堀田先生:ICT活用授業のABCVol.1:どんなICTが導入されているの?

2011.11.07
堀田 龍也

私の専門は「教育の情報化」です。
その1つに、普通教室でのICT活用があります。
ICTを活用することにより、従来までの授業に比べてよりわかりやすい授業が実現するためには、どのようなICTをどのように活用すればよいかについて、実践的な研究をしています。

このコラムでは、最近のデータを用いて、我が国の現在のICT活用の現状について解説していくことにします。

第1回は、このグラフです。

(グラフ)普通教室にICT機器が常設されている割合

これは、平成23年3月現在のデータです。
我が国には、普通教室が小学校には 258,744教室、中学校には107,293教室があります。
小学校ではそのうちの54.1%に、デジタルテレビが常設されていることになります。
プロジェクタと電子黒板を合わせると、小学校では67.5%の普通教室に、すでに大型提示装置が常設されていることになります。
中学校では、小学校よりは整備が遅れていますが、合計で38.4%の普通教室には常設されていることがわかります。
この数値は常設の割合です。このほかに、たとえば学年で1台とか、フロアに1台のような形で整備されているICTがありますから、ずいぶんと整備が進んだものです。

普通教室へのICT環境の整備は、平成21年度の「スクール・ニューディール政策」によって大きく進展しました。
上記のデータも、この政策による結果です。

しかし課題もあります。
それは、デジタルテレビ等で「映すものは何か」ということです。

校内LANはすでに約8割の普通教室に整備されていますが、これに繋ぐためのコンピュータは小学校でも35.7%しか常設されていません。
最近、広く注目を集めている実物投影機に至っては、まだ16.0%しか整備されていないのです。

このままでは、せっかく導入された大型提示装置も、宝の持ち腐れになりかねません。
大型提示装置に接続するための、コンピュータ、実物投影機、デジタルカメラなど、教材を映すためのICTの導入が急がれます。

(参考文献) 文部科学省「学校における教育の情報化等の実態に関する調査」(2011.3.1現在)