竹田先生Vol.5:入門期の作文指導①―安心して話せる学級づくり―

2016.03.31

入門期の書く活動として、小学校1年生の子どもたちにいつ頃から作文指導を始めたらよいのでしょうか。平仮名の指導が一通り終わった9月頃からと考えるかもしれませんがそれでは遅すぎるのです。書くことの素地となる指導は、実は入学したその日から始めるようにします。
入学式が終わって教室にもどった子どもたちは、初めて担任となる先生がどんな先生なのか、どんな話をしてくれるのかと緊張した面持ちで待っています。そこで、きれいにたたんだ一枚の紙をポケットから取り出し、大げさな動作でその紙を広げながら、おもむろに読み始めます。

うんこ

1年 なるお たかふみ

がっこうからはしってかえって/うんこをした
パンツをぬいだら/いきなりにゅーとでました
ながいなあと見ていたら/べんじょのさきまでありました
大ごえでおかあさんをよんだら/ヒャーといってびっくりしていました
ぼくがしたうんこで/これが一ばん大きかった
おとうさんのおちんちんよりすごくながいです
ぼくはよるまでながさなかった/おねえちゃんもびっくりして
ものさしではかってくれたら/30センチもありました

はじめは何だろうとけげんな顔をしていた子どもたちの間から笑い声がもれはじめます。やがて、教室中が子どもたちの笑顔でいっぱいになります。さっきまでの張りつめた教室の空気が一転して、明るく和やかな雰囲気に変わってきます。子どもたちの反応を受けとめながらこんなふうに語りかけます。
「小学校では、いろいろな勉強をします。本を読んだり、字を書いたりできるようになります。がんばって勉強すれば、今、先生が読んだような楽しいことが、みんなにも書けるようになります。」

子どもたちと初めて対面した日に、このような話をしてやるととても喜んでくれるし、担任に対して親近感をもってくれます。面白い先生だなあと感じてくれると同時に、どんな話でもできるという安心感が生まれてきます。
このように、入門期の作文指導は、まず学級の中に話しやすい雰囲気を作っていくことから始めるようにします。