記憶の神経メカニズムの解明に挑戦!

2014.03.14

脳は多数の神経細胞で構成された神経回路(図1)を、神経細胞の発火電位の伝搬により情報伝達を行っています。近年、記憶に関わる海馬神経細胞において、発火時に1つの細胞内で自分の発火を入力部位側に伝える逆伝搬活動電位が起こることが報告されました。私の研究は、注意や集中に脳全体に投射される物質(アセチルコリン)が、その逆伝搬活動電位にいかに作用し、神経細胞の情報処理に影響を与えるかを調べています。計測には、電位変化を蛍光変化に変換する電位感受性色素を用い、CCDカメラにより海馬神経回路から多点同時光計測を行っています。
逆光伝搬活動電位の海馬神経ネットワーク上への分布を図2に示します。この分布が薬品(カルバコール)によりアセチルコリン濃度が増えると、どのように変化するかを調べています。そして時空間的に膜電位の伝搬を計測することで脳のネットワーク活動を調べ、記憶のメカニズムを解き明かしていきます。

図1 神経細胞の構築による神経回路
図2 逆行伝搬膜電位の分布

図2は、電気刺激で逆行伝搬膜電位を発生させ記録した画像です。
海馬の神経細胞は図の様に並列になっています。
膜電位の強度は高い方から赤、黄、緑の順です。

電子情報工学専攻 脳情報システム研究室 1年 海江田 岳