阿久澤先生:特別支援教育のABCVol.2:肩なんてさわらないで...!

2011.12.12
阿久澤 栄

<感覚が過敏…?鈍感…?>

「うちのクラスの○○くんは、なにもされていないのに、『なんで殴るんだ!』と言ってお友達に殴りかかることがあって困ってしまいます。」小学校の先生方からよく聞く言葉です。なぜ、○○くんはそのようなことをするのでしょうか。
発達障害のある子どもの中には、様々な感覚が過敏であったり、逆に鈍感であったりする子どもがかなりの数います。先生やお友達から見たら<何もしていない>ような、ちょっとしたことが、本人にとっては大変なことなのかもしれません。例えば、「ねーねー」と言って肩を軽くポンポンと叩いたり、先生が本人を励ますつもりで肩に手を置いて話しかけたりすることなど障害のない者からすれば、どうということのない当たり前のことです。でも、彼らにとっては、その軽いポンポンが、思い切り殴られたと同じくらい痛いというのです。知的に高い例えば「高機能自閉症」の子どもだと、先生がするポンポンは我慢してくれますが、お友達のポンポンは許せません。もしかしたら○○くんもそんな触覚の過敏な子どもかもしれません。ちなみに「高機能自閉症」の「高機能」とは「知的に問題のない」という意味しかありません。知的に問題がなくても自閉症の障害特性は持っている子どもたちです。
こうした触覚の過敏な子どもたちは、握手も手をつなぐことも苦手です。低学年などで手をつないで学校探検などということがあると、その場でひと悶着‥‥ということになります。また、教室に入るなり、靴下を脱いでしまう子どもも多いのですが、ソックスのつま先の縫い目が当たって痛いというのです。
この子どもたちは、感覚が過敏という前に、そもそもさわられることがいやなことが多いのです。こんなことを知っていただき、先生方はもちろん、クラスのお友達にもこうしたことを上手に伝えていただければ、無用な混乱がなくなりますよね。
なお、この子どもたちの中には、逆に感覚が鈍感という子どももかなりの数います。体温が高くなっていてもそれを感じなかったり、けがをしても痛みを感じなかったりします。そんなことにも配慮していただければと思っています。