るプロセスにおいて、希薄な人間関係では得られない“本音で語り合える関係”が築けるといいます。また、その関係は大学卒業後も続いていくようです。

作り手・演者と同世代のストーリーをどう演じるか

指揮・指導するうえで大切にしているのが自主性。演目については、毎年ゼミ生たちが話し合って決めています。
「舞台は人が作り出すフィクションの世界です。しかし、演じる人がどう心を動かしていくのかは紛れもない真実です。観ている人にそれをわかってもらうところまでレベルを高めていくのはたやすいことではないでしょう。心を耕していないと繊細な感情を表現するのは難しいものです。スマートフォンで短い言葉でのやりとりが増えてきている中にあって、心情や言葉に込められた思い、言霊(ことだま)といったものをいかに表に出せるかがポイントでしょう。私の役目は、学生たちの頑張りを支えることです」。

2015年の演目は『Lucio Silla(ルーチョ・シッラ)』で、モーツァルトが16歳のときに作曲した作品です。
「元々完成度が高く、高度な表現技術が求められ、演じるのが難しいと言われる作品です。悲劇のストーリーにある嫉妬や憎しみなど人間の負の感情や人間関係のひずみなど、全編イタリア語での上演(字幕付き)となるので、本番までにどれだけ歌唱の完成度を高められるかも見どころでしょう」という藤澤教授。『Lucio Silla』の登場人物は学生たちと同年代で、等身大で描かれています。そうした若い人たちのパワーに支えられた舞台を楽しめるのではないでしょうか。

キャストが語る役の難しさと見どころ

独裁執政官のルーチョ・シッラを演じるのは、ゼミ長を務める植田佳希(うえだよしき)さん。
「芝居も歌もまったくの初心者で、人生で初めて自分に向いていないことをしていると感じています。それでも、2年目ということもあり、できることが増えていて自分でも驚いています。自分たちで舞台を作ることは、多くの方に観てもらって、感動してもらうのがゴール。メインキャストの役割の大きさ、作品を理解して演じるプレッシャーもありますが、ルーチェ・シッラの心の変わり様を表現できたらと思います。プロが演じるのであれば、技術の高さを際立たせたものになるのかもしれませんが、私たちの『Lucio Silla』はストーリーと演出にこだわったところに注目してほしいです。個人的には、心理行動科学を専攻としているので、学んだことを生かす絶好の機会かもしれません」。
卒業後は玩具メーカーへ就職し、自分の体を使って人の心を動かす経験を、これからは社会の中で生かしていきたいとのことです。

高校までダンスと演劇に懸命に取り組んでいた北古賀栞(きたこがしおり)さんが演じるのは、ルーチョ・シッラに思いを寄せる前執行官の娘ジューニア。
「オペラプロジェクトを経験するまでは、“この中でだれが上手か”を気にしていて、それが結果的に自分を苦しめている感じでした。でも、ゼミで経験も技術も異なる人たちと舞台を作ることで、その呪縛がほどけ、心の成長につながったと感じています。今は、素直に歌や役、そしてみんなで作ることを楽しめています。『Lucio Silla』はプロでもあまり演じられていないため、見本となるものがなく試行錯誤の連続。それでも、全員がゼロからのスタートでここまでできるようになるというところや、芸術だけでない幅広い知識も要素として入っている“リベラルアーツならでは”の舞台をぜひ感じてほしいです。ジューニア役は出番が多く、音の一つ一つにどんな気持ちを乗せるのかも難しいですが、婚約者を亡くす絶望感など、人生で経験したことがない状況を演じなければならないところが大変です」。
芸術だけでない舞台へのアプローチを知り、それが自信になったという北古賀さんは、本場ブロードウェイで役者・演者になるのが目標だそうです。

藤澤ゼミのオペラプロジェクト『Lucio Silla 〜愛は欲望の迷宮へ〜』は、玉川学園チャペル(キャンパスマップ41)にて、2015年10月14日(水)、17日(土)、18日(日)に上演されます。入場は無料です。14日は17時30分開演、17・18日は14時開演(いずれも開演30分前に開場)。
お誘い合わせのうえ、チャペルまで足をお運びください。

オペラプロジェクト『Lucio Silla』ダイジェスト動画