新たな研究方法との出会い ~PAC分析特別講義を通して~

2014.07.10

7月4日(金)、若月芳浩教授のコーディネートにより鎌倉女子大学の原孝成教授をお招きし、「PAC分析特別講義」が実現しました。
「PAC」とは「Personal Attitude Construct(個人別態度構造)」を指し、内藤(1993)により開発された「量的研究」・「質的研究」の利点を掛け合わせた研究手法です。例えば、「一人の保育者が子どもの遊びの姿をどのように捉えているか」というように個へのアプローチに特化した研究方法であると考えられます。
原教授は保育学分野において、本分析手法を用いた研究を行う第一人者です。実際の研究手法としては、被験者の非論理的な自由連想からはじめて、類似度を考えさせ、それを用いたクラスター分析(多変量解析)を現象学的立場から実験者が被験者と共に問題を共有するというものです。
このようにまとめると、何やら難解な研究手法のように思えるかもしれませんが、実はそうでもないようです。解析ソフトと研究手順の理解があれば実施することは十分に可能です。しかし、私の場合、専門書による個人の探究だけでは理解に欠ける部分がありました。そのため、今回の特別講義における原教授の講義内容は、まさに「目から鱗」の内容でした。分析構造の明確な解説、研究手法の長所・短所を踏まえ行われた実際の先行研究を交えての原先生の講義は、豊穣なる学びの一時となりました。
研究手法の選択は、研究論文のフレームワークにおいて極めて重要な要素です。私にとって、「PAC分析」は研究手法の新たなる知見の理解へ繋がる大きなきっかけとなりました。同時に、他大学より専門家の知識を得るという貴重な機会をつくって下さった先生方、並びに大学院の支援に深く感謝致します。

【参考文献】内藤哲雄(1993)「個人別態度構造の分析」信州大学 人文科学論集 第27号 43-69頁

教育学研究科 教育学専攻1年 T.Y.