平成30年度 大学院農学研究科 第2回研究談話会
Walter M. Farina教授(アルゼンチン,ブエノスアイレス大学)来学
―ミツバチの基礎研究を農業へ応用する可能性について講演

2018.10.10

平成30年度の第2回研究談話会が10月5日(金)に開催されました。アルゼンチンのブエノスアイレス大学でミツバチの行動生物学を専門に研究されているWalter M. Farina教授をお迎えし,ミツバチの基礎研究の成果と農学への応用可能性について講演をしていただきました。

Farina教授は、1993年にアルゼンチンのブエノスアイレス大学にて博士号を取得後、フランスやブラジル等の各国で国際共同研究を展開されている世界的に著名な研究者です。Farina教授は現在、国内で短期滞在されており、佐々木謙教授が農学研究科の談話会での講演の可能性について打診したところ、ご快諾くださり、来学が実現しました。

ミツバチによる受粉の説明をされるFarina教授
(写真提供:小野正人教授)

講演は、“Honey bee as an integrative study model to connect social behavior with crop pollination”(統合的な研究モデルとしてのミツバチ-ミツバチの社会行動の研究を作物の受粉に活かす)というタイトルで、農学研究科の大学院生や農学部の学部生および教員ら25名を前に英語で行われました。Farina教授がミツバチの個体レベルで行われる学習(嗅覚連合学習)や巣のメンバー間の栄養交換行動を通して成立する社会学習の過程を丁寧に説明し、これらの現象が農学における作物の受粉行動の基礎になっていることをアーモンドの花の受粉を例に紹介してくださいました。また、現在、世界的に問題となっている農薬(ネオニコチノイド)によるミツバチの行動への影響についても、興味深いデータを示してくださいました。Farina教授はこのようなミツバチの基礎研究の成果が農学における作物受粉に応用できることを農場でのデータを紹介しながら説明してくださり、セミナー参加者もその主張に納得しながら聴いているようでした。

参加者からは講演の途中や終了後に質疑やコメントが挙がり、活発な議論が行われました。また、談話会終了後もFarina教授や同行されていたFarina夫人と交流する大学院生が後を絶たず、貴重な国際研究交流の機会を得ることができました。

講演後の質疑応答の様子(写真提供:小野正人教授)
Farina教授を囲んでの記念撮影(写真提供:小野正人教授)