竹田先生Vol.3:教師が授業でよく使う言葉の心裏「他にありませんか?」

2015.10.29

授業中、子どもの発言内容が私の期待通りでなかったときには、いかにも受け入れているように笑顔でうなづきながら、決まって「他にありませんか?」と問い返していました。その子の発言をやんわりと無視していたわけです。
「他にありませんか」と問い返された子どもたちは、今の発言は先生の求めている答えと違うということを瞬間的に察して、先生の求める正解は何だろうと考え始めます。先生の顔色をうかがいながら○×クイズ式の話し合いになって、発言力のある子や知識に自信のある子だけの深まりのないものになってしまいがちです。
授業の多くは、先生の問いかけに子どもが答えるという形で進められます。子どもたちに問いかけることを「発問」と言いますが、それには、教師が陥りがちな落とし穴があります。教師は、教えたいことを「発問」という形で子どもに問いかけるわけですから、答えをわかって聞いているということになります。ですから、どうしても、子どもから期待通りの答えが返ってこないと、正解に近い答えが出てくるまで、「他にありませんか?」「他にありませんか?」と繰り返してしまいがちです。
これまで参観させてもらった授業の中で、いろんな意見が出て話し合いが深まっていると感じた教室の多くでは、教師は、「それはどういうこと?」「別な言葉で言ったらどうなるかな?」「○○さんは~と言ったが、△△さんはどうだろうか?」「途中まででいいから発言してくれる。後は、みんながつなげるから。」といった問いかけをしていました。
毎日の授業の中で、「他にありませんか?」を連発していた頃の私には、子どもの発言を「きく(聴く・訊く)」力が不足していたように思います。