西村先生:生徒指導のABCVol.1:生徒指導は専門の先生に任せる?

2012.01.16
西村 哲雄

私は、横浜市立中学校で理科の教員として採用されました。担任、サッカー部顧問などを経験し、初任から12年目に生徒指導専任教諭を3年間務めました。また、教育委員会では生徒指導担当課長、部長として5年間、横浜市立520校の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題などについて、解決に向けた様々な取り組みを行ってきました。その経験を生かして、教職大学院では主として生徒指導について教えています。
「生徒指導は苦手で・・・」「専門の先生に任せている・・・」というように生徒指導を誤って捉えている教員も少なからずいます。そこで、生徒指導をどのように捉えるべきなのかを述べてみたい。
平成20年3月に告示された今回の学習指導要領における生徒指導にかかわる記述を見てみましょう。
小学校学習指導要領では、第1章総則の第4指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項の2の(3)で、

日ごろから学級経営の充実を図り、教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間関係を育てるとともに児童理解を深め、生徒指導の充実を図ること。

同様に、中学校では、
教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め、生徒が自主的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう、生徒指導の充実を図ること。

と、なっており従前と変わりがありません。ということは、生徒指導の基本は、変化の激しい社会においても、教師と児童生徒との信頼関係が基盤となって学校におけるすべての教育活動に機能していくことにあります。
児童生徒はもとより、保護者、地域の方々、同僚教師に信頼される教師に必要なことは、教科指導力とともに児童生徒の有り様をしっかりと受け止めた生徒指導力を身に付けることが重要です。