田原先生Vol.4:極端に引っ込み思案な子どもの心理と指導法

2016.07.22

「意見を言うように求めても、なかなか自分から話そうとしない」「いつもポツンと1人でモジモジしている」といったように、引っ込み思案な子どもがいます。引っ込み思案は生まれつきのものであることが、近年の乳幼児研究から明らかになっています。生後、間もない乳児の時点で、すでに積極的な子ども、消極的な子どもといった個人差が現れており、気質(生得的特性)が影響していると考えられています。
引っ込み思案で悩んでいる子どもが先生方のところに相談にきましたら、まずは子どもの不安や苦しみを傾聴し、子どもの苦しみに共感するようにしてください。子どもの話を聴いていますとアドバイスをしたくなりますが、アドバイスは子どもの話を十分に傾聴・共感してからにしてください。傾聴・共感ができましたら、今後の引っ込み思案への対応として2つの方法があることを情報提供してください。第1の情報提供は、引っ込み思案は決して悪いものではなく、むしろ「自分の意見を言う前に他者の意見をよく聞くことができる」「慎重で丁重である」「きちんとしてる」といったように長所であると指摘するものです。このように本人が欠点と思っていることを別の視点から認識することをリフレーミングといいますが、リフレーミングにより欠点と感じていたことを長所として再認知させようとする方法が1つです。
もう1つの情報提供は、本人の努力で引っ込み思案の克服を目指すというものです。克服を目指す場合には、その子どもが得意なこと(長所)が何かを考え、その長所を伸ばすようにします。たとえばパソコンが好きであればコンピュータープログラミングが上達することに精力を傾けます。得意なことであればコツコツと続けることができ、成功・上達体験が得られやすくなります。成功・上達することで周囲の人の目が変化するとともに、本人自身の自己肯定感も高まり、積極性が高まるようになります。