教育12信条

2014.03.26

時代とともに受け継がれてきた教育信条

創立時の児童・生徒・教職員 1929(昭和4)年4月8日

創立以来「全人教育」を教育理念の中心として、人間形成には真・善・美・聖・健・富の6つの価値を調和的に創造することを教育の理想としてきた玉川学園。そのめざすところをより分かりやすく説明しているのが、教育12信条である。
この教育信条が最初に文章として掲載されたのは1930(昭和5)年の「玉川塾の教育」においてである。当初は現在のような12項目ではなく、「塾教育」「国士養成」「労作教育」「第二里を行く人」「能率高き教育」「個性尊重の教育」「自学自律の教育」「全人教養」「自然尊重の教育」の9項目であった。時代の要請から「国士養成」というその当時を思わせる文言も入っていた。
戦後間もない1947(昭和22)年の旧制「玉川大学要覧」では、「全人教育と個性尊重」「自学と労作教育」「生産教育」「大自然と塾教育」の4項目に刷新され、新しい時代に合わせた教育信条を掲げた。
1955(昭和30)年頃から信条が12項目となり、取り上げられる文言もある程度固まってきた。そして現在、教育12信条では以下の内容が取り上げられている。

全人教育
教育の理想は、人間文化のすべてをその人格の中に調和的に形成することにある。その展開にあたっては、「真・善・美・聖・健・富」という6つの価値の創造を目指した教育を追求している。
個性尊重
教育とは、一人ひとりの唯一無二の個性を充分に発揮させ、自己発見、自己実現に至らせるものでなければならない。個性尊重の教育とは、一人ひとりの人間をより魅力的な存在へと高めていくことである。
自学自律
教えられるより自ら学びとること。教育は単なる学問知識の伝授ではなく、自ら真理を求めようとする意欲を燃やし、探求する方法を培い、掴み取る手法を身に付けるものである。
能率高き教育
一人ひとりにとって無理無駄がなく効率高い適切な教育のため、学習環境の整備、教材の厳選、教授法の工夫改善、コンピュータとネットワークの活用など、学習意欲を高め、能率を増進させる努力を行う。
学的根拠に立てる教育
教育の根底には、確固とした永劫不変な教育理念がある。その実践のためには、論証が繰り返され、科学的実証が蓄積され、確固たる信念の下に教育活動が行われなければならない。
自然の尊重
雄大な自然は、それ自体が偉大な教育をしてくれる。また、この貴重な自然環境を私たちが守ることを教えることも、また大切な教育である。
師弟間の温情
師弟の間柄は、温かい信頼に満ちたものでなければならない。温情とは甘やかしを意味するものではない。同じ求道者として厳しさの中にも温かい人間関係を大切にしていくことである。
労作教育
自ら考え、自ら体験し、自ら試み、創り、行うことによってこそ、真の知育、徳育も成就する。目指すところは、労作によって知行合一の強固なる意志と実践力を持った人間形成である。
反対の合一
国民と国際人、個人と社会人、理想と現実、自由とルール。これらの反対矛盾対立する二面を一つに調和していく試みに挑みたいものである。
第二里行者と人生の開拓者
マタイ伝に「人もし汝に一里の苦役を強いなば彼と共に二里行け」ということばがある。目指すべきところは、地の塩、世の光となる、独立独行の開拓者的実践力を持つ人材の養成である。
24時間の教育
教師と学生がともに働き、ともに食し、ともに歌い、ともに学ぶという師弟同行の教育。教育は限定された時間内だけではない。any timeの教育を目標に、生活教育、人間教育を大切にしていきたい。
国際教育
今、「地球はわれらの故郷なり」という広い視野と気概を持った国際人が求められている。語学の習得に満足することなく、豊かな国際感覚を養うため、地球のあらゆる場所で行えるany placeの教育を目指している。

この教育12信条は時代によって変遷があるが、そうした中でも信条を取り上げるようになって以来、常にその中に書かれている言葉がある。それは「全人」である。玉川学園の誕生の頃より連綿と綴られてきた信条であり、その内容は時代と共に変遷を辿っているように見えるが、85年が経った現在でも、玉川学園の信条の根本理念は、変わることなく貫かれている。

参考文献
小原國芳『玉川塾の教育』 玉川学園出版部 1930
『玉川学園の教育』玉川学園 1955
『保護者のためのTamagawa Guide Book』 玉川学園 2008