近藤先生:学校の危機管理Vol.1:学校の危機は子どもの危機!組織行動が不可欠

2015.11.10

学校の危機管理について、具体場面を踏まえながら以後6回にわたり、その要諦を考察します。
はじめに、危機管理は「危機の予知」→「危機の回避」→「危機への対処」→「再発防止」という経過をたどる経営行為であると定義し、それが校長・副校長など管理職だけでなく、全教職員が担うべき仕事であることを明記しておきます。
今日に至る社会の変化や家庭・地域の教育力の低下を背景に、学校の直面する危機場面は拡大し、複雑化する一途といえます。
自然災害、都市災害、子どものけがや病気、交通事故、犯罪被害、学校侵入事案、登下校時の痴漢や声かけ事案、連れ去り・連れ回し・性被害事案、保健・衛生(感染症・インフルエンザ・放射線等)、給食(異物混入やアレルギー等)、飼育動物の問題、教師の問題(非行や犯罪、セクハラ、信頼失墜行為、体罰、不適切指導、人権侵害、人事労務等)、教育活動上の問題(進路指導上のミス、不適切な評価や学習指導、学校事故等)、個人情報の漏洩や事務文書管理上の問題、施設の問題、通学路や地域の問題、子どもの暴力行為・いじめ・自殺・薬物乱用、少年非行や犯罪、インターネット上のトラブルや犯罪、児童虐待・DV、保護者の犯罪、保護者間の諍い、家庭内のトラブルなど、極めて多様で困難な問題に学校は直面しています。
こうした危機場面を考えるとき、それらが「子どもの危機」に直結した問題であり、全教職員で取り組むべき仕事であることは容易に理解されることと思います。いくつかの危機場面を取り上げて解説しますが、危機管理の要諦を次の6点に絞った上で述べていきます。

(1)情報収集と事実把握     (2)迅速な組織行動
(3)目標設定と戦略       (4)判断力と公正性
(5)逃げない姿勢と行動     (6)キーパーソンの存在

これらに基づく仕事を全教職員が組織的に行うことが具体的な危機管理であり、その一つが欠けても危機管理は成立しないということができます。