作間先生:謎解き読みのABCVol.1:文学教材の読み方に疑問や物足りなさを感じませんか?

2012.01.16
作間 慎一

国語の教科書には、『お手紙』や『ごんぎつね』、『一つの花』などたくさんの文学教材が掲載されています。

これらの作品を読めば、どのようなことが書いてあるかはだいたいわかるのではないでしょうか。
『お手紙』(アーノルド・ローベル)だったら、かえる君の優しさが感じられ、思いやりの大切さを読みとることができます。
『ごんぎつね』だったら、ひとりぼっちのごんが村人や兵十に自分のことを知って欲しくていたずらをし、同じひとりぼっちになった兵十と友だちになりたかったが、わかってもらえずに撃たれてしまったということがわかるでしょう。
『一つの花』なら、戦争の悲惨さや平和の大切さについて書かれていると思うのではないでしょうか。

上記したようなことを作品から読み取ったとして、「なるほど、今まで考えてもいなかったようなことがわかった」ということはないはずです。たいていの人は、思いやりの大切さや平和を求める心を持つことの大切さを知っています。ひとりぼっちなら友だちが欲しいと思うこともわかります。
しかし、こうした文学作品に誰もが大切だと思うことや、誰も知っているようなことを読みとることができたとき、その読み方に疑問を感じることはありませんでしたか。そのような読み方に物足りなさを感じませんでしたか。

謎解き読みは、そうした疑問や物足りなさから生まれた、文学作品をもう少し深く読むための方法です。