生態系科学研究

人間活動による自然環境に対するインパクトは、世界的に大変大きな問題となってきています。生態系(エコシステム)の健全性を復元・維持し、持続可能な利用に資することを目的に、農耕地・自然生態系(森林、草原、水辺)、さらに高山・極地という特異環境なども視野に入れ、環境と生物のつながりという観点から研究します。

陸上生態系機能の解析とモニタリング

陸上生態系では、生物と環境(大気)の間でCO2(炭素)が交換されています。生産者はCO2を吸収~有機物を生産し、その有機物は、生態系の様々な生物体や土壌に蓄積されます。このような生態系の機能を明らかにするために、生産者の生産量やバイオマス、土壌呼吸や土壌炭素などの測定を行い、炭素の出入り(フラックス)や貯留(プール)をモニタリングしています。

CO2は温室効果気体として、地球温暖化への影響が懸念されています。温室効果ガス削減に関する京都議定書には、CO2吸収源として、森林生態系の機能利用が盛り込まれてきました。一方、将来的には、森林以外の生態系の機能評価も重要になると考えられています。そこで、草原や農地、都市近郊の二次的自然として重要視されつつある里山などを対象に研究を行っています。

また、生産者のCO2吸収機能(光合成)に対する環境要因の影響評価についても研究しています(他の研究分野との共同)。

葉面積指数測定、土壌呼吸測定
ススキ葉群の魚眼カメラ画像

生物群集と環境の動態解析

北米西海岸における針葉樹優占林の伐採が渓畔生態系に与える影響
渓畔域から斜面にかけての環境傾度と更新動態

森林の間伐はその程度によって周辺の生態系に与える影響が異なります。とくに、渓畔域に形成されている林分の場合、間伐は森林自体のみならず流域にも影響を及ぼしていると考えられます。カナダのBritish Columbia大学演習林の渓畔林長期的モニタリングサイトにおいて(試験的に50%の間伐)、河川流路から斜面にかけての実生更新および周辺環境を調査し、間伐の影響を評価しています。

間伐林分、間伐林内の明るい様子、林内の環境測定装置

火山噴気孔周辺の植生

日本国内に火山は86座あるといわれており,これは世界の火山の1割に達します.気象庁の定義では,「およそ2000年以内に噴火した火山」および「現在噴気活動が活発な火山」のことを活火山としていますが,有史以来噴火の記録がなかった岐阜県の御嶽山が突然大噴火したことをみてもわかるように,どの火山も噴火の危険性があるといえます.噴火に至らなくても噴気孔から硫化ガスを噴出しているところも多く,その影響で植生が無いか大変貧弱になっている立地があります.このような立地における植生の分布および遷移の進行を土壌中の環境と併せて検討しています.

ポンポン山噴気孔周辺 ポンポン山噴気孔周辺
水蒸気が立ち上るキンムトーの噴気孔 水蒸気が立ち上るキンムトーの噴気孔
ガス検出器を用いての硫化ガス測定 ガス検出器を用いての硫化ガス測定

水界生態系の生物群集の研究

水界環境の生物群集の分布や季節消長、環境とのかかわりについて明らかにすることを目的として、生物個体の観察データと環境測定データの相互解析を行っています。

魚類の行動観察

土壌および極限環境における微生物の分析と探索

極限環境を中心に、環境中の微生物についての生態学的研究や分析手法の開発、未知微生物の探索と利用について研究を行っています。現在取り組んでいるテーマは、アイスコア中の微生物を用いた古環境復元に関する研究、蛍光顕微鏡等を用いた微生物検出法の開発、新規放線菌の探索と利用、木材や鶏糞などのバイオマスからの水素生産研究などです。また、JAXAなどと連携し、地球圏外生命探査に関する研究も行っています。

グルカナ氷河、蛍光顕微鏡画像

環境変動に対する生物の進化生態学的応答

圃場実験、ゲノム解析、シミュレーションを用いて多角的に生物の環境変動に対する動態と進化を追っています。野生植物の気候変動に対する進化的応答、侵入種の進化、栽培種の進化、遺伝的多様性と生態系機能の関係、生物多様性の保全などを研究しています。

所属教員

  • 関川 清広 教授
  • 増田 篤稔 教授
  • 南 佳典 教授
  • 吉川 朋子 教授
  • 吉村 義隆 教授
  • 勝尾 彰仁 准教授
  • 小林 祥子 准教授
  • 三村 真紀子 准教授