【動画付き】「山下りん・日比和平が描いたイコン」展が教育博物館で開催。ギャラリートークに多くの方が集まりました。

2015.10.19

「本物に触れる」という創立者小原國芳の理想を実現するために広く資料の収集、保存、調査研究、展示、博物館教育などの活動を行っている玉川大学教育博物館。一年を通じてさまざまな企画展を行っています。10月5日(月)から「静岡ハリストス正教会寄贈 山下りん・日比和平が描いたイコン」展がはじまり、10月9日(金)には展示されたイコンを学芸員が直接解説するギャラリートークが行われました。
玉川学園は全人教育の実現のために宗教教育を大切にしてきました。神を敬愛する心を養うこと、その実物資料に触れるという目的のために、教育博物館では以前からロシア、ギリシアのイコンを収集してきました。その所蔵点数は70以上と、国内でも屈指の数を誇ります。このような活動や資料を収集してきた実績から、今回、聖堂新築にともない堂内に収まりきらなくなった静岡ハリストス正教会のイコンをご恵贈いただく運びとなりました。ご恵贈いただいたのは日本初のイコン画家である山下りんのイコン6点と、正教徒で50年以上にわたりイコンを制作した日比和平のイコン14点。今回の特別展示はこのすべてを展示すると同時にロシアやギリシアのイコンも展示し、その違いを感じられる内容となりました。信仰の対象であるため、本来は教会内のイコノタス(祭壇のある至聖所と信者席との間にある仕切り壁)に飾られているイコンを、このように間近で見るという機会はとても貴重なものです。

平日の昼間という時間帯にもかかわらず、ギャラリートークには30名を越える方が集まりました。教育博物館の宇野慶学芸員によってイコンとはどういうものかなど、基礎的な部分から説明が行われました。また、イコンは本来修道士が描くため、世間に名を為すことはないこと、明治初期は私たちが考えるよりも女性が闊達に活躍していた時代だったことなど、このように作品の背景についての理解が深まるのもギャラリートークの魅力です。時には学芸員が集まった方々に問いかけることもあります。たとえば日比和平が描く「最後の晩餐」はダヴィンチらの作品とは異なり、ユダにも光輪が描かれていますが、その理由について参加者全員で考えるなど、ただ作品を鑑賞するだけではない面白みを感じることができました。また、山下りんと日比和平の作品を、同じモチーフを描いたロシアやギリシアのイコンと比較するなど、多くのイコンを所蔵するからこそ可能な鑑賞法も、この特別展示では楽しむことができました。

今回の特別展示について、教育博物館の柿﨑博孝教授に話を聞きました。「仏像への関心の高さなど、いま聖なるものへの注目度が高まっているのではないでしょうか。教育博物館ではこれまでもイコン展を開催してきましたが、毎回多くの方が来場されます。今回新たに加わったイコンも、教会に飾られていたため蝋燭の煤などで傷みが激しいのですが、NPO法人美術保存修復センター横浜の皆さんが修復を手掛け、本来の鮮やかな色彩を取り戻すことができました。ロシアやギリシアのイコンに加えて、今回山下りんと日比和平という日本を代表するイコン作家の作品を所蔵できたことは、当博物館にとっても大きな意味があり、今後さらに研究を深めていきたいと思っています」。

教育機関の博物館として学園内での教育に寄与すると同時に、広く社会に開かれた施設として活動を行っている玉川大学教育博物館。こうした特別展示が、玉川学園を知っていただくいい機会にもなっています。「静岡ハリストス正教会寄贈 山下りん・日比和平が描いたイコン」展は10月23日(金)まで開催しており、19日(月)にはギャラリートークも行われます。ぜひ一度、足をお運びください。

動画では、「静岡ハリストス正教会寄贈 山下りん・日比和平が描いたイコン」展の様子をご紹介しています。