玉川学園 玉川大学 2012
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Tamagawa Academy & Tamagawa University 201225大学院脳情報研究科とK-12の連携「SSHリサーチ脳科学」ビジュアル・アーツ学科「デザインと科学」玉川大学脳情報研究科は、日本の大学院の中で脳科学を専門とする研究科として、2010年4月に開設されました。脳情報研究科では、自然科学的な手法はもとより人文・社会科学的な手法も使って脳の研究を進めています。そのため、医学や工学はもちろん、哲学、心理学、さらに音楽理論を専門とする教員が所属しています。また、研究施設として「脳科学研究所」が設置されており、最新鋭の機器が取り揃えられています。さらに文部科学省の「グローバルCOEプログラム」にも採択されており、このため最先端の設備を揃え、学内外の研究者と研究活動を行うことができています。脳を研究することによって人間の心を理解するという脳情報研究科の立場は、大学院だけにとどまらず玉川学園全体の教育にも活かしていきます。学部学生に対しては、2013年から脳科学の分野も「総合人間学」という全学生が履修できる科目として開講していく計画です。さらに、高校の「SSHリサーチ脳科学」では、高校生に実際に脳波を計測する実験をしてもらい、脳科学への興味を高める取り組みも行っています。K-12の教員に向けては年2回学術講演会を実施し、脳科学への理解と関心を高めてもらう取り組みも行っています。脳の構造や神経回路にとどまらず、脳科学を通して人の心を理解すること、人間を理解することです。すなわち脳科学の研究とは、玉川学園の「全人教育」につながるテーマなのです。ビジュアル・アーツ学科で学ぶデザインは、作家が単に自己表現するだけのものではありません。デザイナーの仕事とは「人間の生活をどう豊かにできるのか」ということが根底にあります。視覚芸術の分野で言えば、作品が対象とする人の視神経にどのような刺激を与え、それがどのように作用し、それによってどのような豊かさを生み出せるかということです。その意味でデザインとは非常に科学的な分析を要する仕事だと言えるでしょう。そのよりどころとなるのが「構成デザイン」という考え方です。デザインには機器・道具・装置といった非常に実用的なものから、絵画や彫刻に近い芸術表現まで非常に多くの領域があり、どの位置にスタンスを置くかによってデザインの目的や有り様が変わります。デザインを作家の主観ではなく、目的とそれを実現する手段として考えるという立場です。デザインについて学ぶことのできるビジュアル・アーツ学科の考え方や姿勢の一つは、社会で活躍したり、社会に貢献するための根本的な力を培っていること、もう一つは、アートやデザインを感性や資質の問題として考えるのではなく、科学的・論理的な視点でとらえ教育を提供することです。ただ、デザインやアートについての研鑽は、大学だけで完結するものではなく、一人ひとりが生涯をかけて培っていくものであり、大学教育はその基礎やきっかけをつくる最初の一歩なのです。

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