谷先生Vol.2:子どもに好かれる教師の条件〜できるまで見てくれる先生〜

2016.07.01

あるアンケートでの「教わりたい先生」の第1位。

鉄棒・跳び箱ができるまで見てくれる先生

子ども達はできるようになりたがっているのですね。勉強の教え方が上手な先生。運動ができるようなるまで丁寧に見てくれる先生。やはりそんな先生に教えてほしいのです。教師は、子ども達をできるようにしてやるための専門的な技術・方法を身につけていなければならないのだと思います。

跳び箱を跳べない子なら3分で跳ばせることができます。成功率は97%以上です。前提条件は「縄跳びが一回できる」こと、あるいは「ケンパができる」ことです。
25mを泳げない子。水に入って頭まで潜れるのであれば、よほど特殊な事情がない限り概ね3日程度で25mを合格させることができます。
鉄棒の逆上がりができない子はもう少し時間がかかります。しかし、持久懸垂の状態で1秒程度保持できるなら、ほとんどの子どもは3ヶ月以内に達成できます。
このような基本的な教える技術を知っていて使いこなしていること。それを子どもや保護者にも目安として語れること。なおかつ目の前の子どもの実態に合わせて修正していけること。そう入ったことも、専門職としての教師の力に含まれるのだろうと思います。
漢字を覚える指導でも、足し算ができるようになる指導でも、すべて同じです。

① 習得の前提条件
② 指導のポイント
③ 合理的練習方法

この三つを明確に示すことができるのが専門家です。医師も、その病が治るための前提条件、治療のポイント、直るまでの行動の仕方を具体的に示してくれます。
「がんばればできるよ」「あきらめないで」などと声をかけることも、もちろん大切です。しかし、「がんばれば治りますよ」とだけしか言わない医師に治療を任せることはできません。

医師は「医療活動をする技術なり方法なりを持っている」ことにおいて専門職なのであり(中略)教師も「教育の技術なり方法なりを持っていることにおいて専門職なのである。(『授業の腕をあげる法則』向山洋一 学芸みらい社)