購買部の誕生

2017.11.29

研究成果を商品という形にして社会へ還元することを目的の一つとして運営されている現在の購買部。購買部誕生の頃は周りに商店がなく、生活必需品などの販売が目的であった。

1.購買部の誕生

玉川学園購買部は、1929(昭和4)年、玉川学園が創立された同じ年の7月2日に誕生。当時は、駅付近に水田のみ、もちろん商店もない。この土地に移り住んできた教職員とその家族、児童、生徒たちが生活を始めると、おのずと食糧、生活用品、文具等が必要となった。そこで購買部が開設された。その購買部は、当初は、教職員の夫人が始めたものだったが、やがて塾生たちの手によって運営。さらに1934(昭和9)年に玉川塾専門部が開校されると、商科の学生の実習として運営が行われるようになった。

最初の購買部の本拠は現在の太鼓櫓があるところに建っていた小原塾にあり、その翌年に小原塾の横にできた食堂の入口に移った。またその頃には、玉川学園前駅の駅前に売店兼案内所を開設。当時、ほかに商店がまったくなかったこともあり、学校の購買部であると同時に地域住民にとっても生活に必要な物資を調達できる場所となった。

購買部(昭和4年)
駅前の売店(昭和4年)

玉川学園創立当時の様子が、『學園日記』第1号の「學園日記抄」に詳しく記されている。その中の4月7日のところに、3カ月後に購買部が誕生することにつながる次のような記述がある。

「僕等もお手傳ひして學用品や校服、校帽などを皆に渡した。教科書もやる豫定であつたが、それを積んで來た自動車が途中で泥路になやまされて間に合わず、夕方僕等が手傳つて漸く運びおへた。」

同誌の4月9日のところには次のように記されている。

「塾生は先生方の臺所に水汲から、日用品の買出し、新聞の購入配達、郵便物のこと等、日常の仕事一切を僕等で分擔お引受けした。」

新聞の購入については、当番の者が、毎日夕方に、新宿まで買いに出て各家庭に配達していた。このような新聞の取次については、形を変えながらも1955(昭和30)年頃まで続いていた。

2.購買部の発展

1930(昭和5)年3月には、米、味噌、醤油等を当番が御用聞きにまわり、町田や新宿まで仕入れに行き、それを配達するとともに、文房具、炭、菓子、切手、チリ紙、野菜、牛乳、新聞等を扱っていた。

1934(昭和9)年、食堂を拡張するため、購買部は「地歴の家」と呼ばれた校舎(現在はない)に場所を移し、購買部は発展していった。1943(昭和18)年、物資配給制の時代に、教科書等の書籍を扱い始めた。しかし、第二次大戦が起こり、厳しい世情の中で大変な苦労が続いた。戦後、購買部は復活を遂げ、正門へ通じる桜並木の入口に10坪の店を構えた。
1955(昭和30)年には、一般の商店も40軒くらいになっており、4月には商店会が結成され、購買部も加入した。

昭和31年当時の購買部
道路の向かい側に場所を移した購買部

その後、1957(昭和32)年に道路の向い側に場所を移し、30坪の新店舗を開店させた。配達用の車輛も1959(昭和34)年にはスクーターから軽自動車にかわり、翌々年からはパブリカ、1965(昭和40)年以降は普通車のライトバンにかわっていった。

3.ランドセルと玉シャツ

1964(昭和39)年頃には、玉川学園地区の住民が著しく増加し、電車も混雑するようになった。そのため小学生のランドセルをもっと小さく軽くできないかという議論が起こり、小学部教職員と父母との共同で新製品の研究を開始した。そして、一年後の1965(昭和40)年4月に人工皮革による重さ500グラム弱で、ファスナーで開閉ができるランドセルが完成した。とても軽いため、児童が身軽に行動することができる。しかも非常に安価。このことが新聞にもたびたび取り上げられ、本学以外の小学校でも採用され、また個人での購入もあり、自主開発製品としてヒットを生むものとなった。

また、ラウンドセルとともにヒット製品となったのは「玉シャツ」である。1929(昭和4)年以来、究極のクールビズとして、男子生徒の夏の制服として愛用され、今日に至っている。
たまがわアイスクリーム、たまがわはちみつとともにロングセラー製品となっている。

昭和48年当時の購買部

4.Campus Store Tamagawaの新設

1971(昭和46)年5月、購買部の建物を改装。冷暖房設備が整備された。1977(昭和52)年には10坪拡張し、売り場面積は40坪になった。そして、2007(平成19)年に購買部の向かい側に「Campus Store Tamagawa」が新設された。「Campus Store Tamagawa」では、書籍、文具、玉川オリジナルグッズを販売。これまでこれらの製品を販売していた購買部の1階には、各種催し物を行う購買部ギャラリーなどが設置された。

上述のとおり、労作教育の実習の場として、学園およびその関係者、地域住民へのサービス機関として、また学園の収益事業の一つとして、購買部は発展してきた。

関連サイト

参考文献
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 玉川学園 1980年
  • 小原國芳編輯『學園日記』 第1号 玉川學園出版部 1929年
  • 小原國芳監修『全人教育』第271号 玉川大学出版部 1972年
  • 白柳弘幸著『故きを温ねて』(『ZENJIN』No.637 玉川大学出版部 2001年 に所収)
  • 白柳弘幸著『故きを温ねて』(『全人』No.820 玉川大学出版部 2017年 に所収)