谷先生Vol.5:小学校で使う市販テストのちょっと"?"な問題(1)

2015.12.11

子ども達が使っている教材は、どれも同じ質が保証されているわけではありません。
教師が選択し、家庭からお金を集めて購入させている教材です。ほとんどの教材には教材開発のプロが携わっていて、優れたものの方が多いことは確かですが、残念ながらちょっと首をかしげるものも存在します。

国語の「市販テスト」を例にしてみましょう。ある出版社が実際に販売しているテストです。国語の教科書教材「わらぐつの中の神様」について問う問題です。教科書の本文「その夜、おみつさんは考えました。」というところから、「元気よく町へ出ていきました。」までが引用されています。
出題されている問題の一つは次の通りです。

1 おみつさんが、わらぐつ作りを始めたわけを書きましょう。

この問題は答えを特定できません。各地でたくさんの先生方に解いてもらいましたが、どの会場でも同じでした。教師が解いても答えが分裂するのです。

①自分で働いて、お金を作るため。
②雪げたを買いたいから。
③お父さんは、わらぐつを作るのが上手で、いつもそれを見ていたから。

このいずれが正解になりそうです。もちろん、これ以外の答え方もたくさん考えられます。結果として採点基準が曖昧になってしまいます。

④お父さんは、わらぐつを作るのが上手で、いつもそれを見ていたから。

もし、子供がこう答えたら、先生はどのように採点するでしょうか。
×をつけるという先生もいました。
◯をつけるという先生もいました。
多くの先生方は△をつけたり、「部分点」を与えたりしました。
△をつけられると、子ども達は「がっかり」します。なぜ△なのかわかりません。どこをどうなおせば◯になるのか、明確な論理もありません。次からは、できるだけたくさんの文章を書き入れるようになる子どもが出てくるでしょう。少しでも正解が入っていれば、少なくとも×にはならず、△をくれると思うからです。
当然、学力はつきません。(続く)