教員養成-日本とドイツの比較-

2012.11.26

ドルトムント教員ゼミナール長及び国家試験担当者と

11月6日から14日まで、ドイツで教員養成の実態調査に行ってきました。ドイツの教員養成は、学部3年、修士2年の後に試補制度が1年半程度あります(州により異なります)。今回の調査の目的は、大学での教員養成と公務員暫定採用後のゼミナールとの関係です。
今回調査したノルトライン・ヴェストファーレン州では、教育実習は大学入学前から始まり、学部1年目から学校に入るようになっています。学校における現場力が重視されていることがわかります。試補制度は日本では馴染みが薄いのですが、公務員暫定採用後に学校で週3~4日実際に教育活動を行い、ゼミナール(日本の教育センターの様な機関)で週1~2日理論を学ぶという形です。合計で7年程度かけて先生になることになります。
日本では大学の学部4年で教員免許状を取得し、採用選考に合格して1年間の初任者研修を受けます。この1年の間に教育センター等での講義等(理論)を25日程度受けるとともに、学校で実践を積むことになります。教員として必要な最低限の資質や能力を獲得することが狙いです。実際には大学で習ったことと、教育センターで習うことの関連性が薄いと批判されています。
それでは、ドイツの大学とゼミナールの関係はどうでしょうか。今回の調査で明らかになったことは、ほぼ両者の関係性が十分には意図されていないことが確認できました。大学とゼミナールの間ではお互いをよく知らない、あるいは関心が薄いのです。
日本では2012年8月の中教審答申で、大学での教員養成と教員採用後の研修で、大学と教育委員会が連携を深める必要性が指摘されました。日本もドイツも同じような状況にあるということでしょうか。

(教授・坂野慎二)