授業風景〜教育思想史研究

2017.11.17

私が今期、受講している「教育思想史研究」という講義では現在、イマヌエル・カント著、宇都宮芳明訳の『道徳形而上学の基礎づけ』を主要のテキストとして使っています。本講義では、テキストの中から約10ページずつを毎週の範囲として設定し、日々の予習・復習すべき内容として丁寧に読み解き、次回の講義へ向けて内容をまとめています。講義の時間では先生とともに議論を交わしながら、カントがこのテキストにおいて目指そうとする「道徳性の最上の原理を探求し、それを確定する」ことの理解を深めようとしています。

本講義は受講者が私一人なので、先生と私の1対1で講義が進みます。一人であることの利点は、細かな疑問についてすぐに先生へ聞くことが出来る点、テキストの解釈についての疑問が残るようならば、授業時間内に納得が出来るまでいつまででも議論を交わすことが出来る点です。大学での講義とは違い、受講者が私一人の状況であっても講義は成立しますし、毎週毎週の講義を通して、一冊のテキストを深く読み進める力がついていく実感があります。

私が大学院で研究をしながら感じていたのは、文字を読む機会が多くなり、読むべき本や論文の数が増えたにも関わらず、使われている文字や単語、その意味について一つ一つ読み解き、深めていくための時間を確保することが出来ないということです。私が大切にしたいことは、時間がない中であっても、文字や単語を読み飛ばしたり、読み流したり、見逃したりせずに、意味を説明することが出来ないような言葉をそのまま放置したりせず、丁寧に読み解こうとする姿勢です。

本講義では、単語の一つでも分からないことがあれば事前に調べ、それでも分からなければ先生へ聞き、納得が出来ないようならば納得が行くまで議論を交わすこともあります。このような講義のあり方は、私が大切にしたい姿勢を学ぶことが出来ますし、何よりも、私自身が成長していく時間を過ごせている、という実感があるものです。修了まであと残り5ヶ月くらいだろうか、と考えるような時期となりましたが、まだまだ学びの尽きない大学院生活を、あと少しでも長く続いてほしいな、と思う毎日を送っています。

教育学研究コース2年 河合宗汰