日本道徳教育学会(昭和女子大学)に参加しました

2014.07.15

7/5、7/6に昭和女子大学で行われた「日本道徳教育学会」に参加してきました。この学会は、大学の道徳教育関係の教員のみならず、幼・小・中・高の先生達も数多く参加されている、いわば理論と実践を兼ね備えた研究の場です。
東急「三軒茶屋」駅で電車を降りて、まず驚いたのが、駅構内に大学までの道案内の看板を持った方(主催校の学生さんかなとも思ったが、男性だったので詳細は不明)がおられたこと。そして、駅から大学までは数分の距離しかないにもかかわらず、道を間違えない配慮のためか交差点にも、雨の中、学生さん(恐らく)が道案内をされていたことでした。さすが、道徳教育学会、参加者のための配慮が至る所に見受けられました。「隗より始めよ」を実践しているというところでしょうか。
初日メインのシンポジウム「道徳教育改革を支える理論を構築する」(司会:行安茂岡山大学名誉教授、シンポジスト:宮寺晃夫筑波大学名誉教授、貝塚茂樹武蔵野大学教授、伴恒信鳴門教育大学教授)では、粋な進行に脱帽です。一般に、今回のような司会者1名とシンポジスト3名で行われる2時間のシンポジウムでは、3人のシンポジストが1時間ほど話し、その後30分ほどシンポジスト同士で意見を交換し、残り30分が参加者との質疑応答というような時間配分で行われることが多いようです。ところが、今回のシンポジウムでは3人のシンポジストが最初の30分ほど話すだけで、残り時間の約90分はすべて参加者との質疑応答に充てられていました。しかも司会の行安教授は、開口一番「多くの参加者に質疑応答の機会を持ってもらうため、質問内容は1人2分を厳守。ぐだぐだ言うような質問は不可。論点をはっきりさせて、質問するように」と厳命されました。
同学会大御所からの一喝に一瞬シーンとなったものの、多くの参加者はそれに応えるように各自腕時計を見ながら2分以内の明確な質問を矢継ぎ早に行い、シンポジストもそれらに端的に応えていました。小生も「メディアへの啓蒙について」の質問を致しましたが、シンポジストの貝塚教授からの明確な回答を得ることができ、非常に有意義なシンポジウムとなりました。
ややもすると、シンポジウムはシンポジストの話を参加者全員が拝聴するという形になりがちですが、質疑応答を通して多くの参加者が、文字通り「参加」するシンポジウムは、自身の疑問を解決するというような観点からも、すぐれた手法であると感じました。また、このことは、昨今言われている、一方的な講義型の授業から学生参加型の授業形態への移行の重要性を身をもって体験したと言っても過言ではありません。
今回の日本道徳教育学会参加では、通常の研究発表から得たものだけではなく、与えられた時間をどのように用いることで参加者に充実感を与えることができるのかを同時に学ばせてもらった気がします。

(教授 山口意友)