谷先生:授業力向上のABCVol.3:社会科で「方法」を確実に習得させる

2011.11.21
谷 和樹

どの子も確実に習得できるはずの「方法」もまた、なおざりにされていると思えます。 例えば次のような方法は、一人の例外もなく、全員の子どもに保障されているでしょうか。
(1)グラフから情報を読み取る方法
(2)絵や写真から情報を読み取る方法
(3)地図帳から情報を読み取る方法
(4)調べたことをノートにまとめる方法
まだまだ他にもあるでしょう。
例えば、教科書に載っているグラフを取り上げて、大学生に授業をさせてみたことがあります。すると、ほとんどの場合、そのグラフから読み取れる知識そのものを授業しようとするのです。これに対して、よく勉強している教師ほど「その知識を読み取るための方法」を授業しようとします。
グラフであれば「タイトル、出典、年度」の三つをノートに書かせます。
「縦軸と横軸」のスケールを確認させます。
「変化の傾向」の五つの代表的なパターンを教えた上で、そのグラフはどの傾向に該当するかを指摘させます。 何が原因でその変化が起きたのか。それを示している資料を、教科書の本文や資料集などから探させます。その原因と結果を短くノートにまとめさせます。
このような「グラフから情報を読み取る方法」を、いくつかのグラフで、何度か繰り返して教えるのです。
いったん身につけると、新しいグラフを見たときでも、今度は自分たちの力で、同様の方法で、子どもたちは情報を読み取れるようになるわけです。
その際、例えば次のような微細な方法も同時に教えることがポイントです。
(1)線で結ばせる。
(2)なぞらせる。
(3)別のグラフを重ねさせる。
(4)指でたどらせる。
(5)数値を書きこませる。
絵や写真から情報を読み取る場合でも、地図帳から情報を読み取る場合でも、このような典型的な処理方法が存在します。
こうしたことを、楽しく、子どもたちが熱中するような展開で教えることができるのが、教師の授業力だと思います。