竹田先生Vol.4:教師が授業でよく使う言葉の心裏「分りましたか?」

2015.11.05

「分りましたか?」という言葉は、教師にとって実に便利な言葉です。教育活動のいろんな場面で多用されているように思います。私は、授業中、子どもたちの反応が鈍かったり、集中していなかったりすると、「分かりましたか?」という言葉を伝家の宝刀としてよく使っていました。また、学級や学年など大勢の子どもの前で話した時など、最後に「分りましたか?」という言葉を発することで、話した内容が全員にちゃんと伝わったような気になっていました。
低学年の教室では、「分かりましたか?」と問いかけると、子どもたちは一斉に元気よく「分かりました!」と返してくれます。その元気な返事に安心して授業を進めていました。しかし、よく子どもを見つめていれば、本当に全員が分かっていたわけではないことに気づいたはずです。分からなかった子は、他の子につられるように応えただけでのことではないでしょうか。子どもは教師に「分りましたか?」と問われれば「分りました」と返事するのが普通です。分らない子が「分りません」とはなかなか言いにくいものです。また、子どもは、「分かりました」という元気な返事をすれば何より教師が喜んでくれることを知っています。
もとより、そのような言葉かけをしなくても、子どもの様子をしっかり見ていれば、どの程度理解できていたかは判断できたはずです。私は、子どもたちに「分かりましたか?」と問いかけることで、自らの不安を打ち消し、授業を次に進めるための免罪符を得ようとしていただけのような気がします。
「分りましたか?」を使えば使う程、自らの指導力不足をさらけ出していることに、もっと早く気づくべきだったと悔やまれます。